画像編集ソフトとして名高いアドビの『Photoshop』シリーズ。かつては高嶺の花だったが、『Photoshop CC』と写真編集ソフト『Lightroom CC』が月額980円でセット利用できる格安プランが始まり、とてもリーズナブルに運用できるようになった。
2014年版のアップデートで強化された機能の中で、筆者が気になったのは新しいぼかし機能。“パスぼかし”、“スピンぼかし”、選択範囲では“焦点領域”。この3つは、これまで面倒だった処理工程を大きくカットできるパワーを秘めている。
まずは“焦点領域”から見ていこう。“焦点領域”とは、ざっくりいえばフォーカスの合っている部分だけ自動的に選択してくれるというもので、そこから写真の背景をさらにぼかしたり、切り抜いたりといった処理につなげられる。バキっと人物にフォーカスが合っていて、背景はボケている場合などは、ほぼそのまま使用できる選択範囲ができあがる。また、“境界線の調整”を呼び出せるため、作業パートを分けて微調整をする必要がない点も強化された部分だ。
↑さっそく“焦点領域”をチェックしてみよう。 |
↑メニューの“選択範囲”にある“焦点領域”をクリック。 |
↑“焦点領域”のウィンドウが表示され、自動処理が実行される。先の画像と比較してみると、三脚のハンドルのアーム部分にはフォーカスがきていないので、カットされているのがわかる。残したい部分がある場合は、パラメータ左隣のアイコンから、追加/削除を実行可能だ。 |
↑待つこと数秒で完了。このときFキーを押すと、選択された範囲だけを表示したりといった変更が可能だ。 |
↑“焦点領域”ウィンドウにある“境界線を調整”をクリックすると、機能が切り替えられる。 |
次は“パスぼかし”と“スピンぼかし”。ぼかし機能の強化として用意されたもので、“パスぼかし”は“ぼかし(移動)”の強化版。“スピンぼかし”はほとんど新設された存在だが、たとえばタイヤを回転させたい場合、これまで使っていた“ぼかし(放射状)”は呪詛を垂れ流したくなるくらいめんどうだったのだが、進化してとても楽になった。これも実際のワークフローを見ながらチェックしていこう。
↑加工開始前の写真。電アスレース部が部門優勝を果たしたEco Car Cup 2013のときのものだが、高速シャッターで撮影しているため、タイヤが回転しておらず、また背景も流れてなく、そこに停車している感じ。これを躍動感溢れる感じにしてみよう。 |
↑“焦点領域”で車体と、その影を選択して、選択範囲を反転。それからメニュー“フィルター”にある“ぼかしギャラリー”から、“パスぼかし”を選択。 |
↑矢印なアイコンが表示されるので、それを伸ばしてみよう。この矢印が効果範囲、向きを示す。また右のパネルから微調整も可能だ。 |
↑この“パスぼかし”は複数設置可能で、写真のように微妙に曲がったラインも作成できるため、下記する“スピンぼかし”と併用するとタイヤのホイールだけでなく、タイヤ自体も同じように、回転しているふうにできる。 |
↑背景が無事に流れている雰囲気になったので、次はホイールを回転させる。“ぼかしギャラリー”から“スピンぼかし”を選ぼう。 |
↑円形のツールが表示されるので、それを変形させて回転させたい場所に合わせる。 |
↑右の設定から、回転するレベルのほか“ストロボの強さ”などでも設定可能。これは明瞭度をプラスに倒したときのような挙動。 |
↑ツールが表示されていないところをダブルクリックしてツールを追加しよう。設定はコピーされないので、見えているタイヤぶんだけの作業を繰り返すことになるのがちょっとめんどうかも。このへんはアップデートで設定が保存できるようになるのを期待したい。 |
↑最後に背景と車体の色味を調整したり、車体の影のエッジをぼかしたりして終了だ。 |
Photoshop CCの機能はやたらと膨大で、かつ柔軟に活用できる仕様であるため、ユーザーごとにやり方が異なることが多い。とくに“ぼかし”を酷使したワークフローは多種多様だが“パスぼかし”、“スピンぼかし”も、過程の一部に組み込むことで、これまで面倒だった処理をあっさりと済ませられることもある。
↑なんとなく、十傑集走りを作りやすいんじゃあないかと思って、3分クッキングしてみたもの。腰から下はパペットワープでもっと派手にするといいかも。(※十傑集走り(じゅっけつしゅうばしり)=上半身を微動だにせず、車より早く目で追いきれないスピードで走ることを指す。) |
Photoshop CCは30 日間の無償体験版が用意されているため、気になる人はこの機会に使ってみよう。
※水着の女性画像の詳細については、ASCII.jp『水着のアイドルと「α6000」「Xperia」でオトナの限界を試す!』を参照のこと。
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