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iAdで儲かるAppleの純正キュレーションアプリ「News」に記事を配信する方法:WWDC 2015

2015年06月10日 17時30分更新

 みなさん、こんにちは。いまだに週刊アスキーの吉田でございます。さて、我々メディアの人間にとってWWDCは大きな転換点になるかもしれません。iOS 9には「News」と呼ばれるニュースキュレーションアプリが搭載されます。「?」という方も、「SmartNews」「Gunosy」「Antenna」などをご存じかと思いますので、そのApple版ですね。

WWDC 2015
Apple純正ニュースキュレーションアプリ「News」はiOS 9とともに今秋にリリースされます。iAdを使ったマネタイズも可能。

 ニュースキュレーションアプリを簡単に説明すると、出版社や新聞社、個人のブログなどから、人気がある記事やユーザーの嗜好に合致した記事を集めて表示してくれるもの。もちろん、アプリごとにニュースを収集するアルゴリズムが異なります。この市場にAppleが自ら参入するわけですね。正直「そこまでやるか!」と思いました。

WWDC 2015
「News」アプリに配信された記事はApple独自のレイアウトになります。

 「News」アプリはiOS 9の製品版とともにリリースされますが、配信サービスは米国、英国、オーストラリアの英語圏3カ国でのスタートとなり、残念ながら日本は対象にはなっていません。しかし、音楽や映画とは異なり権利関係などでクリアすべき部分が少ないのでApple側の準備ができ次第、日本でもサービスが始まるはずです。注目なのは誰でも参加できること。ほかのキュレーションアプリでは、ニュースを配信する媒体を絞っていることが多いのですが「News」アプリでは個人ブロガーなども対象になります。

WWDC 2015
出版社や新聞社だけでなく個人の参加もOK。

 「Newsアプリに配信して何か得するの?」と思うかもしれませんが、もちろんメリットはあります。Appleが提供しているモバイルアドネットワークの「iAd」が組み込まれており、「News」アプリ内に配信された自分の記事内に自動的に広告が挿入されるんです。この広告のクリックなどによって記事を配信している媒体や個人に広告売上の70%が入ります。もちろん残りの30%はAppleの取り分です。

WWDC 2015
Apple News Formatと呼ばれる配信形式を利用することで、iPhoneやiPadなど画面サイズの異なるiOSデバイスであっても、それぞれに最適な状態で表示できます。

 さらに衝撃なのが、媒体や個人が自ら取ってきた広告(記事内広告)なども配信可能な点です。SmartNewsやGunosyなどもすでに始めていますが、「News」アプリがスゴイのはこの場合の広告売上は媒体や個人に100%入るということ。個人で広告を取ってくるのはなかなか難しいですが、媒体にとってはこれはかなりオイシイです。2010年から始まったiADですが、米国ではAdMob(Google)、日本はnend(ネンド)やi-mobile(アイモバイル)などに比べてパッとしない印象がありますが、「News」アプリに導入されることにより、広告クライアントの出稿も増えるのではないかと。

 なんかもう「News」アプリに記事を配信したくてなってきたでしょ?そこで、現在公開されている資料を元に何を準備すればいいかを解説しておきます。以下に公開されている資料の日本語意訳を載せておきますが、基本的には、

・ありふれたタイトルをつけない。
・タイトルは15〜60文字まで。
・リード(説明文)は200文字。
・表組み(tableタグ)などの複雑なレイアウトは使わない。
・RSS配信で全文を読めるようにしておく。
・アフィリエイトやプライバシーポリシーなどのリンクはRSSで配信しない。

といった感じです。タイトルやリードについての注意事項は当たり前のハナシですね。製品スペックなどには表組みを使うこともあるかと思いますが「News」アプリに転載されたときにタダのテキストの羅列になってしまうので図版にしたほうがいいですね。まあ、このあたりも当たり前といえば当たり前なんですが。RSSの設定についても、記事本文のみを配信するようにしておけば大丈夫です。

WWDC 2015
開発者向けサイトでは「News」アプリで記事を配信するための方法など書かれています。ログインすることなく誰でも見られます。

■サイト側で準備が必要なもの
・配信フォーマットはRSS 2.0もしくはAtom 1.0に準拠。
・文字のエンコードディングはUTF-8 encoding。

■必要なRSS属性
チャンネル
・タイトル
・ロケール設定
・リンク

アイテム
・タイトル
・リンク
・リード、説明文(Description)

■推奨される配信要件
Feed構造
・ロングフォーム(フルテキスト)のRSSを推奨。ショートフォームのRSSもサポートしていますが、その場合はフルテキストからの抜粋もしくは要約になる。
・ロングフォームのRSSを使った場合、各記事の説明文(リード)は最初から200文字までがトピック画面に表示される。

記事タイトル(ヘッドライン)
・固有のタイトルを付ける(「シアターレビュー」というタイトルではなく「3月20日の週のオフ・ブロードウェイレビュー」のように)。
・タイトルは15〜60文字程度が望ましい。

記事の抜粋(説明文)
・ショートフォームのRSSの場合、Descriptionタグにadsは含まれない。
・ボールドやイタリックなどの基本的な書式を使う。表(table)タグなどは無視される。
・WordPressを使っている場合、WordPressマークアップは生成されたRSSには表示されない。「Read Original Store」やそれに類似したリンクは含まない。「Read Full Story」というリンクが自動的に記事の下に追加されるように、Newsアプリ内でウェブ記事をそのまま開けるようにRSS設定を調整する必要がある。
・Facebookの「いいね」を押す、Twitterに投稿するなど、ソーシャルメディアのリンクは含めない。これらの機能は「News」アプリ側が内蔵している。
・関連記事のリンクは含めない。Newsアプリ内の各記事のツールバー部分には、各チャンネル内だけでなくほかのチャンネルの関連記事を表示する機能がある。
・各記事のフッターには、ユーザー契約、またはプライバシーポリシーなどのリンクを含めない。

■Apple News Formatとは?
 出版社などのチャネル情報を入力しておけば、Apple News Formatが利用可能になったときに通知を受け取れる。それまでの間は、ニュースにコンテンツを配信するためにRSSを使用できる。アップルニュース形式はRSSでの配信に比べて以下のような利点がある。

・すべてのiOSデバイスで表示を最適化できる。
・ページの表示が高速。
・タイポグラフィー(文字組)やフォトギャラリー、ビデオ、アニメーションなどを埋め込める。
・既存のコンテンツ管理システムを使える。
・ユーザーの関心を測定するためのアナリティクスツールも用意。
・自らが取ってきた広告の売上は100%還元、iAd(Appleのアドネットワーク)経由の場合は70%を還元。

●関連サイト
News概要ページ 
News Publisher(Newアプリ用記事配信管理ツール)
News Publishing Guide

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