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孫社長「夢いっぱいで毎朝起きるのが楽しい」初の営業利益1兆円超え

2014年05月08日 08時30分更新

 ソフトバンクは、平成26年3月期の決算を発表した。売上高は対前年比で倍増となって6兆円を突破。営業利益は初めて1兆円を超え、増収増益。米Sprintやウィルコムらの買収にともなって売上高が急増したほか、移動体通信事業が好調に推移した。

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↑孫正義社長。

 売上高は同108.2%増の6兆6666億5100万円、営業利益は同35.8%増の1兆853億6200万円、純利益は同33.9%増の5861億4900万円となり、業績は順調。孫正義社長は、国内企業で利益1兆円を超えたのはNTTとトヨタ自動車だけで、それぞれ118年、65年の歳月を要したが、ソフトバンクは33年で達成した、と胸を張る。

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↑決算のハイライト。

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↑売上高は、Sprint買収の効果で倍増。それを除いても過去最高となった。

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↑EBITDAも過去最高。これもSprintを除いても最高益を達成。

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↑営業利益は1兆円を突破。ガンホーやウィルコム子会社化にともなう2500億円の一時益が奏功した。

 売上の増加は、13年第2四半期に子会社化した米Sprintの2兆6010億3100万円、1月のイー・アクセス、4月のガンホー・オンライン・エンターテインメント、7月のウィルコム、10月のSuercell、14年1月のBrithtstarといった移動体通信事業での買収が寄与した。通信料収入などの増加に加え、こうしたやつぎばやの買収施策が、売上高を倍増させた形だ。

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↑売上高は携帯大手2社を抜いて1位に。

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↑純利益も同様。

 買収にともなう費用の増加などで利益を圧迫したが、それでも35.8%増の1兆853億6200万円まで伸ばし、1兆円の大台に達した。Sprintやウィルコム、ガンホーなどの買収の影響を除いても業績を伸ばしており、孫社長は好調さをアピールする。

 業績の中心となる移動通信事業は、売上が同35%増の3兆1655億1800万円。ウィルコムらの買収に加え、ソフトバンクモバイルの契約数と端末販売数が増加したことで、通信料など各種売上も増加した。iPhoneなどの販売手数料など、費用も増加したが、売上の伸び率がそれを上回り、利益も同17.8%増の6089億5000万円となった。

 純増数は344万5000件となり、累計の契約数は3592万5000件となった。2010年以来、4年連続で年間の純増数が1位だった。比較として意味があるかどうかはともかく、米Sprintを加えると日米での累計契約数は1億を超え、NTTドコモやKDDIとは大きく差が開いている点をアピールする。

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↑契約数の推移。

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↑移動通信事業は順調に売り上げを伸ばしている。

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↑営業利益も過去最高益。

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↑「設備投資はピークを越えた」としており、今後は順次減少させる。

 ARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)は同100円減の4450円。そのうちデータARPUは同150円増の2930円となった。iPhoneを中心に端末販売を伸ばし、1417万5000台を販売した。非音声端末が2年契約で満期を迎えたことで、解約率は0.18ポイント増の1.27%で高止まりしている。

 Sprint事業は、売上高が2兆6010億3100万円で、12億1600万円の損失。契約数は30万3000件減の5488万7000件だった。営業利益は前期6億ドル近い赤字だったが、4億ドル以上の黒字に転換。EBITDAマージンも上昇に転じ、「成長の兆し」(孫社長)が見え始めた。Sprintは、「ネットワークは悪い、ブランドは傷ついている、収益は悪い、さまざまな問題がある中で改善してきた」(同)。孫社長は、「ソフトバンク流のマネージメントで利益を改善させていきたい」と話し、まずはネットワークの構築を進め、社内のオペレーションコストの効率化を図った上で、契約数増加に向けた取り組みを実施していく意向を示した。

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↑Sprintは利益やEBITDAで反転。

 固定通信事業は売上が同3.2%増の5480億9000万円、利益は同4.9%減の1086億1200万円。ADSL事業が減収となったが、イー・アクセスの売上が計上され、売上が増加した。

 インターネット事業では、売上が同12.1%増の3998億6900万円、利益は同4.6%増の1889億4900万円。ヤフーのディスプレイ広告やスマートフォン経由の経由の検索連動広告が好調で、eコマース事業における出店無料化を行っており、Yahoo!ショッピングでは審査が終了次第、約7万8000店まで急増し、楽天の約4万店を抜いて国内最大になる見込み。ただし、現時点では販促費や人件費などの費用が増加し、利益には貢献していない。

 とはいえ、孫社長はショッピング内の取扱高が過去最高に達したとしており、店舗数拡大の効果が現れ始めているという。手数料無料かなどにより、店舗側もコストが削減できることで、各店の商品の価格で「もう少し弾力性が出せ、消費者に還元される」と孫社長は話し、より安く販売する店舗が増え、取扱高がさらに伸びると見込む。

 ヤフーは、さらに6月からイー・アクセスを吸収し、新たにワイモバイルとして携帯電話事業に参入。スマートフォンとヤフーサービスの連携による利益拡大を図る。孫社長は、「ソフトバンクがいろいろなところにお金が必要だから、現金の調達源としてヤフーに押し付けた」などといった声があるとしつつ、ヤフー側は「本気でワイモバイルを新たな成長軸として伸ばす」意気込みだと強調した。

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↑ヤフーの利益も過去最高益。

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↑店舗数で楽天を逆転する見込み。

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↑四半期ベースでは、取扱高も過去最高に。

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↑ワイモバイルによる新たな成長を狙う。

 海外のインターネットサービスでは、グループの中国アリババが、米国でIPOを行う予定。売上は同4倍の3516億円と拡大。米ebayとAmazon.comの純利益を足した額よりも利益を稼いでるとアピールする。

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↑アリババの事業も好調。

 オンラインゲームではガンホーのパズル&ドラゴンズ、Supercellが好調。さらに端末の調達力を向上させるため、米Brightstarを子会社化。売上高1兆円規模の端末・アクセサリ販売、中古端末買い取り事業となった。

 2014年度の連結業績予想は、これまで売上高7兆円、EBITDA2兆円、営業利益1兆円を目標としてきたが、Brightstarの子会社化で売上高は8兆円に上方修正。営業利益は13年度と同じ1兆円ながら、ウィルコムなどの買収による一時益2500億円分がなくなるため、「実質的には2500億円の増益」(同)が目標だ。

 孫社長は、決算に関して「細かい数字も意味はあるが、もっと大切なのは中長期的にどのように事業を展開していこうとしているかが大切」と強調。とはいえ、将来の計画を話さないという方針のため、「どのように事業を展開」するかは分からない。孫社長は、「今、夢いっぱいで毎日朝起きるのが楽しい。新たな手をいくつも考えている」とコメントし、計画達成に向けてさまざまな取り組みを実行していくとしている。

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↑2013年度の決算のサマリー。

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↑2014年度の業績予想。

 国内のモバイル事業では新料金プランを発表したが、ドコモの新料金プラン発表を受けて一時取り下げており、内容の検討に入っている。孫社長は、「NTTはある意味ずるい。ドコモは一番シェアが大きく、固定はNTTグループが圧倒的シェアを持っているので、NTTグループ内で完結できる」と指摘。無制限の音声定額とは言え、グループの利益になるため、「比較的実行しやすい」(同)という認識だ。とはいえ、「劣るようなサービスをするわけにはいかないので、同等か、少し角度を変えた形」(同)で、新たな料金プランを提供したい考え。

 また、900MHz帯を使ったLTEサービスに関しては、提供の前に既存の利用者の移行を進める必要があり、「4月からは立ち退きが終了すれば電波を吹いていい」(同)という状況になっている。現在、「最後の数社について手続きをやっている最中」(同)であり、今夏にもサービスを開始する計画だ。

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