週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

GeForce GTX980性能ベンチ 軽いゲームにも効果絶大の超省エネGPU

2014年09月19日 11時45分更新

 本日9月19日、NVIDIAはDirectX12に対応したハイエンドGPU『GeForce GTX980』および『GeForce GTX970』を正式にリリースしました。米国での予想価格はGTX980が549ドル、GTX970が329ドルとなっています。GTX980のサンプルボードを入手できたので、早速テストしてみたいと思います。

GeForce GTX980

■TDP165WでSP数2048基へスペックダウンした?

 それでは簡単にGTX970/980のスペックを確認してみましょう。

TGS2014
↑今回入手したGTX980のリファレンスボードの情報を『GPU-Z』で表示させてみたところ。

 これまでGPUの性能はSP(CUDAコア)の数で決まるというのが定説でしたが、今回のGTX980はGTX780よりも256基も少ない2048基しかありません(GTX970は770より増えてますが)。そしてメモリーバス幅も384bitから256bitにダウン。唯一クロックが最低1126MHzと並外れて高いことと、TDPが165Wと低いことの2点。ここまでの数値だけを鵜呑みにすると、性能が低いように見えますが、GTX970/980はGTX750Tiで衝撃を与えた新アーキテクチャ“Maxwell”の進化版“第2世代Maxwell”を採用しているため、少ないSPでも高性能、というのが売りです。

GeForce GTX980
↑TDP165Wと少ないため、補助電源は6ピンが2つ。推奨電源出力も500Wと使いやすくなっています。


 第2世代Maxwellのスゴさに関しては、笠原氏が解説しているのでそちらをご覧ください。ざっと注目すべきポイントを列挙します。

・ハードウェアベースのメモリー圧縮技術でメモリーの実効帯域アップ
 メモリーバスが狭くなっても、データを圧縮して取り扱うことで性能が稼げる、という技術です。

・HDMI2.0に初対応
 4K液晶でリフレッシュレート60Hzを出すにはDisplayPortが必須でしたが、GTX970/980ならHDMIでも出せます。ただしディスプレー側もHDMI2.0対応が必須です。

GeForce GTX980
↑ディスプレー出力はDVIが1系統に減りましたが、DisplayPortが3系統に増加。そしてHDMIはひっそりと2.0対応になっています。

・“DSR(Dynamic Super Resolution)”で軽いゲームが高画質化
 画面を超高解像度で一度レンダリングして、液晶の解像度に合わせて縮小表示する技術。Macのレティナディスプレーと同じ理屈ですが、細い線を使った表現(草むら)などが特にキレイになります。DSRはゲーム側の対応は基本的に不要(ゲームの解像度上限が固定されていないことが条件)なので、古めのゲームでも使えます。

GeForce GTX980
↑『ダークソウル2』でフルHD液晶に普通に表示した場合(左)と、DSRを使い4K相当の解像感にした場合(右)。細長い葉の表現が格段に向上しています。

・高品質でも軽いアンチエイリアス“MFAA”
 既存のMSAAと同等の効果を約3割低い負荷で実現する新しいアンチエイリアス技術です。DSRが軽いゲームを高画質化する技術なら、MFAAは重いゲームを軽くする技術。ただし現在MFAAは対応ドライバ待ちです。

・VR酔いを防ぐ“VR Direct”
 Oculus RiftのようなVRヘッドセットでは、視線の動きよりも描画が遅れやすいため“VR酔い”が発生します。NVIDIAの提唱する技術“VR Direct”を使うことで、低遅延のVR環境が得られる、というものです。上述したDSRやMFAAもVR Directの構成要素になっているため、VR環境にはGTX970/980が最適という訳です。

■検証環境は?
 本題のベンチに入る前に、検証環境を紹介します。比較用のグラフィックボードはGTX680以降のハイエンドGeForceを準備しましたが、一部調達が間に合わずOC版を使っています。

●検証用PC
CPU:Core i7-4790K(4GHz、最大4.4GHz)、マザー:ASRock Z97 Extreme6(Intel Z97)、メモリー:Corsair CMY16GX3M2A2133C11(DDR3-1600で使用、8GB×2)、SSD:Crucial CT512M550SSD1(512GB)、電源ユニット:オウルテック AU-850PRO(850W、80PLUS GOLD)、OS:Windows 8.1 Pro(64ビット)

●比較用グラフィックボード
・GeForce GTX780Tiリファレンス、MSI N780GTX Twin Frozr 4S OC(GeForce GTX780)、GeForce GTX680リファレンス

■1枚でFire Strikeのスコアーが10000超え!

 まずは『3DMark』の『Fire Strike』および『Fire Strike Extreme』のスコアーを比較します。

GeForce GTX980

 見事にFire Strikeのスコアーが10000を超えました。GTX780Tiを基準にすると2割も速くなっていませんが、GTX780より下のグラボを使っているなら、相当な性能アップになりますね。続いては、NVIDIAイチオシのゲーム『ウォッチドッグス』を使います。アンチエイリアスSMAA、テクスチャーと画質関係は全て“高”に統一。解像度はフルHDと4K解像度の2通りで試しました。市街地の一定のコースを走った時のフレームレートを『Fraps』で測定します。

GeForce GTX980
GeForce GTX980

 GTX780Tiだと60fpsを割ることがありましたが、GTX980なら常時60fps以上をキープでき、平均してもGTX780Tiより7fps程度高いフレームレートで遊べます。さすがに4Kになるとフレームレートはガクッと下がりますが、それでも30fpsを死守しているのはさすが。GTX780/780Tiの最低fpsの落ち込み方が大きいのに、GTX980は最低fpsがあまり落ち込まないなど、パフォーマンスが改善された感がひしひしと感じられます。

 最後に『Watts Up? PRO』を使ってシステム全体の消費電力を比べてみました。システム起動10分後をアイドル時、3DMarkの『Fire Strike』デモの同一シーンを高負荷時としています。

GeForce GTX980

 GTX780Tiの消費電力よりも高負荷時80W近くも低く、さらにアイドル時の消費電力もわずかですが下がっています。さすがワットパフォーマンスを売りにしたMaxwellアーキテクチャの最新版、といったところですね。ただTDP190WのGTX680よりもTDP165WのGTX980の方が消費電力が大きいため、TDP165Wという値はやや大げさかな、と感じざるを得ません。しかし1ワットあたりの性能はハイエンドGeForceの中でも格別に高くなっているのは確か。ゲームを始めたら5時間くらい一気にプレーしてしまう人なら、GTX980はまさに光熱費削減の神といえるでしょう。

■DSRは試す価値あり。ハイエンド好きなら買いだ!
 駆け足でGTX980をチェックしてきましたが、ワットパフォーマンスの高さはさすがMaxwellといったところ。今までの経緯からこの後に“GTX980Ti”なんて上位版が出てきそうな気がしますが、RADEONがGCNで上位モデルをつくっても、今以上の爆熱&大飯食らいのGPUになるのは間違いなく、対抗馬となるGTX980Tiが出てくるタイミングはまだまだ後になりそうです。
 そして何よりGTX980で面白いのは軽いゲームの画質をあげる“DSR”の存在。GTX970/980を組み込み、解像度設定を見直すだけで画質が上がるというのは、これまでのGPUになかった面白いフィーチャーです。
 最大のネックは国内流通価格。米国価格を考えると為替レートの高さに泣きたくなりますが、ハイエンドGPU好きやコアゲーマーなら間違いなく買い。こんな面白いGPUは久しぶりといえるでしょう。

■関連サイト
NVIDIA

週刊アスキー
Amazonで購入は表紙をクリック
Kindle版はこちら ※付録は付きません
週刊アスキー
Kindle版はこちらの表紙をクリック
週刊アスキー
Amazonで購入は表紙をクリック

週刊アスキーはNewsstandでも配信中!
Newsstand 電子雑誌をダウンロード

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります