なんだろう、面白そうだ。これは今月25日、朝日新聞社が始めたクラウドファンディングサービス『A-port』に載っているプロジェクトの1つ。
そう、まさかの朝日新聞がクラウドファンディングに参入したのだ。旗を振っているのは同社の新組織、朝日新聞メディアラボ。目標は年間240件を成功させること。目的は「クラウドファンディングで誰もがチャレンジしやすい社会を作ること」だという。
同ラボに所属する中西知子さんが、クラウドファンディングに感動したのが始まりという。ドキュメンタリー映画監督の友人が、映画の製作費を得るため、クラウドファンディングを成功させたプロセスに感銘を受けたのだとか。
アメリカにはKickstarter、Indiegogoといった巨大なプレイヤーがいるが、日本の認知は進んでいないと感じた中西さん。実際、インターネットコムによれば、昨年2月時点でクラウドファンディングを「知っている」と答えたのはわずか7.7%だった。もっと国内でもクラウドファンディングを広げたいという思いから、自社で始める決断をしたそうだ。
強みは老舗メディアならではの発信力。朝日新聞をはじめ、ハフィントンポストやWithnewsのような系列メディアと情報を連動させた特集を張っていきたいという。すでに朝日新聞25日朝刊およびハフィントンポストに連動記事を掲載している。
運営モデルとしてはKickstarterとおなじ「購入型」。消費者は製品やプロジェクトを「支援者」として予約購入する。
投資型とちがい、出資による元本割れのようなリスクはないが、支援者には、偽りのプロジェクトを公開して資金をだまし取られる、プロジェクトが実行されない、約束した特典(リターン)が届かない、といったリスクがある。
基本的にプロジェクトを支援するかどうかの判断は「支援者の責任」。不正防止対策としては、同社でプロジェクトに問題がないか審査にあたるという。弁護士などで構成される諮問委員によるチェック機構も設けている。
事業としては手数料モデル。たとえば、目標を達成しなくてもプロジェクトの実行を約束する「実行確約型」の場合、目標金額の達成時は20%、未達成時は25%の手数料が発生する。収入は提携先のクラウドファンディングサービス「MotionGallery」とシェアする形。プロジェクトが成功したあと、朝日新聞社を通じて継続的に製品を販売する考えはまだないという。
国内の購入型クラウドファンディングとしては、サイバーエージェントグループのMakuake、独立系のきびだんごなど。Makuakeからは「さわると声が出る抱き枕」のように新しい製品が生まれている。意外な大手の参入で、クラウドファンディングに追い風の予感だ。
■関連サイト
A-Port
※手数料発生時の条件(実行確約型)に関する記述を追加しました。(29日)
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