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「脱法行為だ」増収増益が続くau 『ドコモ光』展開のドコモを強くけん制

2014年11月01日 13時30分更新

 KDDIは10月31日、都内で決算説明会を開催。2015年度上期の業績を発表した。上期の営業収益は2兆1319億円、営業利益は3848億円。前年同期比でそれぞれ4%、11%増の増収増益となった。

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↑決算は営業収益、営業利益とも2期連続で成長。
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↑モバイルの通信料増加が、好調の要因。

 同社代表取締役社長の田中孝司氏によると「モバイル通信料の増加が、au WALLETなどの先行コストを吸収している」といい、通信料収入の伸びが堅調な業績の最大の要因。その背景には、低い水準を維持しているという解約率や、上期107万件を超えたという純増数がある。

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↑純増数増加や解約率の低下が背景にある。

 また、スマートフォンへの移行も順調に推移しており、「モバイル通信料収入を伸ばしたもうひとつの背景」となっている。第1四半期については、1~3月に激しいキャッシュバック合戦が繰り広げられた変動もあり、「需要が大きく減った」もの、第2四半期でこれが回復。販売台数は193万台で、「スマートフォンの比率は52%まで上がっている」という。

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↑端末の販売台数は回復傾向にある。

 1ユーザー当たりのデータ量も増加傾向にある。田中氏によると、新料金プランで5GB以上のパケットパック契約したユーザーは全体の44%。月間のデータ量の推移も、今年の9月時点で3GBを超えるようになった。

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↑ユーザーのデータトラフィックが増加していることも、通信料収入増加の要因。

 通信料以外の分野では、付加価値ARPUが向上。これを牽引しているのが『auスマートパス』。「スマートフォンの浸透とともに拡大し、9月末で1140万件」となった。

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↑auスマートパスが、付加価値ARPUを牽引する。

 好調な業績のKDDIだが、これを維持するための競争力強化にも余念がない。モバイル事業については、「ネットワーク、デバイス、サービスそれぞれの強化を図っている」といい、10月27日に発表された冬モデルや新サービスのVoLTEを紹介。ネットワークについては、実人口カバー率が99%を超えたことや、下り最大150Mbpsのキャリアアグリゲーションを導入していることが語られた。

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↑ネットワーク、デバイス、サービスで競争力を強化。

 新規事業では、au WALLETが660万件を突破。また、「auの垂直統合型サービスに加えて、オープン領域が成長の両輪となるようにしていく」として、アプリ開発会社と共同で取り組んでいる『Syn.(シンドット)』が紹介された。このほか、au回線を使うMVNOを拡大する施策の一環として、KDDIバリューイネイブラーという会社を設立。国際事業の分野では、ミャンマーのMPT(ミャンマー国営郵便・電気通信事業体)とともに設立したキャリアが、9月だけで100万枚のSIMカードを販売したことが明かされた。

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↑MVNOを支援するKDDIバリューイネイブラーや、ミャンマーでの取り組みを紹介。

 順風満帆に見えるKDDIの業績だが、好調要因のひとつである『auスマートバリュー』には強力なライバルが出現した。同日開催されたNTTドコモの決算説明会では、代表取締役社長の加藤薫氏が光回線の提供を開始すると発表。『ドコモ光』と銘打ったサービスを展開し、モバイルとのセット割引を導入することが明かされた。また、ソフトバンクも同日、NTT東西のFTTHを活用したセット割引を導入する方針を明かした。

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↑対象を徐々に拡大してきたauスマートバリューだが……。

 これに対する見解を問われた田中氏は次のようにコメント。「脱法行為」という言葉を使ってNTT東西やドコモを強くけん制している。

「そもそも論として、NTTの固定系の設備はユーザーの電話の設備設置負担金でできたネットワーク。これを使って、接続という形で他事業者が使う透明なルールがあった。それを、卸というかたちで2020年に向けて新たなイノベーションが起こるようにしたいというのがNTTの考え方。ただし、卸によってセット割がスタートするのは、脱法行為だと思っている。それを発表したことに対して、一体何なんだろうというのが本音。最低限、透明性、公平性を確保しなければいけないのに、そういう議論がなされている最中にサッと発表したのはいかがなものか」

 一方で、田中氏が「どうしようかなぁ」と漏らすように、ドコモ光に対する具体的な対抗策はこれから検討していく模様。「あちらにはフレッツから切り替えるという最終手段もある。キャッシュバック合戦も勘弁してほしい」と本音をのぞかせた。

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↑KDDI代表取締役社長の田中孝司氏。

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