週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

会いたい人の分身をロボットで実現 OriHimeがレンタル販売・新サービス連携企業を募集開始

2015年07月07日 12時05分更新

OriHime
iPadで操作できる新型『OriHime』

 身代わりロボットでどこへでも。『ドラえもん』や『ソード・アート・オンライン』の世界が近づいている。

 7月7日、オリィ研究所は遠隔操作で自由自在に動かせる世界初の小型分身ロボット『OriHime(オリヒメ)』の新型量産モデルを発表。初回ロットとして、限定20台の先行予約レンタル販売を法人向けに開始した。

 先行販売では、OriHimeを活用したサービスを共同で開発するパートナー企業を募集する。今後は徐々に生産台数を増やし、2016年3月までに法人向けに100台の導入、100通りの新しいサービスの開発を目指すという。

OriHime
『OriHime』新型量産モデル

「OriHime」は、インターネット経由で手・首の向きを自由に動かし、相手と会話ができる、利用者にとっての分身となるロボット。「会いたい人に会いに行ける、行きたいところに行ける」が開発コンセプトだ。

 新開発の量産モデルは、iPadのアプリを使ってOriHimeを動かしたい方向に自分の指を動かす、傾けるといった直感的な操作が可能。自分の身体のように誰でも簡単に操作ができる。ボタン1つで起動し、4歳の子どもでも思い通りの操作が可能だという。

 カンタンになったことで、より日常での利用に重点が置かれている。入院中で学校に通えない児童が、学校の自分の席に置かれたOriHimeを遠隔操作して学校を体験するようなケースなどが想定される。首の向きを変えて黒板や教室の様子を見渡したり、手を自由に動かしてジェスチャーを交えながら先生や友達と会話したりできる。身体だけでなく、精神的なサポートにもなってくれる。

OriHime
利用イメージとサイズ感はこんな形。和装なのはCES用の資料のため。

 開発のきっかけは、オリィ研究所の吉藤健太朗代表取締役CEOが幼少期に療養のため学校に通えなかった実体験と、あまり外に出ることができない高齢者・障害者らの意見から。

 2009年から吉藤代表個人で研究開発を開始し、これまでに100名以上の利用者のフィードバックをもとに80台の試作機を開発、分身として必要な機能を追求してきた。すでにALSなどの難病患者や高齢者らを手助けしている。2012年にはオリィ研究所を設立、本格的に分身ロボットOriHimeの製品化のための研究開発、実用化に乗り出した。

OriHime
NRK動画・記事『– SE, PAPPA ER ROBOT』
NRK

 2015年1月にはラスベガスで開催されたCES 2015にも出展。会場で高い評価を得て、ノルウェーの家庭にも試験的に導入された。「ノルウェーに渡ったOriHimeが、私の知らないところでノルウェー版NHKであるNRKに取り上げられ、最近の動画の中ではオバマ大統領が登場する動画を超え、圧倒的再生数を誇っている」(吉藤代表)とのことだ。

 今回は法人向けのリリースとなったが、個人向けでのリリースも順次予定しているという。身代わりロボットが日常化する未来もそう遠くはない。

■関連サイト
OriHime
オリィ研究所
 

(2015年7月7日12時30分訂正:OriHimeの販売情報について”レンタル販売”と一部訂正いたしました)

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう