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Oculus Riftの最新試作『Crescent Bay』 コンテンツの進化も実感!:GDC 2015

2015年03月08日 14時00分更新

文● 広田稔 編集●アキラ

3月2~6日に米国で行われていたゲーム開発者向けイベント“GDC 2015”では、バーチャルリアリティの分野が大きく注目を集めていました。今回は、その火付け役とも言えるOculus VRの『Oculus Rift』をピックアップ。エキスポ会場のど真ん中に大きなブースを構えて展示していた、最新試作の『Crescent Bay』についてレポートします。

 試作というと数が限られていそうですが、筆者が確認できた限りでは今回、4社のブースでCrescent Bayがデモに使っていました。特に人が集まっていたのはOculus VRのブース。前年のGDCでは、30分も並べば普通に体験できたのですが、今年はブースがぐるりと待機列に囲まれていてまったく動かない……。それでも並び続けている人たちを見て、期待と人気を肌で感じました。

Crescent Bay:GDC2015
↑こんな感じで大人気なOculus VRのブース。
Crescent Bay:GDC2015
↑Crescent Bayで体験できたVRコンテンツは、短編を連続で流すものでした。宇宙人が出てきたり、恐竜が頭の上をまたいで行ったり、カートゥーン風の2Dアニメだったりと、バリエーションに富んでいました。
Crescent Bay:GDC2015
↑Crescent Bayは、エピック・ゲームスやNVIDIAのブースにもありました。エピック・ゲームスは、Oculus Rift用コンテンツの開発ツールである“Unreal Engine 4”をリリースする企業です。
Crescent Bay:GDC2015
↑両社の体験コンテンツは、『GeForce GTX TITAN X』の記事でも紹介した、映画『ホビット』のスピンオフになる“Thief in the Shadows”。スマウグという竜が出現して、体験者をおどしてきます。さらにエピック・ゲームスでは、対戦シューティングの『EVE:Valkyrie』も用意。
Crescent Bay:GDC2015
↑ “CryENGINE”をリリースするクライテックのブースでも見つけました。
Crescent Bay:GDC2015
↑体験できたコンテンツは、CryENGINEでつくられた恐竜モノの『Back to Dinosaur Island』。巨大生物は、バーチャル空間で「デカい!」と驚きを与えてVRHMDの面白さを引き出しやすい題材なので、わりとモチーフにされていたのだと思います。
Crescent Bay:GDC2015
↑ちなみにOculus VRでは、サムスンと共同開発したモバイル向けHMD『Gear VR』も展示していましたが、こちらは従来の『Galaxy Note 4』を使ったバージョンで、直前のMWCで明らかにした『Galaxy S6』シリーズ向けではありませんでした。

 筆者は第1、2世代(DK1、DK2)と開発キットを触ってきましたが、Crescent Bayをかぶるのはこれが初めて。というのもCrescent Bayは、昨年9月にOculus Riftの開発者イベント“Oculus Connect”でお披露目されて以来、海外のイベントでしか展示してきてないからです。やっぱり初体験は“総本家”で……ということで、まずはOculus VRのブースにて見てきました。

 Crescent Bayの体験は、今年のCESから利用している『Oculus Live』というアプリから予約が可能で、指定された時間に行けば15分ほど待って中に入れました。この予約組とは別に、当日待ちも可能で、そちらがブースをぐるりと取り囲んでほとんど動かない行列でした。今後、Oculus VRが出展するイベントでもアプリ予約を受け付けると予想されるので、ぜひ体験会に行く前にはチェックしてみてください。

Crescent Bay:GDC2015
Crescent Bay:GDC2015

 ガイドをダウンロードして、“Demo Registration”から30分刻みで予約が可能。1枠あたり上限が15人と、かなりゆったりとした体験時間が確保されていました。

Crescent Bay:GDC2015
↑体験ブースは、防音壁に囲まれた個室。
Crescent Bay:GDC2015
↑ようやく対面できたCrescent Bay!HMD部のあちこちにある白い点は、体験者がどの場所にいるかを外部カメラで認識するポジショントラッキングのためのLEDになります。新たに後方にもLEDがついたため、360度の追尾が可能になりました。
Crescent Bay:GDC2015
↑横から見たところ。新要素である付属のヘッドホンは、着脱の際、鳥が翼を広げるように上に上げられます。
Crescent Bay:GDC2015
↑部屋の2メートルほどの高さには、ポジショントラッキング用のカメラが埋め込まれていました。
Crescent Bay:GDC2015
↑床には、1メートル四方ほどのマットを展開。体験者は、このゾーンを外れなければ歩き回ることが許されていました。部屋には必ず説明員がいて、HMDをかぶっているときに事故が起こらないように、細心の注意を払っていることが伝わってきます。
Crescent Bay:GDC2015
↑というわけで装着。視界がクリアーか、適度に締め付けられているかどうかを聞かれて、ヘッドホンを下ろして体験がスタートします。

 最初に感じたのは「軽っ!」ということ。現行のDK2は身につけると前方に重心がある印象を受けますが、Crescent Bayは不安になるほど軽いです。ヘッドホンの着け心地もよく、付属なので頭を動かしてもずり落ちないのがうれしいところ。物理的な不快感をなるべく排除することで、バーチャル空間から現実に引き戻されにくくなったということです。

 デモが始まると、視界のクリアーさを実感。さらに頭をすばやく振ってみても、DK2より映像ぶれ(ジャダー)が起こりにくい、というかほとんどわかりませんでした。

 DK2は解像度が両目で1920×1080ドットで、フレームレートが75fpsでしたが、Crescent Bayでは2560×1440ドットで90fpsに引き上げられたといわれています。個人的には、DK1からDK2への進化のほうが「液晶から有機ELに変わるとこんなにキレイになるんだ!」と驚きましたが、今回もスペックの底上げが体感できる着実なアップデートでした。

 360度のポジショントラッキングも良好。DK2では、体験者が後ろを向いたり横に動きすぎたりしてカメラの認識範囲から外れると、バーチャル空間でCGがずれるという現象が起こっていましたが、Crescent Bayでは体ごと後ろに向けても完璧にトラッキングされていました。

 体験中にもうひとつ強く感じたのは、3Dサラウンドのよさです。ハードではなくコンテンツの話になってしまいますが、例えば、正面の遠くから大きな音がして恐竜が現れ、こちらに近づいてきて上をまたいで後方に行く、というコンテンツでは、音の出所も前から後ろに連動するので迫力満点です。いずれのコンテンツも3Dサラウンドを強く意識しており、VRならではの楽しさを引き出していました。

Crescent Bay:GDC2015
↑しゃがんで下から巨大生物を見上げる筆者。

 まとめると着実にハードウェアが進歩し、さらにVRの魅力を増すようなデモコンテンツも揃えてきて、ますますOculus Riftが面白くなったということになります。複数のブースに提供していたように、試作機の台数も増えてきている模様。国内でいつ体験できるかは未定ですが、ぜひお披露目の機会があったらぜひかぶりに行ってほしいです。

Crescent Bay:GDC2015
↑「バーチャルリアリティすげー!」となること請け合いです。

※初出時、記事に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

■関連サイト
Oculus VR

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