現在、所沢航空発祥記念館内にて“アニメフェスタin所沢”というイベントが開催されている。その中で週アス的にズームアップしたいのが、9月28日まで展示している、アニメ『シドニアの騎士』の“継衛((つぐもり)発進体験装置”だ。劇中の3Dモデルや5.1ch音声を利用し、VRヘッドマウントディスプレーの『Oculus Rift』でリアルにコックピットを再現したという。一体、どんなものなのか……。星白閑役の声優・洲崎綾さんの体験談も含めてレポートしていこう!
↑というわけで、洲崎綾さんとやってきました埼玉県の所沢航空発祥記念館。西武新宿線の航空公園駅から徒歩8分の場所にあります。 |
↑館内には、航空機やエンジンの実機がズラリと並び、男子なら見てるだけでハートをわしづかみにされる。シミュレーターも充実しており、子連れの来場者が楽しんでいました。 |
↑常設展示にくわえて、特別展示であるアニメフェスタin所沢を見るための入館料は、大人1000円、小・中学生200円。シドニアの騎士のほか、『ストライクウィッチーズ』や『攻殻機動隊 ARISE』など空と科学技術のアニメが9作品参加。ボーカロイド『IA』のミニライブも実施している。 |
電脳世界に入れるSFのアイテムが『Oculus Rift』だっ!
日本では“2次元と3次元をつなぐ夢のデバイス”として、徐々に知名度をあげつつある米Oculus VR社のOculus Rift。用意した360×180度の全周パノラマコンテンツをOculus Riftをかぶって見ると、視界が端から端まで全部覆われる。さらに頭を動かした方向にあわせて映像が自然に切り替わるので、まるで3Dや実写の世界に自分が入り込んだ感覚を味わえるのが新しい。
えっ、それってSFのアイテムみたいじゃないかって? そうなんです! 今のところ開発者向けで、Oculus VRのサイトから直で購入するしかないが、このVRの体験がヒジョーに面白く、Oculus Rift自体が350ドルと安価なこともあって、「自分も何かつくってみたい」と多くの開発者が飛びついて、さまざまな作品が生まれている。ポップカルチャーと結びついたものも多く、例えば、初音ミクと握手できるMiku Miku Akushu、アニメ『ソードアート・オンライン』の名シーンを再現した映像コンテンツ、映画『パシフィック・リム』の巨大ロボ“イエーガー”に乗ってカイジューと戦うコンテンツなどがある。
“継衛発進体験装置”もそうした流れのひとつ。シドニアの騎士の劇中では、人類が人型兵器“衛人(もりと)”に乗り込んで、奇居子(ガウナ)と呼ばれる異生物と戦闘を繰り広げている。その主人公“谷風長道(たにかぜながて)”になりかわって、彼の機体である“継衛(つぐもり)”のコックピットに座り、宇宙船“シドニア”から宇宙に発進する場面を体験できるというのが今回の展示だ。ちなみにアニメについては、本日20時から3日にわけてバンダイチャンネルにて全12話を無料で一挙ライブ配信するので、まだ見ていない人はチェックすべし。
↑継衛発進体験装置の体験には予約が必要。平日は9時50分~10時30分、11時30分~12時、13時30分~14時、14時30分~15時の4回。土日祝日は9時50分~11時、11時30分~12時、13時30分~14時、14時10分~15時、15時30分~16時の5回から選べる。Oculus VR社が非推奨のため7歳以下は体験できない。 |
↑まずは洲崎さんにご体験いただきます。手に持ってるのがOculus Rift。細かい話ですが、7月末から出荷が始まったばかりの開発者向けキット2(DK2)です。 |
↑Oculus Riftをかぶってイスに座ると……、そこは衛人のコックピット。左側のモニターには、洲崎さんが見ている空間が平面で表示されています。2画面横に並んでいるのは、視差をつけた両目用の映像を生成しているため。 |
↑後ろを振り返ると、ちゃんとコックピットの背もたれが見えます。これには洲崎さんも感動。 |
↑あまりのリアルさに、コンソールや操縦桿に触ろうと手を伸ばす洲崎さん。触れられないのが非常に残念……。 |
↑ゲートにライトがついて扉が空いて発進。迫りくる宇宙に洲崎さんも「おお!! おおおー!」と大興奮でした。 |
↑継衛が宇宙に飛び立ち、右手を見ると宇宙船シドニアが見える。さらに目線を正面に戻すと仲間の衛人が飛んでいくところが見える。 |
↑……というところで体験終了。おつかれさまでした! |
体験後、洲崎さんに感想を聞いてみたところ「初Oculus Riftだったんですが、まさかこんなに密閉していて、本当にコックピットに乗ってる気分を味わえるとは。雄叫びを何回あげたことか。操縦桿が本当に触れそうで手を伸ばすんですが、壁に当たってしまいました(笑)」と興奮気味にコメント。「アニメでは普段は前しか見えないので、コックピットの後ろ側が見えるのが新鮮。『長道たちにはこんな景色が見えてたんだ』というのが味わえて感激でした」と絶賛していた。
筆者も体験してみましたが、まず元々のアニメ映像を制作したポリゴン・ピクチュアズから提供された3Dモデルによるコックピットの精密さがスゴい。あまりにリアルで、目の前にある操縦桿をつかもうと手を伸して触れないのが逆に不自然に感じたぐらいだ。解像度が両目でフルHDとより細かくなり、空間における頭の位置も検出できるようになった最新のDK2を使うことで、さらに没入感が高まっている。
↑正面の壁中央には、DK2用の赤外線センサーが埋められている。Oculus Rift本体の正面にいくつか埋め込まれた赤外線を検知し、その光を結んだ形で空間における位置を検出してくれる。今回のコクピットでいえば、頭をコンソールに近づけるだけでそこが拡大表示される。 |
さらにシドニアの本編でも使用されている5.1ch音声が臨場感をアップさせている。発進前、司令部からの通信が流れているのを耳にすると、なんとなく緊張してしまう。そこから轟音をあげて宇宙に飛び出し、静かな宇宙を進むというギャップが、ロボットアニメ好きならぐっと来るはずだ。この5.1ch音声は音が出てくる方向が固定されているので、例えば正面を向いた際に右から出てる音は、左を向くと真後ろから聞こえるように感じる。細かい話だが、作り込みのスゴさに驚いた。
継衛発進体験装置を制作した面白法人カヤックの原真人さんによれば、シドニアのアニメの表現に驚いて、Oculus Riftのサンプルをつくり始めたとのこと。その作品が社内で好評を得て、さらに知り合いづてにシドニアのアニメ関係者に見てもらったところ、今回の展示に結びついた。ちなみに原さんは『BLAME!』もチェックするほど、シドニアの原作者である弐瓶勉さんのファンだそうです。
Oculus開発者的に気になるのはこのDK2の動作環境だが、マウスコンピューターのゲーミングPC『G-Tune』のデスクトップ機を利用している。CPUはCorei7-4770K、グラフィックカードはGeForce GTX770、メモリーは16GB、OSはWindows 7といった具合だ。Unityで開発し、フォグなどの効果をかなり盛っているものの、体験時は遅延なくぬるぬる動いているのを実感できた。
Oculus Rift、それも最新のDK2を国内で体験できる場所はまだあまり多くない。そしてこの記事でも文章や写真で細かくお伝えしてきたが、VRコンテンツほど“百聞は一見に如かず”なものはない。シドニアのファンはもちろん、ガジェット好きならぜひとも所沢航空発祥記念館を訪れて、今盛り上がって来ているVRの世界を体験してみるべし!
…‥筆者的には、星白がコクピットで光合成してるシーンなどがVRコンテンツ化されると来場者がどっと増えると思うのですが、いかがでしょうか?何卒、ご検討をお願いいたします(`・ω・´)
↑所沢航空発祥記念館は、シミュレーターがかなり充実している。将来的にはここにOculus Riftのコンテンツが並ぶことになるかも!? |
撮影協力:所沢航空発祥記念館
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
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Oculus Rift
シドニアの騎士
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