以前、記事で取り上げたXiaomiを筆頭に、最近は2~5万円で購入できるミドルレンジ端末の品質が向上しています。
これまで大手キャリアによるハイエンド端末ばかり売られてきた日本では、ミドルレンジ端末に触れる機会が少なかったのですが、ようやく”格安スマホ”の本格的な流通が始まったことで、にわかに注目度が集まってきました。
果たして「ハイエンド機はもういらない」といえる時代は来るのか――最近筆者が注目したミドルレンジ端末を例に挙げつつ、考えてみたいと思います。
■ASUSのZenFone 2は199ドルから
日本では、ASUSのSIMフリー端末として『ZenFone 5』が人気ですが、1月頭に米国で開催されたCES2015では、新機種となる『ZenFone 2』が登場しました。
↑CES2015で発表された『ZenFone 2』。5.5インチの大画面が印象的だ。 |
5.5インチの大画面や最新Atomプロセッサー、最大4GBのメモリーなどのハイスペックを実現しているのが特徴です。さらに、2GBメモリー、16GBストレージのモデルは価格が199ドル(約2万3320円)からと、その低価格さが大きな話題となりました。
発表会場でも「本当に199ドルなのか?コントラクト(2年契約)の値段ではないのか?」といった議論でもちきりとなりました。また、インテルはスマホ向けAtomプロセッサーを実質的に無料で供給しているのではないか、といったウワサも飛び交っていたほどです。
↑ZenFone 2の兄弟機として発表された、光学3倍ズーム搭載の『ZenFone Zoom』。ズームレンズとはいってもレンズが飛び出すわけではないので、使い勝手は普通のスマホと同じ。価格は399ドルからと、こちらも安価だ。 |
■米国でシャープのAQUOS CRYSTALを150ドルで購入
米国出張時にいつも悩むのが、日本と大きく異なる携帯電話の周波数です。iPhoneやNexusシリーズ、ハイエンドのLumiaシリーズのように対応バンドの広い端末を用意するというのも、ひとつの手です。
しかし今回のCES出張では、日本でもソフトバンクがスプリントと共同調達の端末として話題を呼んだ、シャープのAQUOS CRYSTALを購入してみました。
↑シャープのAQUOS CRYSTAL。CES2015の会場にも展示されていたほか、米国の家電量販店で簡単に購入できた。 |
↑こちらがSprint Prepaid版のパッケージ。149.99ドル(約1万7568円)と安い。 |
↑一緒に購入した45ドル(約5270円)のバウチャー。国内無制限の音声通話や、3GBのデータ通信が利用できる。 |
米国では、こうしたプリペイド端末が家電量販店にパッケージごと吊り下げられており、レジに持っていくだけで購入できます。端末本体の価格は149.99ドル(約1万7568円)、スプリントの3GBのデータ通信が使える45ドル(約5270円)のバウチャーなどと合わせて、合計207ドル(約2万4245円/税込み)という安さでした。
フレームレスのディスプレーは圧倒的なインパクトがあり、149.99ドルのスマホではあり得ないと言ってもよいクオリティーの高さです。
唯一の難点はカメラまわりで、オートフォーカスが遅く、暗めの場所では思うように撮影できません。また、海外端末にもかかわらず、標準ではシャッター音を切る機能がないのも困ったところです。
↑AQUOS CRYSTALのカメラで撮影。空が白飛びしているのは気になるが、屋外ではまずまずといったところ。 |
↑食事中の写真では、フレーミングアドバイザーで画角を調整しやすい。しかしオートフォーカスがなかなか合わない上に、ピントが合わないまま撮影されることも多数あった。 |
AQUOS CRYSTALは日本でも発売されたものの、スピーカーとのセット販売となっており、価格は高めでした。もし1万円台で店頭にパッケージが山積みになるようなことがあれば、飛ぶように売れるのではないでしょうか。
■ALPHAの魅力を普及価格帯で楽しめる『GALAXY A』シリーズ
サムスンのスマホといえば、日本でも発売されたGALAXY Note Edgeや、海外向けのGALAXY Note 4が知られています。しかし高級コンパクトとしては、なんといっても『GALAXY ALPHA』の存在を抜きにして語ることはできません。
↑金属的で高密度な質感がすごい高級コンパクト機『GALAXY ALPHA』。日本ではなぜか未発売というのが惜しい。 |
GALAXYといえばプラスチックのイメージが強かったのに対して、ALPHAは薄型軽量で金属的なボディーを採用しており、これまでにない高級感があります。
このALPHAのイメージはそのまま、300~450ドル(約3万5118円~約5万2677円)程度の普及価格帯に落とし込んだモデルが、『GALAXY A3』と『GALAXY A5』です。両機種ともにCES2015のサムスンブースに展示されました。
↑こちらは4.7インチの『GALAXY A3』。4.7インチの画面はALPHAと同じで、本体の質感も似ている。 |
↑5インチの『GALAXY A5』は、ひと回り大きい。画面解像度やカメラもやや異なる。 |
単なる廉価版ではなく、ALPHAにはないmicroSDを搭載するなど、GALAXY Aシリーズが上回る点もあります。ただし、背面カバーは取り外し不可となり、バッテリー交換には未対応となりました。
↑5MPのフロントカメラを搭載、豊富なセルフィー機能も特徴とする。 |
ソニーモバイルのようにハイエンド集中路線を採るメーカーがある一方で、ミドルレンジスマホの性能が予想以上のスピードで高まっています。2015年はSIMフリー市場の拡大とともに、これまで以上にスマホの選択肢が増えることになり、スマートフォン市場がゆるやかに変わっていくことは、間違いなさそうです。
山口健太さんのオフィシャルサイト
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