パナソニックが2014年9月に発表したコミュニケーションカメラ『LUMIX DMC-CM1』がようやくヨーロッパで発売されました。スマホとしてもハイエンド、そしてデジカメとしても高性能なCM1の実力を実機で体験してみました。
↑見た目はスリムな高級デジカメ。 |
背面側の大きいレンズ部分を見ると、CM1はまさにデジカメそのもの外見をしています。レンズ部分は周囲がリング状になっていて、回すことで絞りやシャッター速度、マニュアルフォーカス時のピント合わせなどにも利用可能です。このコントロールリングは一定間隔ごとにクリック感があり、小気味よく回すことができます。このあたりの動作はパナソニックのデジカメ“LUMIX”にも採用されています。
↑スマホ側はシンプルな4.7インチ画面。 |
スマホ側は4.7インチのディスプレーで、ホームボタン類のないすっきりとした仕上がり。パナソニックのロゴもここにはありません。ホーム画面はシンプルで背面側と類似した革のシボ模様の壁紙がデフォルトになっています。
↑マイクロSIMとマイクロSDは側面から入れる。 |
側面(カメラとして見ると底面)側にはトレイ式のマイクロSIMカードスロットと、押し込み式のマイクロSDカードスロットを備えます。このふたつのスロットの後ろには引き出し式の台紙が入っており、そこに端末のIMEI番号が記載されています。CM1がスマホである証でもありますね。
↑アプリは標準+LUMIX、技適もあり。 |
プリインストールアプリはAndroidとして標準的なもの。それに加えて“4Kアプ連写”、“4K Photo”、“Photo Search”のパナソニック独自アプリが3つ。これらはCM1のカメラ機能を拡張するアプリです。また、ギャラリーは独自の拡張機能を持っています。日本語ロケールも標準搭載、技適も通っており海外で販売されているものをそのまま日本で使うことも可能です。
↑ベンチを測ってみた。 |
『Snapdragon801』(2.5GHz、クアッドコア)のCPUを搭載したハイスペックスマホでもあるCM1。“AnTuTu”と“Quadrant Professional Edition”でベンチマークテストを実施してみましたがどちらも高い数値を出しています。
↑カメラの起動はワンタッチ。 |
CM1の側面にはスライド式のカメラボタンが備わっています。カメラを利用したい時は指先でスライドするだけですぐにカメラが起動。起動後はレンズ部分が6ミリ程度前に繰り出します。最近のスマホはXperia Z3などが同様にカメラボタンを備えていますが、CM1のカメラの起動は非常に早く、恐らく0.5秒以下。撮りたいシーンを逃すことはなさそうです。今回、旅行先では常にCM1を持って写真を撮影しましたが、走行中のタクシーの中から見つけた路上の看板もCM1で問題なく撮影できます。
↑カメラUIはLUMIXそのもの。 |
CM1のカメラ部分はSnapdragonではなくパナソニックのデジカメと同じ『ヴィーナスエンジン』で動いています。そのためカメラのUIもほかのAndroidスマホとは異なり、LUMIXと同等のつくり。しかも画面状のアイコンのタッチ操作に対するレスポンスも速く、デジカメとしても非常に使いやすくなっています。
↑撮影モード切替もワンタッチ。 |
画面左上のモードアイコンをタップすると、画面上から撮影モードをカンタンに切り替えることも可能。このあたりもデジカメならではの機能です。“通常はおまかせiA”あるいは“インテリジェントオートプラス(iA+)”モードにしておけば風景から食事までキレイに撮影してくれます。
↑片手での保持は画面に指先が振れやすい。 |
さて、実際にカメラを使ってみると、背面の液晶画面の占める面積が大きいことから片手で撮影しようとするとどうしても画面上を親指で押さえてしまうことがよくありました。ただ、画面に指が触れていてもフォーカスはきちんと被写体に合わせてくれますから、ピントの位置がずれてしまったり、合わなくなる、ということはないようです。
↑この持ち方はちょっと安定しない。 |
毎日CM1を使い込みながら自分なりの片手保持のポジションを見つけていくのがよさそう。また、手ぶれ補正がないのでしっかりした写真を撮影するときは両手で保持するほうがよさそうです。
↑ストラップが欲しかった。 |
また、日本メーカーのスマホや、デジカメなら標準ともいえるストラップホールが無いのはちょっと残念。本体形状はカメラとしては平らなので、持ち方によっては人がぶつかったときなど落としてしまうかもしれません。この点は次の機種ではぜひ採用してもらいたいものです。
↑高機能なギャラリーアプリ。 |
CM1内蔵のギャラリーはパナソニック独自のもので、Android標準のものよりも使い勝手が増しています。
まず、撮影したデータのGoogleドライブへの自動バックアップ機能が備わりました。これは携帯電話回線を内蔵したCM1ならではの機能で、撮影した写真が自動的にGoogleドライブへアップロードされるのです。PCへの写真転送もこの機能を使えばクラウド経由、ケーブルレスで行なえるわけですね。また、表示した写真を長押しすると、画面四方向にメニューが現れワンタッチでシェアや編集も可能です(このUIは日本で発売されていたパナソニック製スマホ“ELUGA”にも搭載されていました)。
↑写真のシェアもカンタンにできる。 |
Android標準のギャラリーでは写真を選択してからシェアボタンを押してアプリを選ぶ必要がありますが、こちらのアプリではよく使うソーシャルサービスを登録しておけばシェアもワンタッチ。4方向すべてを別々のソーシャルサービスに設定することもできますし、LTE内蔵のメリットを大いに生かすことができるでしょう。
↑4K動画からの切り出しに対応。 |
さて、CM1は4K動画の撮影にも対応していますが、そこから静止画を切り取って写真として保存することが可能です。アプリ“4K Photo”を起動し4K動画を選択、切り出したい部分を指定するとその前後1.5秒の区間も切り出し対象として表示されるので、気に入ったシーンを選んで保存するだけ。
↑切り出した画像はこちら。SNS利用なら問題なし(クリックすると元画像にジャンプします)。 |
切り出された画像の解像度は3840x2160ピクセル。スマホの画面で見る程度なら動画から切り出したとは思えないでしょう。
↑モバイルバッテリーは必需品。 |
使い続けて最も気になるのは電池の持ちです。公式な最大撮影枚数が不明なのですが、数日使ってみると250枚程度撮影した時点で電池残量が10%前後、といったところ。連続して撮影を続けたり、途中1時間くらい使わなかったり、ということもありましたが、デジカメとしてはまずは合格というところでしょうか。
ただし、LTE通信で写真の自動バックアップを行なうと電池の持ちはより短くなるのは確実です。内蔵電池容量は2600mAhで交換はできないため、モバイルバッテリーの携帯は必須でしょう。
↑スマホに高画質デジカメは最高の体験。 |
スマホのカメラ画質は年々高まっているものの、ボケの効いた写真や暗闇での撮影はまだまだデジカメには及びません。一方デジカメは撮影後の写真を共有したり加工するのにまだ難点があります。この両者が合体したCM1は、今までのスマホにもデジカメにもなかった新しい体験を与えてくれるでしょう。
実際にこの1週間で1000枚以上の写真を撮影しましたがそのどれもが満足のいく結果でした。しかも、その写真を即座にメールで送ったりシェアしたりできるわけです。ヨーロッパでの販売価格は889ユーロ(約13万円)、かなり高価ですがその値段の価値は十分にあると感じました。日本での発売を心待ちにしたいものです。
以下、作例になります。クリックすると圧縮前の画像をご覧いただけます。最大で約11MB程度のファイルになるので、モバイルネットワーク環境で表示する際はご注意ください。
ISO125, F4.0, 1/1000秒, 0EV |
ISO160, F2.8, 1/60秒, 0EV |
ISO125, F2.8, 1/125秒, 0EV |
ISO125, F4.0, 1/320秒, 0EV |
ISO1600, F2.8, 1/50秒, 0EV |
ISO1600, F2.8, 1/30秒, 0EV |
ISO500, F2.8, 1/60秒, 0EV |
ISO200, F2.8, 1/60秒, 0EV |
●関連サイト
パナソニック DMC-CM1製品ページ(独)
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