無料メッセージアプリ『LINE』は、一般的なコミュニケーションツールとして幅広く使われている一方、子供たちの間で生じる、LINEを介しての悪意あるやり取りやグループ外しといった、“LINEいじめ”が一部では問題視されています。
そんな中ベンチャー企業であるエースチャイルドは、『Filii(フィリー)』というSNS見守りサービスにおいてLINEの対応を開始しました。
Filiiは、子供が利用するSNSの会話データを取得・分析し、いじめや犯罪に関係しそうなキーワードが含まれている場合、アラートで保護者に伝えるというサービス。従来、FacebookとTwitterなどに対応していましたが、2014年6月30日よりAndroidアプリを提供、LINEをはじめ『カカオトーク』、『comm』といったメッセージアプリが対応になりました。
SNS見守りサービス『Filii』がAndroid版のLINEに対応。 |
Filiiで子供のLINEを見守ることができれば、いじめやトラブルの早期発見につながることは間違いないでしょう。
しかし、子供のプライバシーは脅かされることにはならないのでしょうか? また、Filiiは親子間で利用することが前提ではありますが、夫婦間や恋人間で“監視”目的で不正に利用されることはないでしょうか? そもそもLINEのデータが解析されるということは、LINEのデータが漏えいしていることにならないのでしょうか? 何点か気になったので、FiliiのエースチャイルドやLINE社に問い合わせました。
■Filiiを親子間以外に不正に利用できるか?
まずはエースチャイルドにききました。
“双方Filiiを利用することの合意が前提で、見守りをされる側(子供)には随時「見守りをされている」という旨のメッセージが入るので、認識なしでデータを採取されることはまずない。”
Filiiを利用するときは保護者がサービスを登録してから、子供のスマートフォンからも専用Androidアプリをインストール、データアクセスの許可という作業が必要になります。さらに、端末にたびたびFiliiの通知が発信されるので、合意していない人のLINEのデータを勝手に採取という、不正利用のおそれは少ないようです。
■Filiiはセキュリティー上問題はないか?
次はLINE社に質問しました。
“FiliiはAndroid OSの基本機能から、Facebookやほかのアプリと同じように、LINEのメッセージ着信を示す通知を読み込んでいるものと推察され、LINEのセキュリティーの範疇ではない。”
Filiiはスマートフォンに表示される通知を読み込んでいる。 |
Filiiは、LINEのデータを読み取っているわけではなく、端末に表示される通知を読み込んでいるので、LINEのセキュリティーに問題があるわけではないということです。
また、通知を読み込んでいるのであれば、通知設定をオフにすれば、データを取得されることはなく、また、通知設定がオンの場合でも 『通知設定 > メッセージ内容表示』 のチェックを外すことにより、『新着メッセージが届きました』という内容しか取得されることはないとのこと。さらに自分が発信したトークに関しては解析はできないでしょう。
通知設定を操作すれば解析から通り抜け可能。 |
■通知設定をオフにするとFiliiはLINEの情報を取得できない
Filiiは見守られる側に通知が行くため、不正に監視目的で利用されることは難しいこと。また、データ漏えいといったようなLINEのセキュリティー上に問題があるわけではなく、通知を解析していることがわかりました。しかし、通知を解析しているために、通知設定をオフにするという端末側の設定で簡単に“見守り”を解除することは可能ということです。ここで、Filiiが目的とする“見守り”の効果についても考えさせられます。
もし、子供がいじめやトラブルに巻き込まれていることを、何らかの利用で保護者に隠したい場合、この仕組みに気が付いてしまったら解析からすり抜けることができ、“見守り”効果は100%ではないでしょう。しかし、“LINEいじめ”やLINEを介する犯罪など例があがる中、このようなサービスのニーズは高まっていくのではないでしょうか。
Filiiは現在Android版だけですが、今後iPhone版にも展開を目指すということでした。また、LINE社としてはFiliiのような“見守り”を公式のサービスとして行なう予定は現在ないとのことです。
■関連サイト
Filii
Filii プレスリリース
LINE
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります