『Samsung SSD 850 PRO』発売開始 SATA SSDとしては最速クラス

2014年09月14日 17時00分更新

　自作PC業界でサムスンといえば独自設計の3コアコントローラーを利用した高パフォーマンスのSSDを連発するメーカーです。そのサムスン製の最新ハイエンドSSD『850 PRO』が2014年9月12日に発売になりました。型番から分かる通り、850 PROはMLCタイプのNANDフラッシュメモリーを使い、高耐久＆高性能を追求したモデル。TLCを使いコスパを追求した『840 EVO』よりも上のラインになります。今回はその850 PROを入手したのでテストしてみました。

Samsung SSD 850 PRO MZ-7KE256B/IT
●サムスン（販売 ITGマーケティング）
実売価格 2万4000円前後

　850 PROの見どころをざっとまとめると以下のようになります。

1.コンシューマー向けでは初の“3D V-NAND技術”を採用
2.コントローラーは400MHz駆動の“MEX”を採用。
3.平均故障時間は従来の150万時間から200万時間へ。これに伴い保証期間も従来の5年から10年へ延長。
5.2.5インチ、7mm厚

　技術的にイチバンのトピックは何といっても3D V-NANDでしょう。メモリーセルを平積みオンリーから32層の垂直積層に変更することで、プロセスを極端に微細化せずにNANDフラッシュメモリーの大容量化に成功しました。850 PROの容量は1TBが最大ですが、さらに大容量のSSDが安価に製造できる道筋を開いたことになります。検証環境は以下の通りです。

CPU：Core i5-4670K（3.4GHz、最大3.8GHz）
マザーボード：ASRock Z97 Extreme6（Intel Z97）
メモリ：Crucial BLT2K8G3D1608ET3LX0（PC3L-12800 8GB×2）
グラフィック：CPU内蔵
SSD：512GB
電源ユニット：AU-850PRO（850W、80PLUS GOLD）
OS：Windows8.1 Pro（64ビット）

■SATA SSDとしては最速クラス
　それでは『CrystalDiskMark』で性能をざっと見てみましょう。データサイズが100MB/1000MB/4000MB時のデータをとってみました。サムスンのSSDコントローラーはSandForce系コントローラーのようにデータの圧縮率で性能が変わりませんが、一応ランダムとゼロフィルでとってみました。


100MB×5、ランダムデータ


1000MB×5、ランダムデータ


4000MB×5、ランダムデータ


100MB×5、ゼロフィルデータ


1000MB×5、ゼロフィルデータ


4000MB×5、ゼロフィルデータ

　順次読み書き性能はほぼSATAの限界値近く出ていますが、100MB/1000MBのテストでは、4K以外のランダム読み込みも毎秒400MB以上の値が出ています。お買い得路線のSSDだと、順次は速いがランダムは遅いという製品が多いのですが、エンタープライズ向けをうたう850 PROはランダム性能もしっかりと出るよう調整してあることが分かります。もちろん最新のPCI-E接続のM.2 SSDには及びませんが、これはSATA3接続である以上仕方のないこと。ただし2.5インチ/SATA3接続という仕様であるため、複数台運用やRAID運用が自在にできる、というメリットがあります。

　もうひとつ『AS SSD Benchmark』で性能をチェックしてみます。

　こちらも順次読み込み毎秒500MBを超える性能を出しています。

■まとめ：性能はもちろんだが、10年保障は特筆すべきメリット
　以上本当に駆け足で850 PROの性能をチェックしました。繰り返し解説している通り、最近の2.5インチSSDは性能がSATAの限界に到達しているため頭打ちになっていますが、そこまで成熟（？）したパーツジャンルだからこそ、付加機能の差で買う時代になってきた、ということでしょう。同社の840 EVOはコスパなら、この850 PROは安定した速さに加え10年保障という安心感が武器です。長く安心して使えるSSDが欲しいなら、今のところベストな選択ではないでしょうか。

●関連サイト
SAMSUNG SSD Online