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変態度が突き抜けて気持ちがいいサムスンのスマホ・ケータイの歴史

2014年11月12日 18時00分更新

 側面もディスプレーになっているというサムスン電子の『GALAXY Note Edge』。日本ではフツーに売っていますが、実は海外に先駆けての販売で、他国ではまだ米国と韓国のみで売られているというレアな製品です。しかしこのNote Edge、よくよく見ると「よくもこんなディスプレーを作ったな」と思えますよね。

サムスン
↑サムスンの歴史=変態端末の歴史。

 今は世界シェア1位のスマートフォンメーカーに上り詰めたサムスン電子ですが、その過去を振り返ってみるとNote Edgeのように他社がやらない、いやそんなものどうして作ったの?と思えるような変態系の端末も多数出していました。コンデジ内蔵やプロジェクター内蔵のスマートフォンは最近でも見かけますが、実はかなり昔からそんな変な端末をいろいろ投入していたのです。

サムスン
↑GALAXY Cameraのルーツは2009年。

 日本では発売されていませんが、海外では意外と人気のあるコンデジ内蔵の『GALAXY Camera』『GALAXY Zoom』シリーズ。スマートフォンの背面にコンデジさながらのズームレンズを無理やり載せちゃったこれらの製品は意外にもいい写真が撮影できるので実用的な製品です。

 スマートフォンにカメラを載せてしまうなんてなかなか思いつかないアイデアですが、すでに2009年に『Samsung W880』という携帯電話が発売されていたのです。レンズやシャッターボタンあたりのデザインはコンデジそのもの。背面側は3.3インチディスプレーのタッチパネルの携帯電話、カメラは12メガピクセルで以外にも普通のコンデジよりも使いやすかったかもしれません。

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↑さらにさかのぼる2003年からこんなものを作っていた。

 このW880も突然出てきたと思いきや、さらにさかのぼる2003年にはもっとカメラらしいデザインの携帯電話『SPH-S2300』を出していました。3.2メガピクセル&3倍ズームカメラは当時としては最強スペック。

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↑裏側もかなり面白い仕上げ。

 ディスプレーは非タッチ、普段は十字キーを使いその部分をスライドさせると2段に並んだ10キーが現れるなどこれもかなり凝った作りになっています。使い勝手はイマイチだったかもしれませんが「とりあえず作っちゃおう」てなサムスン電子の精神はこのころからすでに健在だったわけです。

サムスン
↑昔はカメラは飛び出していた。

 カメラに特化したケータイを出していた一方、同じころ韓国メーカーは手のひらにすっぽり収まる小型スライド式端末の開発にも注力していました。日本はiモードの普及が進み大画面化と折り畳み型が主流になっていたころで、真逆の方向を向いていたことになります。そして本体を小型化しながらカメラを搭載するために生まれたアイディアがこの『E850』のポップアップ式カメラ。このギミックによりカメラ部分を自由に回転させることができたのは結構便利だったのかも。

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↑回転する2画面ケータイ+メガピクセルカメラ。

 サムスン電子はギミック好きなんだなあと思わせるのが2005年の『SCH-B100』。スリムなキャンディーバースタイルの端末ですが、背面側を回転させると大型ディスプレーが現れてモバイルTVを楽しめるというケータイ。しかも回転するヒンジ部分にメガピクセルカメラを搭載。素直に大画面ディスプレー端末にしないあたり「ギミックで驚かしちゃおう」っていう設計者の遊び心も感じられます。

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↑MP3プレーヤーも回転させちゃうぞ。

 こちらは直方体のコンパクトな音楽プレーヤー。iPhone登場以前は音楽といえばウォークマンかiPodでしたが、アジアでは韓国や中国製のMP3プレーヤーもメジャーでした。この『F210』は閉じた状態では音楽プレーヤーとして使え、回転させれば10キーが現れて携帯電話として使うことが出来ました。見た目もスタイリッシュ。

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↑欲張りすぎて何が何だか分からなくなった端末も。

 一方、ギミックに懲りすぎたら何をやっているかわからなくなってしまった製品もあります。2007年のこの『Samsung P110』は、折り畳みスタイルながらもヒンジが斜めについており、しかも自由に回転。そのまま縦に開けば普通のケータイとして使えますが、キーボードをよく見ると10キーとQWERTYキーのミックス。

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↑QWERTYスタイルも発売は中止。

 ケータイスタイルの時もディスプレーは縦向き、横向きどちらの方向に向けることも可能。そしてディスプレーを本体の横に位置させればQWERTYキーボード端末のようにメッセージも楽に打てる形状になります。1台で何役もこなせる端末として世に出るはずですが、結局は製品化はされなかったようです。

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↑このころのサムスンは悩んでいた。

 こちらも2007年にアナウンスされたものの結局世の中に出てこなかったモデル。デュアルスライド式で、やはりQWERTYキーボード端末としても使えるデザイン。このころはBlackBerryがイケイケの時代でしたから、メッセンジャー端末としても使えるQWERTYキーボードの需要も高まっていたんでしょう。

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↑デュアルスライドはこんなスマホもあった。

 サムスン電子はSymbianスマートフォンも開発していましたが、多種多様な製品バリエーションを誇るノキアに対して出してきたのがこの『Samsung i450』。スライドさせると10キーが現れ、反対にスライドさせると圧力式のカーブ状のコントロールセンサーが現れるという音楽スマートフォンでした

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↑今も復活を願いたい、名機のSerenata。

 同じ2007年に発売された『Serenata』は高級オーディオのバング・アンドオルフセン(B&O)とのコラボモデル。上にスライドさせるとスピーカーが現れるギミックの本体は曲線を活かした美しいフォルム。そのスピーカーが奏でるサウンドは携帯電話とは思えない高音質でした。このままスマートフォン化して今出しても十分通用するデザインでしょう。

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↑フリップカバーの元祖はこれだ。

 そしてカード型携帯電話もサムスン電子は作っていました。高級文具のような外見から意外にもビジネスユーザーに人気があったようです。そのためこのような革調のフリップカバーもセットで売られました。最近のスマートフォンには横開きのフリップカバーがいろいろ出ていますが、その元祖はGALAXYシリーズ。そしてそのアイデアはすでにこのカード携帯『P310』の時代に生まれていたわけです。このP310も2007年の作品。iPhoneがメジャーになる前はいろんな形の端末が世の中に出ていたわけですねぇ。

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↑カードもねじっちゃうぞ。

 スタイリッシュなF210もその後のモデルは直方体から薄いカードスタイルへ。そのカード型の端末のディスプレー部分だけを回転できるようにしちゃったのが『Ultra Video F500』。こうしてディスプレーを立てるとビデオを見るのも便利ですね。でも裏側は10キーを備えたフツーの携帯電話。両面にディスプレーがある端末だったのです。

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↑プロジェクター内蔵のGALAXY Beamもここから生まれた。

 スマートフォンの本体上部にプロジェクターを内蔵してしまった『GALAXY Beam』シリーズの考えも、2009年に『Samsung i7410』として製品化されていました。韓国のみの発売でおそらく売れ行きはあまりよくなかったと思いますが、その後も開発をやめずにGALAXY Beamで再び製品を世に送り出した。

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↑サムスンはまだまだ隠し玉を持っている。

 こうして振り返ってみるといろいろな製品を作り続けてきたことがわかります。もちろん売れなかった製品もあるでしょうが、アイデアをすぐ形にして製品化してしまうという動きの速さこそがサムスン電子の強みでもあるのでしょう。この秋冬のサムスン電子の新製品は冒頭に書いたGALAXY Note Edgeのほか、タフなボディーの『GALAXY Active』とSIMカード内蔵のスマートウォッチ『Samsung Gear S』の3製品。いずれも他社にないサムスン電子ならではのオリジナリティーにあふれる製品ですが、それらはいきなり出てきたのではなく、こうした過去の試行錯誤を続けた結果生まれた製品なわけです。次はどんな面白い製品を出してくれるのか、2015年のサムスン電子の新製品に期待したいものです。

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