Kickstarterで合計43万ドル以上を集めた安眠マスク『NeuroOn』。1日わずか2時間の睡眠で健康的な生活を送るショートスリーパーになれる魔法のマスクとして大きな注目を浴びたこの製品の最新試作機がCeBIT 2015会場で披露されていました。
Kickstarterで大成功したことでお馴染みの『NeuroOn』が、CeBIT 2015にブースを出展。ポーランド・ワルシャワ発のスタートアップだ。 |
筆者にとって最初の出会いは2013年12月に取材したLeWeb 2013。そのスタートアップコンテストでNeuroOnが圧勝したシーンを覚えています。
LeWeb 2013のコンテストで優勝したNeuroOn。ハードウェアとアプリの開発に加え、医学的な知見も兼ね備えた魅力的なスタートアップだ。 |
当初の“1日2時間睡眠”という方向性からはやや変わったものの、最新試作機では、時差ボケ解消など新しい方向性を提案しています。
■センサーとLEDを組み合わせて睡眠をコントロール
NeuroOnの本体は、大型のアイマスクのような形状です。これを装着したまま就寝することで、内部に搭載したセンサーがさまざまな生体情報を記録。脳波(EEG)、筋肉の緊張(EMG)、眼球運動(EOG)、心拍数、血液循環、体温、寝返りなどを記録できます。
NeuroOn本体。実際に装着してみると、一般的なアイマスクより頭部への圧迫感がある。これを装着したまま安眠できるかどうか、慣れるまではやや不安だ。 |
睡眠から快適に目覚めるには、深い眠りのノンレム睡眠ではなく、レム睡眠の間に起きるのが最適といわれています。NeuroOnはマスクにLEDを内蔵しており、ベストなタイミングで光らせることによって睡眠時間を最適化できるのです。
つまりNeuroOnは、睡眠時間のうち重要な部分はしっかりと残しつつ、これ以上寝ても効果が得られない余計な部分をカットすることで、睡眠を最適化することを狙っていることになります。
NeuroOnが取得したデータは、iOS、Android用のアプリで確認できる。個々人の睡眠パターンを分析し、改善を提案する機能もあるとのこと。 |
当初のNeuroOnでは、細かな睡眠を繰り返す多相睡眠により睡眠時間を1日2時間にまで短縮できるという、“ショートスリーパー”路線を強調していました。しかし現在では医療機関と協力することで改善を繰り返しており、睡眠の質を向上させるという打ち出し方になっています。
2013年当時は多相睡眠にフォーカスしていたが、現在ではやや路線を変更。睡眠を最適化することで、結果的に睡眠時間が短縮されることもある、というメッセージになっている。 |
■装着時のデータ通信はなし、マスクは水洗いできる
安全性にも配慮しており、マスク装着中には通信を行わず、起床時にマスクを外した時点でデータをまとめて送信する仕組みになっているとのこと。脳の近くで長時間Bluetooth通信が行なわれることに不安を覚える人でも、安心して使えるとしています。
毎日の使用を考えると、汗や皮脂による汚れも気になるところ。しかしNeuroOnはモジュールとマスクを分離することで、マスクだけを水洗いできる仕組みとなっています。
マスクの内側。モジュール部分だけを取り外せるようになっている。現在は試作機のため細部の造形は荒いが、量産品では改善されるとのこと。 |
モジュールを取り外したマスクは水洗いOK。毎晩の使用により汚れていくことを想定した設計となっている。マスクが乾くのを待つ間に、モジュールをMicroUSBで充電するのが良いだろう。 |
新たな派生機能として注目したいのは、“時差ボケ解消アプリ”への取り組みです。時差ボケは、海外旅行などでタイムゾーンが異なる地域へ移動した際、睡眠に重要な”メラトニン”を分泌するサイクルが変わってしまうことから発生するとされています。
そこで飛行機の中でNeuroOnを装着して眠り、適切なタイミングでLEDを照射することでこのサイクルを補正し、メラトニンの分泌サイクルを現地の時間に合わせてしまおう、というものです。
■日本からの注文が殺到中
NeuroOnの本体価格は299ドル(約3万5600円)で、ウェブサイトではグローバルから注文を受付中(海外発送料20ドル/約2380円)。いま注文すると納期は2015年第3四半期になるとしています。
担当者によれば、海外からの注文で特に数が多いのが日本とのこと。そこで英語以外の言語として初めてウェブサイトを日本語に翻訳、さらには2015年2月に六本木で開催されたCES Unveiled Tokyoにも出展するなど、日本市場を重視する姿勢を示しています。
睡眠時間の劇的な短縮につながるとまではいえないものの、睡眠を適切な長さに保つことで時間を効率化したい人にとっては、試す価値のあるデバイスといえるでしょう。
■関連サイト
CeBIT 2015
Intelclinic
Neuro:On(日本語)
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