画面分割やキーボードショートカットなどiPadはiOS 9でノートPCふうに生まれ変わる：WWDC 2015

2015年06月09日 06時30分更新

　Appleは、サンフランシスコで開催中の開発者向けイベント『WWDC 2015』の基調講演において、iOS 9の概要を発表しました。iOS 9には、iPadシリーズのUIや機能に関する大きなアップデートが含まれていたので、まとめてご紹介します。



↑iOS 9へのアップデートはiPadをさらに進化させる。

●マルチタスクの大幅強化

　今回最大のアップデートは、複数のアプリをさらに使いやすくするマルチタスク機能の強化です。iOS 8までのiPadでは、基本的にiPhoneのUIと同じように、画面いっぱいにひとつのアプリが表示され動くようになっていました。iOS 9のアップデートすれば、スライド動作で2つ目のアプリを表示させることができるようになります。



↑iOS 9のアプリ切り替え画面。立体的な動きのアニメーションになりました。



↑Safariを起動させながらTwitterアプリを動かしている様子。



↑サイドに表示するアプリは別に選ぶことができ、横画面の場合は縦にスクロールして選びます。



↑カレンダーに切り替えました。

　加えて、iPad Air 2であれば画面をふたつに分割（横画面の場合は垂直方向に分割）して同時にアプリを動かせます。また、対応アプリ同士であれば、画像やリンクなどを一方のアプリにコピー＆ペーストすることも可能です。



↑Safariとメモアプリを同時に動かしている様子。

　動画の扱いも改善。たとえば、全画面で動画を再生中にメール着信の通知がきて、メールアプリに切り替わったとしても、動画は小窓として表示される続けるので、再生が止まることなくメールをチェックできます。小窓は自由に位置を変更できるので、どことなくサムスンのGalaxy TabやNoteシリーズなどに搭載されている“マルチウィンドウ”機能やXperiaシリーズに搭載されている“スモールアプリ”に近い挙動となります。



↑メールアプリを起動しながら、動画を小窓で表示させている様子。

　開発者はこの機能に対応するためには、確かに多少の仕様変更は必要のようです。ただし、たとえばTwitterのようなiPhone向けUIとiPad向けUIを備えているユニバーサルアプリの場合は比較的カンタンに実装できるようです。



↑iPhoneのUIが、



↑延びるようなイメージ。

●BluetoothキーボードでよりPCライクに

　最近ではXperia Z4 TabletなどもBluetoothキーボードとのセットでノートPCふうに利用できるなど、タブレット端末が“ポストノートPC”狙いはより激しくなっています。iPadも同様でBluetoothキーボードの機能をiOS 9で拡張。ショートカットキーでの動作をOSレベルでサポートしました。たとえば“メール”や“メモ”アプリであれば、“Command + B”でボールド体に変更、“Command + F”で検索、“Command + Option + C”で書体情報のコピーなどが使えるようになります。

●キーボード上にショートカットバーの追加

　また、キーボードの変換候補の表示領域の両側にはカット、コピー、ペーストなどのアイコンが並ぶようになりました。従来は貼り付けなどする場合は、貼り付けしたい場所に長押ししてサブメニューを表示させてコマンドを押す必要がありましたが、これによりワンタップで貼り付け作業が完了します。

●iPad miniや第4世代までのiPad Retinaでは新しいマルチタスク機能は利用できない



↑iOS 9は初代iPad miniやiPad 2でも利用できるが……



↑サイドで表示するマルチタスク機能はiPad Air以降、mini 2以降の対応。

　なお、基本的にiPadシリーズに対するiOS 9のアップデートは、iPad 2からiPad Air 2、iPad mini（初代）からiPad mini 3まで対応。ただし、2つ目のアプリのスライド起動はiPad Air、Air 2、mini 2、mini 3の4機種。さらに、2画面分割機能はiPad Air 2のみの対応となります。

　今までiPhone同様にシンプルさが特徴的だったiPadシリーズですが、iOS 9のアップデートにより、よりノートPCのようなビジネスの生産的ツールとしての側面が強調されるのかもしれません。

●関連サイト
Apple