インテルは先日発表したモバイル向けCPUの新シリーズ『Atom x3』、『Atom x5』、『Atom x7』の詳細をバルセロナで開催中のMWC2015にて発表しました。
エントリーモデル&低価格価格端末向けのAtom x3(C3000シリーズ、開発コードネーム:SoFIA LTE、SoFIA 3G-R、SoFIA 3G)、ミドルレンジ&市場の主要モデル向けのAtom x5(Z8300&Z8500シリーズ、開発コードネーム:Cherry Trail)、そしてパフォーマンス重視の端末向けにはAtom x7(Z8700シリーズ、開発コードネーム:Cherry Trail)が用意されます。
↑Atom x3シリーズ。 |
中でもAtom x3はインテル初の“モデム入りのSoC”で、3GとLTE通信に対応しています。モデルは『Atom x3-C3130(3G、最大1GHz、デュアルコア)』、『Atom x3-C3230RK(3G、最大1.2GHz、クアッドコア)』、『Atom x3-C34440(LTE/3G、最大1.4GHz、クアッドコア)』の3種類。対応する通信規格や動作クロックだけでなく、サポートするディスプレー解像度や対応動画コーデック、メモリーによって分けられています。
↑Atom x3の特徴。 |
Atom x3はどれも28nmプロセスで64ビット環境をサポート。OSはAndroidおよびWindowsに対応しています。ただし、スマホ版Windows 10のサポートについては、後日公開するとしています。
気になるパフォーマンスについてですが、公開資料によると、軽度な写真フィルターの適用速度を測ったところ、海外の低価格スマホでよく使われるMediaTek『MT6582』やクアルコム『MSM8212』と比べて、C3230RKは1.8倍、C3130は1.5倍の性能をもっているようです。
Atom x3の中で最も高性能なC3440は、クアルコム『MSM8926』に比べて2倍、『MSM8916』に比べて1.6倍の性能を備えているようです。
Atom x3シリーズをサポートするメーカーは中国メーカーなどが多数を占めています。日本でも販売中の低価格スマホ『ZenFone5』などでお馴染みのASUSも参加。より格安な端末が日本でも出ることを期待したいところです。なお、搭載端末の登場時期は現状では不明です。
↑Atom x5とx7の特徴。 |
一方で、ミドルレンジからハイエンドまでをそれぞれカバーするAtom x5とx7は14nmプロセスで、AndroidおよびWindowsのフル機能をサポートしています。
↑Atom x5とAtom x7のラインアップ。 |
Atom x5は『Atom x5-8300(クアッドコア、最大1.84GHz)』と『Atom x5-8500(クアッドコア、最大2.2GHz)』の2種類を用意。注目したい違いは8300では同社の3D技術RealSenseスナップショット(R100)をサポートしているのに対し、8500はRealSense 3Dカメラ(R200)に対応している点です。また、x7シリーズは『Atom x7-8700(クアッドコア、最大2.4GHz)』のみで、こちらもRealSense 3Dカメラに対応し、WiGigなどもサポートします。
Atom x5とx7はx3と違い、モデムは外付け。対応モデムは同時発表された『XM7360』となり、対応バンドは29種類、下り最大450Mbpsの高速通信、VoLTE、3×3のキャリアアグリゲーションなどに対応しています。
x5とx7に関しては、ASUS、エイサー、レノボ、デル、東芝、hpなどがサポートを表明。搭載端末は2015年上期にも登場するとしています。ですが、モデムチップであるXM7360については2015年下期に登場となっているため、最初のうちはWiFi版のみの端末での利用となりそうです。
同社は今回発表したそれぞれのCPUと、低消費電力の『Core M』利用製品の想定価格帯も公開。Atom x3-C3130の端末は超低価格で75ドル(約9000円)と予想されており、現状“1万円スマホ”などと呼ばれる市場に攻め入る姿勢なのがわかります。
日本では現状、LTEや3Gで利用できるスマホやタブレットでインテルCPUを載せたモデルはあまり多くはありませんが、今年は低価格でモバイル通信できるx86端末が増えるかもしれません。
(2015年3月3日15時33分訂正:記事初出時、Atom x3のプロセスを24nmと表記していましたが誤りです。正しくは28nmです。お詫びして訂正します。)
●関連サイト
インテル
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