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STG、ARPG、AVG全部盛りの三部作。コナミのMSXゲーム伝説6:MSX30周年

2014年05月01日 11時30分更新

MSX30周年スロット&スプライトロゴ

 シャローーーム!と挨拶もそうそうに始めるかな。さあ、今回は名作の誉れも高い『魔城伝説』三部作を紹介するぞ。


■魔城伝説(1986年)

MSX30周年:コナミ第6回

 『KNIGHTMARE』こと『魔城伝説』シリーズ。コナミMSX作品の中でも数少ない三部作であり、その三作全てが異なるジャンルで制作されており、そしてどれもが名作として語られているというゲーム史上においても希有な作品である。

  一作目となった本作は、縦スクロールのシューティングゲームだ。メガロム時代前に発売された最後のオリジナル作品でもある。しかし、だからボリュームが少ないかというとそんなことはまったくなく、全8面とそれぞれに異なるボスがおり、かなりの手応えを持っている。

 さて、コナミのMSXにおける縦スクロールのシューティングというと本作以外には『ツインビー』と『スカイジャガー』、あとは例外的に『沙羅曼蛇』の縦スクロール面くらいしかないが、本作はそのいずれとも異なるテイストを持っている。全体の世界観はファンタジー路線で統一されており、甲冑に身を包んだ“ポポロン”はさらわれたグリーク王国の姫“アフロディテ”を救うべく悪の大魔王“ヒュドノス”に立ち向かう……というものだ。この設定はシステムの異なる続編においても後々まで引き継がれることとなる。

MSX30周年:コナミ第6回
↑1面のボスはメドゥーサがモチーフ。こんなところでやられているようでは先へは進めませんぞ。


 この甲冑に身を包んだ主人公ポポロン、ずっと騎士だと勝手に思っていたのだが、今改めて箱や説明書をじっくり読んでみるとどこにもそんなことは書いていない。単に“アフロディテに想いを寄せていた”人物としか書かれてないのだ。ただの普通の人なのか?
 そんな彼は、いずこへさらわれたかも知れないアフロディテを探してあてもない旅に出る。そして神々の女王ヘラから夢の中でヒントをもらうのである。しかし神々の女王もそれ以上は力を貸してくれず、ポポロンはなんとトコトコ歩いて敵の本拠地たる魔城へと向かうのだった。
 というわけで、強制スクロールながらその速度は速いわけではない。また敵の弾も遅いため、はた目にはかなりゆっくりとしたテンポで進んでいるように見える。が、それこそ魔城伝説のワナなのだ。敵と地形の複合攻撃がポポロンを容赦なく襲う。地形そのものは時々存在する川にかかる橋が隠れていることがある程度だが、地面に隠されたアイテムがショットをはばむなど様々に工夫が凝らされている。

MSX30周年:コナミ第6回
↑ポーズ(一時停止)すると、退屈して布団を出して寝てしまいます。


 全体的な難易度は割と高めだが、反射神経よりも敵の動きに動じずに対処する落ち着きが求められる。ジャンル全体としてマニアックになり過ぎた感のあるシューティング界だが、間口の広さとやりがいがバランス良く同居した本作は今こそ多くの人に広くお勧めしたい作品だ。


■ガリウスの迷宮(1987年)

MSX30周年:コナミ第6回

 『魔城伝説』の翌年に続編として発売された『ガリウスの迷宮』はかなりのインパクトをもって迎えられた。縦スクロールのシューティングゲームだった前作からほぼ1年後に発売された本作は、なんと横視点のアクションゲームに変わっていたのだ。

 正義の騎士(と、ここで初めて説明書に“騎士”と書かれた)ポポロンはアフロディテを無事救出しグリーク城に帰ったが、それは大魔司教ガリウスのワナだった。ガリウスは数年後に生まれる二人のベイビー“パンパース”を天界から誘拐し、グリーク城に攻め入って世界を魔界にするための拠点としてしまったのだ……!
 前作でさらわれたアフロディテが今度は自分も甲冑に身を包んで主人公となり、ポポロンと共に誘拐された“未来の子供”を救い出す! 今見ても、というより今見ると余計に凄い展開である。

MSX30周年:コナミ第6回
↑ポポロンは水に落ちると、急激にダメージを受けてしまう。水中戦が得意なアフロディテに切り替えて進もう。


 MSX初期のMEGA-ROM作品としては破格のボリュームを誇る本作は、箱の裏にも書かれているようにジャンプと剣を突き出すアクションを基本としながらも、広大なマップとRPG要素、様々な謎がからみあった作品である。
 説明書にあるだけで330画面のマップ、47種類のアイテム、59種の小悪魔と中悪魔(雑魚)、10匹の大悪魔(ボス)が存在している。ポポロンとアフロディテは攻撃力や水の耐性などに違いがあり、うまく使い分けないと先には進めないようになっている。さらにはどちらかしか入れない“男子禁制”、“女人禁制”な領域もあるのだ。
 こう書くと面倒くさいゲームのように感じるかもしれないが、そんな心配は無用である。メインとなるグリーク城のマップとボス敵のいる“ワールド”は隔離されており、ワールドは1から10の順にしか入れず、巧みに誘導されるようになっている。また、パスワードによるセーブ機能もあるために前作『魔城伝説』よりも総合的な難易度は低い。

MSX30周年:コナミ第6回
↑最初のボス敵。白一色で描いているのになぜかカッコいい。グラディウスの骨面とかグラ2の古代惑星面もそうでしょ。センスだよなぁ。


 本作はアクションよりもグリーク城に隠された謎の数々、そして大悪魔のインパクト、そして上原氏による軽快なBGMによって人々の記憶に残っているようである。ことに有名なのがワールド4の巨大草モチ“ジャンボスライム”と、ワールド7の巨大なクチビル“ビッグリップ”だろう。画面を覆うほどの大悪魔はいずれも特徴的なビジュアルと攻撃方法を持ち、有効な武器を持っていないと倒せない。とはいえ、ほとんどの謎には対応するヒントが存在するので、きちんとメモすれば詰まることも少ない。終盤で必要なあるアイテムの位置と“とにかく待つ”のがノーヒントなくらいだろうか。このあたりの気持ちは、クリアした人ならきっとわかってくれるだろう。

 
■シャロム(1987年)

MSX30周年:コナミ第6回

 まずいきなり“この箱を開けるべからず”とある、謎に満ちたパッケージがインパクト抜群だ。『魔城伝説III 完結編』と銘打たれた本作は『ガリウスの迷宮』と同年の1987年末に発売された。前2作がアクション主体のゲームだったにも関わらず、今度はまさかのアドベンチャーゲームとして登場したのである。今では……いや、当時でもまず考えられないような予想外のシリーズ展開を見せた。しかも主人公はポポロンでもアフロディテでもなく、全く関係のない“とあるハイスクールの学生”だ。

 これまでのシリーズの舞台であったグリーク王国とも無関係な人間で、『シャロム』というゲームの中に吸い込まれて王国にやってくる。そんな主人公が最初に目にするのが“ブタ子”の強烈なアップ! 正直、これは何のゲームなのかと言われたら本気で困るほどのムチャクチャな展開である。
 ブタ子に言われるままに国王パンパースに会いに行くと、そこにはベッドに伏せる年老いた姿が……。そう、彼は前作で救い出したポポロンとアフロディテの子供である。英雄ポポロンとその妻は既に亡くなり、空の上からグリーク王国を見守っているという。しかしパンパース王の娘・チェルシー姫は大魔王ゴグによって捕らわれてしまった。主人公はブタ子と共に、王からこの危機を救ってくれるよう頼まれるのであった。

MSX30周年:コナミ第6回
↑ボス。ようやくここまで来た。なんかMSX1の色って、MSX2よりも怖く見えるような気もする。


 この主人公はやたら軽薄で、チェルシー姫の肖像画を見ては「うわ~っ! スゲーめんこい!」だのと、ちっとも深刻な感じを見せない。とにかく全編を通じてヘンテコなゲームで、(説明書で予告されているものの)ボス戦がアクションゲームになったり、中には“ブロック崩し”みたいなのがあったり、最後のボス戦“パズラ”だけはどういうわけか古典的スライドパズル“箱入り娘”になったりする。
 道中の謎も大部分は登場人物の会話からわかりはするものの、ゲームオーバーの画面で特定のキーを押す、いったんセーブしてロードしないと先に進めない、“リセット地方”で間違った穴に落ちると本当にMSXにリセットがかかる(セーブしていないと本当に終わり)など、とんでもない謎解きが随所に挟まっている。

MSX30周年:コナミ第6回
↑ここが、有名なリセット地方です。うかつに穴に入るともちろんリセットします。凶悪なワナです。


 そんな極悪なワナがあってもなお本作が名作として語られるのは、コナミMSX作品初の2MビットROMを使ったボリュームと、MSX1の性能を極限まで使いこなした数々の名曲と凝ったグラフィック、終盤の熱くそして魂を揺さぶられる展開などで、多くの人がそのインパクトを忘れられずにいたからであろう。“スタッフ村”で“わかもののせいしゅん”が“ふみにじられて”いる旨が聞けるが、それは決して無駄ではなかった……と、いうことにしておこう。

 それにしても『魔城伝説』三部作はそれぞれが実験的でありながら、凄いパワーでひとつのシリーズ物として見事にまとめ上げられている。娯楽は常に時代と共に進化し続けるであろうものではあるが、『魔城伝説』シリーズという、極めて稀有な奇跡の展開を体験できたMSXユーザーは、やはり幸運だったのだ。

(C)Konami Digital Entertainment

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前回の記事(スナッチャー)に対するツイッターの反応という名のおたよりコーナー♪

NAK山@nak8801さん
スナッチャーを語る記事は過去いくつも見てきましたが、MSXのハードスペック目線の記事は珍しくて面白かった!

――ありがとうございます。当時のコナミのMSX用ゲームはハードのスペックを限界まで、いやそれ以上を引き出して作っていたのがすごいですよね。

YOwatari@YOwatariさん
スナッチャーは今やっても楽しめるし、メタルギアかわいい

――メタルギアmkII(SR以降)は、謎解きの答えを間違えるとヒントをくれるんですけど、わざと間違えつづけると、だんだん答えっぽいものを教えてくれるようになるんですよね。お茶目♥

※それでは、また、みなさんに思い出などぜひぜひつぶやいてください。次回のこのコーナーで取り上げさせていただくかも……。


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