WWDC2014会場ではiPhoneをカーオーディオ/ナビとして使う連動システム『CarPlay』の実機デモを展示していた。基調講演後に、短時間ではあるものの動作する実物を見ることができた。
デモカーの『Ferrari FF』。フロントに6.2リッターV12を搭載するハッチバックスタイルのスポーツカー。最高速度335km/h、0-100km/h到達速度3.7秒。なお、日本国内の正規代理店コーンズでの本体価格は¥32,900,000(消費税込)。 |
iPhoneとはこのようにLightningケーブルで接続。フェラーリFFの場合、接続後はひじかけ下の収納スペースにiPhoneをしまっておける。 |
CarPlayは今年3月2日に発表された、iPhoneをカーナビに接続して車内で快適に操作するための統合システム。iPhone5/5s/5cで利用できる。自動車メーカーがオプションで組み込むほか、パイオニアはアフターパーツとしてCarPlay対応ナビを開発している。
クルマにiPhoneを接続して、充電や音楽再生をする既存のシステムとの違いは、iPhone自身がカーエンタメシステムそのものになってしまうということ。
デモンストレーションを見せてくれた係員に聞いたところ、CarPlayの画面は接続されたiPhone5s自体から出力されているそうだ。デモ機はタッチ入力対応の液晶画面だったが、製品によりナビ本体のダイヤルで選択するような方式も採れるとのこと。CarPlay接続中もiPhoneの画面は表示できる。
2画面表示したところ。iPhone側は音楽アプリが、ナビ画面上には曲名が表示されている。 |
接続はケーブル一本。クルマのナビシステムとLightningケーブルで接続すると、カーエンタメシステムの画面がCarPlayに乗っ取られる形で切り変わる。
アイコンのサイズなど含めユーザーインターフェースはクルマ専用に設計されたもので、運転中でも両手を離さず操作できるよう、操作にはSiriによる音声入力が基本になる。
また、AppStoreからCarPlay対応アプリを入手して、機能追加することもできる。デモでは、開発中のMLBのアプリが動作していた。
中身がiPhoneそのものなので、iOSの機能をそのままCarPlayで使える部分もある。たとえば、受信したメールやメッセージに書かれていた住所がナビの行き先候補に勝手にリストアップされる機能などがそれにあたる。また、iPhone自身を操作することになるので、CarPlayモード時のメッセージの返信といったデータのすべてがiPhone内に残るのも、メリットだ。
アップルのMapアプリをカーナビとして使う場合の精度、特に日本国内での振る舞いがどうなるかは気になるが、Siriの認識精度で音声入力が使えるのは確かに便利そうだった。
デモ機であるフェラーリ FFは約3200万円なのでおいそれとは手に入らないが、日本メーカーでは、ホンダがまず最初に導入が進む予定。また、三菱、日産、スバル、スズキ、トヨタも参入を表明している。
こちらのデモカーは旧車のマスタング。妙にピリッとした雰囲気を醸し出しているなと思ってボディー脇を見ると“Foose”ロゴが(!)。単なる旧車ではなく、クルマ好きの人には良く知られるアメリカの超有名チューナー、Chip Fooseの手がけたもの。おそらくちょっとしたユーズドのフェラーリが買えるくらいの金額じゃないでしょうか。 |
ダッシュボード下に埋め込まれたパイオニア製のCarPlay対応ナビ。接続するとこのようなアイコンが表示されるが、まだナビ画面のほうは切り替わっていない。 |
CarPlayに切り替えたところ。フェラーリの場合と違い、アフターパーツなので一部のアイコンが違うことがわかる。メーカーにとっては、自社アプリを組み込むことで独自性を出せるのもポイントかもしれない。 |
●関連リンク
CarPlay公式サイト
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