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NYクリエイター事情:盗聴アートでネットプライバシーを訴えるプログラマー|Mac

2014年08月09日 15時00分更新

 海外のクリエイター達は何を考えてMacを選び、どのように活用しているのだろうか? クリエイターの巣窟であるニューヨークでアートスペースを経営するオーナー池澤 崇氏に、いまアツい注目アーティストを取材してもらう連載「NYクリエイター's Dream」の一部をお送りしよう。

 今回取り上げるのは、ネットプライバシーに対するメッセージをアートで発信するフリーのプログラマー、カイル・マクドナルド氏。斬新なアイデアにより将来を有望視されているフリーのプログラマーだ。現在、音楽ストリーミング配信サービス「Spotify」のプロジェクトに関わっているという。

NYクリエイター

 彼の話題の作品「Conversnitch」は、公園やカフェ、ファーストフード店など公共の場所にある電球を、Raspberry Piなどを仕込んだ電球に勝手に交換し、人々の会話を盗聴してリアルタイムにツイートするというもの。まずは、動画で観てみてほしい

Conversnitch from Kyle McDonald on Vimeo.

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 動画では、ニューヨーカー憩いの場所であるワシントン・スクエア・パークの街灯やマクドナルド店内、図書館で電球を交換する様子が記録されている。この作品および動画には、一切やらせがないそう。見てのとおり、仕掛けられた相手は誰も盗聴されていることに気づかなかったという。

 カイル曰く、「このプロジェクトをやってみてわかったけど、他人の会話って意外にもつまらなくて聞くに値しないものだった。でも、ひとつわかったことは僕のようないちアーティストがこのようなことをすると大いに非難されるけれど、政府や大企業が同様のことをしてもそこまで反発がない。むしろ人々はそういう対象に個人情報を取られていることに気づきながらも諦めている気配さえ感じられるということかな」。

 彼の作品は少々手荒ながらインパクトある方法で、プライバシーの重要さを人々に伝える。特に、大手IT企業のプライバシー侵害に関する横柄な態度にはもっと声を上げていくべきだと語る。

 また、今年4月にバンクーバーで行われたTED2014で披露した作品「Social Soul」は、奇抜な外観で参加者を驚かせただけでなく、内包されたコンセプトに注目が集まった。体験者は50台のモニターを設置した鏡張りの小部屋で大量の画面に囲まれ、自分のツイートから生成された画像や動画に包まれる。そして、その人のTwitter情報に基づいてTED参加者の中からタイプの近い人「Soul Mate」が探し出されるのだ。

Social Soul - TED 2014 from MKG on Vimeo.

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 愛用マシンはMacBook Pro Retina。プログラミングに使うアプリは「Xcode」、テキストエディターは「Subline Text」。3D描画には「SketchupMake」と「Lino 3D」を使用。openFrameworksを使うことも多いそうだ。

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openFrameworksは世界でも米国と日本に多くのユーザーがいるオープンソースのツールキット。動画やアニメーションなど を扱うのに適しており、インタラクティブな メディアアートなどに多く利用される。日米でさまざまなプロジェクトが行われている。

 さらにMacPeople 9月号(7月29日発売)の誌面では、ニューヨーク育ちであるカイルと日本との意外な接点や、日本のアート界についての考えなども詳しく紹介しています。

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池澤 崇 Takashi Ikezawa

東京都出身。1980年生まれの33歳。慶應義塾大学商学部在学中に富士山の登山ガイドとして得た報酬を株式運用し、その資金を元手に世界20カ国をバックパッカー旅行。大学卒業直後に単身渡米。現地金融機関で融資業務に携わったのち、ニューヨーク市立大学でMBA取得。現在はアートスペース、RESOBOX, Inc.代表兼取締役

fromNY
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RESOBOXは、東日本大震災を契機に’11年6月、ニューヨークのクィーンズ地区に設立されたアートスペース。世界中からニューヨークに集まる多国籍のアーティストとのコラボを通し、「日本」をテーマに文化発信している

RESOBOX(外部リンク)
RESOBOX公式Facebook(外部リンク)


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