楽天市場とサウンドハウスの諍いのような動向がネットで話題になっている。
ことの発端は、楽器や音響機器を扱う老舗店舗であるサウンドハウスのニュースリリースである。
かねてより楽天市場へ出店していたが急遽取りやめを決定。その理由は楽天市場が「一方的に弊社の決済口座としては楽天銀行の口座に一本化するということを決めた」からだということ。
サウンドハウスは「出店店舗の銀行口座を勝手に開設し、決済用口座としてはその口座しか認めないということは、これまでの日本の商習慣ではありえないこと」と、怒りをあらわにした文面で楽天市場との決別を表明している。
“楽天銀行の口座に一本化”というのは事実で、楽天銀行では11月13日より各店舗の振込先口座をすべて楽天銀行の楽天市場支店へ変更している。
楽天市場側に問い合わせたところ、これらの改変の目的は、昨今問題が深刻化しつつあるインターネット詐欺などの犯罪被害を防ぐためということ。
楽天銀行に出店者専用の口座を開設し統一することで、犯罪発生時には銀行振込みにおける代金の流れが掌握できる点がメリットという。
ユーザーとして見ると、振込先が楽天銀行の口座となる意外では従来のやりとりと変化はないため、犯罪が入る余地が狭められたぶん安心感が高まったと言えそうだ。
サウンドハウスが苦言を呈する“銀行口座を勝手に開設”という部分については、楽天市場の担当者によると合意が前提であるということ。
また、一部の報道では、こういった楽天市場とサウンドハウスのトラブルは、担当者退職による伝達ミスが原因かとも言われている。
私にはもう一点、どうしても気になる部分がある。
楽天市場が“楽天銀行の口座に一本化”したというのは、独占禁止法に当たらないだろうか。
独占禁止法とは、公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにする法律。たとえば有名な例でいうと、WindowsOS搭載のPCのブラウザーに「Internet Explorer」がデフォルトで設定されていたために、これが自由な競争を妨げると裁判が起こった。
これから考えると、多数の事業者が出店可能であるECにおいて、購入者との取引の銀行を限定しているというのは問題がありそうだ。
そこでたまたま、掲示板アプリ『LINE Q』で本職の弁護士さん元榮太一郎さんが登場するタイミングだったので、『LINE Q』にてこんな質問をしてみた
「楽天市場は独占禁止法に当たらないでしょうか?」
・・・残念ながらこの質問に対する返答は現在までありませんでした・・・。
ということで真実こそわからなかったが、楽天市場が主張する取引の場を限定した上での安全性の向上”と、サウンドハウスが訴える“従来通りの自由な口座の選択”という要望は真っ向から対立している。モールサービスの犯罪に対して様々な施策がこうじられる中、楽天市場に限らずこういった矛盾点は今後も顕在化されるのもしれない。
■関連サイト
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