スペインのバルセロナで開催されるMWC2015を取材するため、日本を旅立った、旅バカライター中山です。第1回ではポルトガルの最西端ロカ岬からバルセロナまで移動し、無事MWC2015取材を終えました。
これまでの行程です。 |
取材後はアスキーチームとローマ視察に同行。そこへは飛行機を使いましたが、アスキーチームと別れ、ひとりバルセロナまで戻ってきて再出発です。目的として掲げていた、“飛行機を使わずに日本まで帰ってくる旅”を始めるため、一路東へと向かいました。
ローマで訪れたトレビの泉は、絶賛工事中で、手前にポスター写真と簡易泉が申し訳程度にありました。ガッカリ感ハンパなし。 |
【3月9日:スペイン→フランス】
■フランスの超特急TGVに乗車
スペインのバルセロナからは、まずフランスへのパリへ。これから乗車するフランスの超特急TGV乗車駅は、前回リスボンから乗車したAVEが到着した駅と同じサンツ駅となります。
この路線は以前、寝台列車『エリプソス』が走っていたのですが、TGVのバルセロナ延伸により、運行停止になってしまいました。実は、昨年のMWC取材でも、パリから鉄道でバルセロナ入りを試みたのですが、その目的はエリプソスに乗ることだったんです。私が乗る直前の2013年12月に運行停止となり、結局一度も乗れずじまい。残念です。
長距離鉄道のほか地下鉄など複数の路線が乗り入れているサンツ駅。 |
サンツ駅にはコインロッカーのサービスも有り。小さいロッカーが3.60ユーロ(約X470円)、スーツケースも入る大きいロッカーが5.20ユーロ(約680円)。 |
サンツ駅の出発は16時25分。乗り換えなしのダイレクトで乗車時間は6時間20分です。チケットはフランス国鉄SNCFのサイトから購入して99ユーロ(約1万2900円)。SNFCにはiPhoneアプリが用意されていて、サイトで登録したアカウントでログインすると、購入したチケットの情報などがチェックできます。
SNFCのiPhoneアプリ。英語表記もオーケー。 |
アプリからチケットのPassbookへの登録にも対応しています。 |
パリへのTGVは、オンラインチケット購入時に1等車を指定。割引き運賃で購入できたので、2等車とあまり金額は変わりませんでした。1等車ならほぼ確実に電源もあるので安心です。
フランスが誇る超特急TGV。2階建て車両です。 |
1等車はシートも広々で、長時間の乗車でも疲れません。 |
壁側には電源も。スマホでゲームをして時間がつぶせます。 |
■フランスのSIMに差し換え
サンツ駅を発車して1時間ほどすると、スマホがSMSを受信。どうやら国境を越えたのでフランスの電波をキャッチしたようです。ユーロ圏は国境での入国審査があるところはほとんどなく、通貨もイギリスなど一部の国を除いてユーロで統一されているので自由に移動できるのですが、ケータイの電波だけはダメなんですよね。
ただ、近々ヨーロッパの通信キャリアに対して、ユーロ圏内のローミング時に別途料金を取ることを禁止する規定ができるとのこと。これが施策されれば、ヨーロッパのどこかのSIMを挿しておくだけで、ケータイの電波を気にせず国境を越えることができるようになりそうです。
とはいえ、今のところはその国のSIMを購入して通信をしたほうがオトクなので、フランスのSIMに挿し換えます。
欧州で手広くMVNO事業を展開しているLebaraのSIMを利用。7.50ユーロ(約980円)。 |
使用したフランスLebaraのSIMは、昨年パリを訪れたときに空港のコンビニで購入したもの。コンビニの店頭でパッケージが売っているので、それを買うだけです。背面を見ると有効期限が1年ほどあったので、もしフランスに再訪したらまた使おうと、お土産がわりに保管しておいたんですよね。
開通作業はWebサイトからなので、スペイン滞在中にアクセスして開通しておきました。
フランスLebaraの公式サイト。ここからSIMのパッケージにある電話番号などでログインしてアクティベート。 |
SIMへのチャージはWebサイトからクレジットカードで。パケット通信のパック選択もWebサイトからできます。フランス滞在は1日半なので1GBのプランを申し込みました。
10ユーロの100MBではさすがに足りないので、20ユーロ(約2600円)の1GBプランを申し込み。 |
APNなど設定項目は下記のとおり。
APN: fr.lebara.mobi
ユーザー名: wap
パスワード: wap
ただ、フランスのTGVって乗車中はほとんど圏外か、つながっても2Gというケースが多いです。車窓が田園風景だとまず通信できません。まともに通信できるのは駅近くになってから。日本の場合新幹線に乗っていて圏外ということはほとんどないので、いかに日本の通信事情が素晴らしいか、海外に来ると骨身にしみてわかります。
ほぼ定刻通りにパリのリヨン駅に到着。 |
パリのリヨン駅に到着したのはかなり遅い時間で、22時45分。ここから接続する長距離列車は終了しているので、この日の移動はここまで。翌日乗車する列車は同じパリでも北駅なので、そこまで地下鉄で移動して、予約しておいたホテルに宿泊しました。
【3月10日:フランス→ポーランド】
■赤が眩しい超特急Thalys
翌日は3路線を乗り継いでフランスのパリから一気にポーランドのワルシャワへ。パリ北駅発車は5時58分と日も昇らぬうちから移動です。
早朝のパリ北駅。時間も時間なので人もまばら。 |
まずはドイツのケルンまで移動し、列車を乗り継いでベルリンへ。料金は2等車で155ユーロ(約2万200円)です。乗車したのは真っ赤な車体で“レッドライン”の愛称もあるThalys。ベルギー、フランス、オランダ、ドイツの各国鉄道が共同で運行している超特急です。
3倍の速そうに感じる赤い車体が特徴のThalys。 |
両サイドに2席ずつの2等車。といっても狭苦しさはなし。 |
前の座席の足下に電源を装備。2つあるので、隣の人と奪い合いもない。 |
Thalysは車内も赤系の配色でかなりオシャレ。単純に赤が好き、というのもありますが、実は欧州の特急列車のなかでもお気に入りのひとつです。2等車でも電源もあるのがウレシイです。
■ドイツのSIMでローミング
ケルンまでの乗車時間は4時間17分。途中ベルギーを通過しますが、下車しないのでSIMの購入はなし。ここではローミングを活用。といっても日本の通信キャリアのローミングではなく、ドイツのMVNOのBlauを使います。
ドイツへは家電展示会のIFAなどで何度か訪れているので、BlauのSIMはそのとき購入したもの。Lebara同様、Webサイトから開通作業やチャージ、プランの申し込みなどが行なえます。ドイツ国内でLTEも使えるし、20ユーロほどチャージすると、有効期限が一気に1年くらい延びるので、この2年ほど破棄せずに保持しているSIMです。
専用アプリもあり、そこからクレジットカードでチャージも可能。 |
ドイツ国内は19.80ユーロ(約2600円)の1ヵ月5GBプランを申し込んであります。 |
BlauにはEU圏内のローミングパッケージが用意されていて、100MB/1週間が4.99ユーロ(約650円)で利用可能。今回のように数時間だけ通過する場合や、飛行機のトランジットなどでEU圏内に立ち寄るといったときに便利なんです。
ちなみに、ドイツ国内は月額プランで申し込んであるので、1ヵ月たつと自動で次の1ヵ月ぶんが適用され、チャージした金額が減ってしまいます。ですが、チャージしてある金額が足りない場合は残高不足となり、プランは適用されない状態でそのまま有効期限まで維持できます。
使いたいときに最低限必要な金額をチャージしてプランを適用させれば、有効期限も延びるし、通信も使えるようになるので便利。ドイツやヨーロッパを旅行する機会がある人にはオススメです。
BlauのSIMはドイツのスーパーなどで売っていますので、購入もカンタン。 |
BlauのAPNなど設定項目は下記のとおり。ベルギーを通過したあとはドイツなので、そのままBlauの国内プランで通信できます。
APN: internet.eplus.de
ユーザー名: blau
パスワード: blau
■ドイツのICEに乗ろうとしたら、なんと運休!
ドイツのケルンには9時15分に到着。ここからドイツの超特急ICEに乗り継いで、ベルリンまで向かうのですが……乗車するICEのプラットホーム番号がいつまでたっても表示されません。出発時間はどんどん迫っているのに……と焦っていると、出発5分前に乗車予定の列車番号すら消えてしましました!
あわててチケットセンターに駆け込んで聞いてみると、乗車予定のICEは運休とのこと。1時間後の列車に振り替えだそうです。振り替え列車のダイヤを『ヨーロッパ鉄道時刻表』チェックすると、なんとかその次の列車にも乗り継げそうなのでひと安心。
欧州鉄道旅行の強い味方『ヨーロッパ鉄道時刻表』。昨年からKindle版が出ていて、右の書籍版と比べれば持ち運びやすさは一目瞭然。 |
ヨーロッパ鉄道時刻表は、以前は『トーマスクック鉄道時刻表』と言われていたもの。発行元がかわりタイトルが変わったのですが、ポルトガルからロシアまで欧州全域の鉄道ダイヤを網羅した、ヨーロッパで鉄道旅行をするなら必携とも言える時刻表です。以前は紙の本しかなく結構かさばって持ち運びに不便だったのですが、Kindle版が登場したのでスマホやタブレットで読めるのでかなりラクチンになりました。
乗り継ぎ時間が増えたので、ソーセージをパクリ。 |
チケットセンターで座席指定も変更してもらい、振り替わった列車に乗車。真っ赤で派手なThalysから、白を基調としたドイツらしい質実剛健なイメージのICEに乗車です。
いままでの列車と比べてノーズが短め。ペイントもおとなしめです。 |
ICEの2等車車内。照明が明るくてキレイでした。 |
ケルンは10時48分出発。ベルリンまでは4時間23分です。ICEの2等車は電源は見当たらず、朝早くから動いているのと、ソーセージと一緒にビールを飲んだこともあり車内ではグッスリ寝てしまいました。
■カリーブルストを食べて特急でワルシャワに
ベルリンには15時11分に到着。さらにワルシャワへと乗り継ぎなので、駅構内のファーストフード店で、ベルリン名物のカリーブルストをオーダー。もちろんビールと一緒です。だって、ドイツだからね!
ぶつ切りのソーセージに大量のケチャップとカレー粉をまぶしたカリーブルスト。 |
ワルシャワへの列車はベルリン・ワルシャワ・エクスプレス号という特急列車。これは、以前にも乗車したことがあります。座席のタイプは、バルセロナからここまでの列車と違い、コンパートメントタイプ。6人掛けのシートが向かい合わせにセットされて、それがひとつの個室となっています。
ベルリンとワルシャワを結ぶベルリン・ワルシャワ・エクスプレス号。料金は29ユーロ(約3800円)。 |
座席は6人のコンパートメントタイプ。ほかの人と相部屋になります。 |
出発時刻は17時37分。ワルシャワまで約6時間と長時間の旅になりますが、2等車のコンパートメントは室内に電源がなかったので、車内ではウトウト居眠りをしながら過ごしました。
国境を越えてポーランドに入国すると、BlauのSIMを入れたスマホがSMSを受信。そのままベルギーを通過したのと同じように、ひとまずEU圏内用のローミングプランで通信します。
■1年半ぶりのワルシャワでSIMを購入
ワルシャワに到着したのは23時08分。さすがに朝5時台から鉄道を乗り継いで移動してきたのでヘトヘトです。その日はホテルに直行して、翌日ポーランドのSIMを買いに行くことに。ポーランドのSIMは以前レポートしたとおり。今回も同じく家電量販店のサターンに行くと、PlusのSIMが売っていました。
Plus以外のキャリアのSIMもあり、ラインアップは豊富。 |
前回購入した1GBのタイプは見当たらず、300MBのパッケージを購入。ワルシャワ滞在は2日間だけなのでこれで十分です。9ズローティー(約290円)と価格も1年半前と一緒でした。
APNなど設定項目は下記のとおり。
APN: plus または internet
ユーザーID: 空白
パスワード: 空白
ちなみにパッケージの価格は変わりませんが、追加で購入できるデータパッケージの価格が変わっていました。1年半前は20ズローティー(約650円)で745.5MBでしたが、今回買ったパッケージには、1.3GBと記載されており倍増しています。
SIMパッケージに記載された料金表。かなり安くなってます。 |
というわけで、2日間かけてスペインのバルセロナから、ポーランドのワルシャワまで一気に移動してきました。列車のシートに座っているだけとはいえ、かなりハードです。ポーランドでは2泊して、さらに東へと向かうのですが、ここでルート選択に問題が……というところでまた次回!
【ユーラシア大陸最西端から日本までの移動費】
●バルセロナ・サンツ駅→パリ・リヨン駅:99ユーロ(約1万2900円)
●パリ・リヨン駅→パリ北駅:1.8ユーロ(約240円)
●パリ北駅駅→ベルリン中央駅:155ユーロ(約2万200円)
●ベルリン中央駅→ワルシャワ中央駅:29ユーロ(約3800円)
●前回の移動費:1万4355円
合計……5万1495円
欧州は鉄道網が発達しているので、乗り継ぎ乗り継ぎでどんどん進めます。疲れますけど。 |
■関連サイト
Lebara mobile(フランス)
Blau(ドイツ)
Plus(ポーランド)
SNCF(フランス国鉄)
DB(ドイツ国鉄)
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