今週の新藤晶子氏対談『え、それってどういうこと?』にはピンタレスト・ジャパン代表の定国直樹さんが登場。画像や動画をクラップブックのように集めるSNS『Pinterest(ピンタレスト)』の楽しみ方や、定国さんの経歴をうかがった。
定国 直樹(さだくに なおき)
2013年10月、ピンタレスト・ジャパン株式会社代表取締役社長に就任。ピンタレストの日本における責任者として、日本のピンタレストコミュニティーをサポートすると同時に、ファッション、フード、デザインなどのカテゴリーにおけるパートナーとの連携を担当。ピンタレスト・ジャパン入社以前は、スクエア・ジャパンでCo-Leaderを務めた。過去にはマッキンゼー&カンパニーでコンサルタント、グーグルジャパンでプロダクトマーケティング統括部長、等々を経験。京都大学の電気工学課程で学士号、修士号を取得し、後に南カリフォルニア大学でMBAを取得。
Pinterestの着想は標本から
進藤:Pinterestはそもそもはコルクボードが原型だとうかがいましたが。
定国:ええ。ひと言で言うと、オンライン上で楽しむコルクボードであり、ビジュアルベースのスクラップブックなんです。スクラップブックって雑誌を切り抜いて貼っていくイメージだと思いますけど、それがオンライン上でできるということですね。また、創業者のベン・シルバーマンが子どものころに蝶の標本が好きだったというのがあって。その標本をオンラインで表現したらどうなるんだろうというのも、もともとの発想、着眼点だったんで。実際に画像をお見せしながら説明したほうがいいですね。
進藤:お願いします、ぜひぜひ!
定国:(パソコンでPinterestを開く)これが私のボードです。パッと見、四角がたくさん並んでいますが、これがそれぞれのスクラップブックになっているわけです。僕の場合は、もともと最初に就職したのがオートバイの会社だったくらい、すごくオートバイが好きなんですね。
進藤:ヤマハ発動機ですよね。それでいろいろなオートバイがこのスクラップブックに集められている。 定国 次はこういうのに乗りたいなーと思いながら画像を貼っているんです。あとは部屋の模様替えもPinterest上で考えました。少し前に家を建てたんですが、リビングをどういう雰囲気にしようかと悩んでいて。うちの場合は妻と私がシンプルモダン系を好きなので、そういう写真を集めていきました。 進藤 すてきな画像がいっぱい。こんな感じのお宅なんですね。
定国:ここまですてきではないですけれども、目ざすのはこういう方向だということですね(笑)。一方でこういうのもあります。「2014年、私はこういうことをしよう」というボードです。
進藤:すごい。抱負がいっぱい。
定国:「今年こそは傘を忘れないぞ」とかね(笑)。典型的な使いかたとしては、たとえばうちには妻がひとりと、小学生の子どもが2人いて。
進藤:おいくつですか。
定国:12歳と8歳の男の子です。それで、家族で楽しく過ごせる空間がほしいと思ってリビングを広めにとったり、ベランダをつくったりしたんです。だけどベランダに置く緑がなかなか決まらなくて。でも実はそういう疑問こそ、Pinterestが得意にしている部分なんですよ。たとえば「ベランダを僕の家族にとって気持ちいい空間にしたいんだけど?」って聞いてもきっとグーグル検索には答えられない。
進藤:たしかに詳細なイメージまでは期待できないでしょうね。
定国:その点、Pinterestなら具体的なイメージが出てくる。まず、妻といっしょにボードをひとつつくって、好みの植物やインテリアの画像を貼っていったんです。するとほかのユーザーさんでこういうのを集めている人がいて、そのかたのコレクションからすてきだと思うものを自分のボードに貼ったり。そうやってほかのユー ザーさんとつながるのもおもしろいですね。
定国直樹氏 |
技術でポジティブなインパクトを与えたい
進藤:定国さんはそもそも京都大学で工学を学ばれ、大学院まで進まれました。ヤマハ発動機入社後は、南カリフォルニア大学でMBAを取得、マッキンゼー、グーグル、スクエア・ジャパンと。なんですか、この華麗なご経歴は(笑)。
定国:いやいや(笑)。ただ単純で、かつエンジニアで、やっぱり技術がすごい大好きだっただけです。いまでも好きですけど。
進藤:技術が好き?
定国:テクノロジーで世の中をよくするとか、人々の生活がもっと楽しくなったら、単純におもしろいなと思っているんですよね。技術者からビジネス側になっても、その思いはいまでも変わっていないです。業態もいろいろなことをやってきましたが、技術ベースで世の中に対してポジティブなインパクトを与えたいというところはずっと一貫しているかもしれないです。そのためには私も相当いろいろ悩んできました。
進藤:スイスイ進まれてきたわけでは……。
定国:そんなことは、まったくないですね。
進藤:そうやってご自分のやりたいことにたどりつくための、転機の乗り切りかたについて、定国さんがアドバイスするとしたら。
定国:そうですねえ。ただ、仕事を一生懸命にやっていると、いまの目の前のことにかかりっきりになりがちになってしまいますが、それでもときどきは「俺ってそもそもなにがしたいんだっけ」ということを冷静に振り返る時間も大事だと思うんですよ。
今回の聞き手
新藤 晶子(しんどう まさこ) '71年9月10日生まれ、フリーキャスター。著書に、本誌連載をまとめた『出会いの先に』(小社刊)がある。http://www.shindomasako.jp/
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11月25日発売の週刊アスキー12/9号(No.1006)では、定国直樹さんを直撃したインタビューをすべて掲載。
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