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スマホのルールブックを作成した学生にレトロデジギア・ハンターが突撃取材

2015年05月05日 16時00分更新

文● 甲斐寿憲 編集●太田良司

 自分たちのスマホの利用ルールをまとめて、冊子をつくったという高校生がいるということで、レトロデジギア・ハンターである宮崎県出身のライター甲斐が宮崎県串間市の県立福島高等学校に会いに行ってみました。

 宮崎県串間市は、宮崎県の最南端、鹿児島県との隣接する地域です。人口は約2万人にほどの小さな小さな市で、九州の人たちには有名な『都井岬』という、国の天記念物の野生馬の生息地があります。この日も少し足をのばして行ってみましたが、馬たちは草を食みながら逃げもせず一緒に写真を撮れました。

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↑串間市は野生馬の繁殖地として有名な場所です。

 さらに有名なのが『幸島の猿』です。海水で芋を洗って食べる猿は、都井岬の離島にだけ生息します。さすがに離島には渡れませんでしたが、都井岬の近くで猿の像などが設置されてました。ですが、なぜファンキーにされてたのかは謎です。なにげなくいいともの司会者を務めていた人に似ているような……。

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↑幸島の猿の像がなぜかファンキー。

 観光はこれくらいにして、宮崎県立福島高等学校に向かいましょう。福島高校は、串間市にある唯一の公立高校です。男女共学で生徒数は237人、普通科のみが設置されています。なお、レスリング部が高等学校競技力強化推進校として指定を受けているということです。ムムム!これは手強そうだ。

 

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↑レトロデジギア・ハンターが参上しましたよっと!

 今回お会いしたのは、生徒たちのケータイ利用のルールやマナーを決める有志のグループケータイプロジェクト。今年で活動は三年目になり、2年生と3年生の生徒たちでハンドブックをまとめたメンバーたちになります。この日は、試験の真っ最中でしたが、テストが終わってから集まっていただきました。

 

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↑福島高校のケータイプロジェクトメンバーの皆さん。

 メンバーたちが編集した『福島高ケータイ・スマホ HANDBOOK~正しく向き合うために~』は、同校の生徒の利用状況や法令違反の事例、依存症チェックシートなどをA4サイズの20ページに編集したもの。生徒たちの手によって、自らのケータイ、スマホの利用のルールを決めたという素晴らしい試みです。

 ちなみにメンバーの皆さんに「ちゃんとルール守れてますか?」と聞いてみたところ、全員一致で「もちろん!」との即答でした。

 では、実際にどのようなルールが書いてあるのでしょう。いくつか内容を紹介していきましよう。

福島高ケータイ・スマホ HANDBOOK~正しく向き合うために~
・メール、LINEのやりとりは23時以降行わない(相手の睡眠を邪魔しない)
・勉強中は手元に置かない(学業優先)
・家族団らん中には使用しない(家族とのコミュニケーションを大事にする)
・パスワードを設定する(個人情報の保護)
・毎月の利用料を考え、利用料金を抑える(使いすぎて迷惑をかけない)
・他人の写った写真をむやみに投稿しない。発信情報に責任を持つ(肖像権や悪用に気をつける)
・悪口を投稿しない(名誉毀損にならないように)
・有害サイトを利用しない(出会い系サイトの禁止)
・拡散をしない(迷惑メール防止法にふれるから)
・保護者とルールを決め、フィルタリングをかける(有害サイトへの防止)
・困ったらすぐ、家族や学校に相談する

 基本的なことから具体的なことまで12項目をルールとして決めています。生徒たち自ら決めたということで、保護者の皆さんも安心して子どもたちのスマホ利用を見守れるのではないでしょうか。

 

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↑ハンドブックは全生徒に配られている。

 関心したのは、さまざまな統計や分析も掲載されている点です。生徒の所有数や、ケータイ(フィーチャーフォン)とスマホの基本的な性質の違い、ケータイ、スマホのメリットやデメリット、SNS利用の問題点も詳しく紹介されています。しかも、生徒たちの考えたアドバイス“解決策”まで記載されています。

 

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↑甲斐「これ厳しすぎっす!」学生「大人のくせに!」と怒られるレトロハンター。

 巻末には保護者との「ケータイ・スマホ契約書」というものもついています。これで保護者と自ら約束して、ケータイやスマホの所有のための正しい使い方を約束するというわけです。なお、契約を破ったら保護者にケータイを返すという約束になってます。これは厳しい! でも偉い!

 イチ大人として、この生徒たちの取り組みは関心しました。とかく、私たち大人は、子供のスマホの利用を禁止しがちです。確かに所有しなければ問題も起こらないでしょう。ですが、たくさんの情報がスマホで手に入るご時勢に、悪影響を与える情報と同等、むしろそれ以上に有意義で知識を豊かにする情報も得ることができます。モバイル業界に従事するからというわけではなく、私個人としては「良い使い方をすれば、モバイル端末で得られる情報は知識を豊かにし、生活を豊かにする」と思っています。ただし正しい利用は、家庭でルールを作り、子供が守り、親が利用を把握するからこそ実現できるものです。

 今回の福島高校のハンドブックに記載されたルール、そして契約書は、高校生のスマホ利用のひとつの回答だと思います。全国の多くの学校でも、ケータイ、スマホの利用は大きな問題だと思いますが、福島高校のように生徒と学校が一緒になってルールをつくり、保護者に提案するという自主性を重んじる取り組みをしてみてはいかがでしょうか。

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