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世界で闘うレタッチャーのPhotoshop CC実践テクを真似てみよう

2015年01月12日 16時30分更新

 “Best of MAX”で披露された『Photoshop CC実践講座 広告写真レタッチ技法 アイデアとヒント』講座。博報堂プロダクツ・レタッチャー畠山祐二氏から、Photoshop CC作法として紹介された実践テクで特におもしろかったのが、“Firststep”と命名されたアクションセットだ。写真の処理でよくあるゴミ取りやグラデーションのチェックを最適化するものだ。とても役に立つので、改めて紹介したいと思う。

プロが教えるPhotoshop実践テク
↑博報堂プロダクツ・レタッチャー畠山祐二氏は、Photoshop CCでウルトラマンにスペシウム光線を放たせる合成キャンペーン用広告を作り、大きな話題となった人物。
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↑キャンペーンサイトでは、チュートリアルが掲載されている。

 まずは写真を撮影し、Lightroomで現像処理的な部分を済ませたら、Photoshopの修正ブラシ系ツールを使って更にレタッチをしていこう。レイヤーワークで処理を進めたり、変形を駆使して整形レベルの処理をしたりと使い方は人それぞれだが、共通する部分は“ゴミ取り”と“グラデーションの管理”だ。

 畠山祐二氏のアクションセットは、マスターデータとは別に、2つのゴミ取り用レイヤーを自動的に作成している。ひとつは、トーンカーブでいうと、反転させた状態で波を作ることでゴミを発見しやすくなるという手法だ。見落としがちなゴミをサクッと発見できるのはすぐにわかるだろう。

■効果的な写真のゴミの取りかた

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↑これはPhotoshopで開いた直後の状態のデータ。いくつかの処理を実行する前に、今回紹介されたレイヤーを作成する。
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↑だいぶアバウトにトーンカーブで波を作ったが、下記写真も参考に組み立ててほしい。さて、色は変だが、この状態だと細かいゴミも見つけやすく、またグラデーションも明瞭であるのがよくわかる。
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↑セッション中の写真から。トーンカーブの形状を真似てみよう。

■効果的なグラデーションの管理

 次に、グラデーションチェックをしやすくし、レイヤーで見逃しやすい色合いのゴミを探すための方法。こちらは畠山祐二氏の設定とは異なるが、階調の反転を実行したあと、トーンカーブで波を作るという方法だ。グラデーションの確認がしやすく、スタンプやペンツールで塗り塗りした場合に、自然なグラデーションに仕上げやすい。

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↑階調を反転させたあと、そのままトーンカーブで波を作成したもの。先に作成したものとだいぶ見た目が異なるのだが、個人的にこちらのほうがグラデーションの確認をしやすい。
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↑というわけで、筆者のいつもの設定に畠山祐二氏の設定を加えたもの。これまで筆者の場合、階調を反転させたレイヤーとグレースケールでチェックしているだけだった。ゴミ取り用レイヤーはとても便利だ!

 印象的だったのが、作業をAdobe RGBで行なうべき、と語っていたこと。これは撮影ソース・パネル依存となってしまうが、Adobe RGBがsRGBよりも色域が広い点に尽きる。ただ、多くのパネル環境はsRGBベースなので、誰かしらに渡したり、SNSにアップロードする際にはsRGBに変換する必要があることを覚えておきたい。

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↑カラー設定で、作業スペースのRGBにAdobe RGBを適用し、プロファイルの不一致にチェックを入れておくだけでも、よくあるカラープロファイルの判断ミスを減らせる。

■かっこよくお手軽にモノクロ写真にするテク

 会場の撮影禁止セッションでは、渋谷駅ジャック広告で使用された『テラフォーマーズ』の素材を、モノクロに変換する工程が解説された。カラーからモノクロへの変換をする場合、モードをグレースケールにしたり、彩度を落とすよりも、チャンネルミキサーを使用したほうが効果的だという。

 モノクロ変換はいくつかのアプローチがあり、またそれ専用のExtensionも出ていたりするくらいだが、紹介していた方法は、チャンネルミキサーで“モノクロ赤外線”を選び、プリセットから調整に入るだけと、とてもお手軽な方法だった。“雰囲気を残しやすい”という利点が大きく、実際にPhotoshopで試してみると、その効果の高さがよくわかる。

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↑“チャンネルミキサー”で“モノクロ赤外線(RBG)”を選択した状態。
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↑プリセットを“オレンジフィルターをかけたモノクロ(RGB)”にしたもの。だいぶ雰囲気が違うとわかるだろう。
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↑“色調補正”>“白黒”も慣れてきたらオススメの機能だ。筆者はこちらを愛用しているので、チャンネルミキサーの活用は初耳で驚きだった。趣味に合うほうを使えばオーケーというのは、Photoshopらしい柔軟さだ。

 会場では、模型の車両を渋谷109前の交差点と馴染ませるというセッションも紹介された。ゴミ取り用アクションの実行から始まり、フォーカスの来ている写真をいくつも組み合わせるのだが、ポイントとして挙げられていたのは、HDRトーンを終盤で軽く入れること。

 参加者からの「1時間で完了で済ませる秘訣は?」の質問には「パス抜きをしているときなどに、2歩3歩先の処理を考える」と答えていたのが印象的だった。

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↑地味に便利なHDRトーン。プリセット状態で処理をかけて、元レイヤーに対して軽く反映させるだけでも締まりがよくなる

 CREATE NOW “Best of MAX”のセッションの動画は、CREATE NOW "Best of MAX" イベントレポートサイトで公開されている。

■関連サイト
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