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IoTはハードとウェブエンジニアが出会うものづくり 第9回サムライベンチャーサミット

2014年04月21日 15時30分更新

 スタートアップ、ベンチャーなどが集まるイベント“第9回 サムライベンチャーサミット”が、2014年4月19日に日本マイクロソフト本社で開催された。創業5年以内のスタートアップ企業100社のブース、豪華なセッションが1日をとおして行なわれた。

 あらゆるものにインターネットに接続される“Internet of things(IoT)”をテーマにしたセッション“ものづくり×ITの世界的トレンド~Internet of thingsの時代が来る~”には、写真左からさくらインターネットの田中邦裕代表取締役社長、ウィンクルの武地実CEO、Cerevoの岩佐琢磨代表取締役、ABBALabを設立したNOMADの小笠原治代表取締役が登壇。今後、最も注目となる“IoT”の重要性をテーマに、その領域に対してどう向き合っていけばいいか、登壇者に関西人が多いだけに終始笑いに包まれた中にも、重要なピースがいくつも見つけられるセッションとなった。

第9回 サムライベンチャーサミット IoTセッション

 あらゆるものの中にインターネットが入る、そもそもIoTとは何なのかを、岩佐氏がスライドで説明。流行りのスマートウォッチなどを連想してしまいがちだが、「ありものの既成概念にとらわれず幅広い概念。今着ている服の表面が何度になっているか、履いている靴にどのくらいの重量がかかっているかなど、見えていないものを見えるようにすること。もうひとつは物自体をコントロールすること」と説明する。IoTの領域は幅広く、PCやスマホのスクリーンで展開されるものだけではない。「物全部からしたら、小さな世界で、無限の可能性がある」と、その状況はまるでお釈迦様の掌の上にいるだけだと例えていた。

第9回 サムライベンチャーサミット IoTセッション

 また今年の“CES 2014”でも出展していたバスケットボールに加速度センサーなどを内蔵する『94Fifty Smart Sensor Basketball』。ドリブルの回数、ショットの速度や軌道などのデータをBluetoothをとおしてスマホアプリに転送できる米国で発売中の製品だ。ABBALabの小笠原氏がドリブルを披露するとアプリ上にリアルタイムでカウントされていく。これもIoTの一例、ほかにもワインがいま何度かわかるアダプター、植物にどのくらい光が当たっているか土がどのくらい水分を含んでいるかわかるものなど、IoTはこういう世界。あらゆるものの中にセンサーが入りインターネットにつながれば、世の中おもしろくなり、そこにビジネスチャンスがあるという。

第9回 サムライベンチャーサミット IoTセッション

「何がインターネットにつながる?」とこの日、進行とツッコミを担当したさくらインターネットの田中社長の問いに、岩佐氏は「趣味のもの、趣味は無限で、深堀していく度合いも深く、お金も出す。スノーボードの板で今までよりも10倍うまくなるものがあれば欲しいなと思う」とスノボの板にセンサーをつけ、重心がどこにかかっているかわかるような、趣味と上達を結びつけた分野にビジネスチャンスがあると解説。ただ乗っているときに見られるものは重要で、リアルタイムのフィードバックを『Google Glass』のようなものに送れれば良いとした。

 家の冷蔵庫をほとんど使わないというウィンクルの武地氏は、冷蔵庫などの家電製品が使用状況に合わせて変化していってほしいと語る。使わない冷蔵庫なら、どんどん小さくなっていくなど、「使わないと適正な大きさがわからない。インプットして学んでほしい」という。これに対して、岩佐氏は物が形を変えるのはさすがに難しいが、「使う人に合わせて自動で制御するのはIoTの基本。土日はいなければ土日は自動で電源がオフになるという制御は多くなる」と説明。

第9回 サムライベンチャーサミット IoTセッション

 IoTは注目の分野であるが、“ものづくり”であるため、アイデアとエンジニアリングで勝負できるウェブサイトやアプリサービスに比べると起業のハードルが高く、エンジニア2人で起業するといったことは難しい。とはいえ、ハードを知らなくても始められるという。実際にウィンクルの武地氏はハード開発の経験がないウェブエンジニア。サービスを立ち上げるのに重要になったのがハッカソンだったという。ハードウェアのハッカソンで、ものづくりができる人と出会い、手伝ってくれる人を見つけ、スマホのイヤホンジャックに取り付けて、アプリでコントロールして光らせるアクセサリー『Vinclu』を作成した。

 また岩佐氏はハードは「圧倒的にどうやったらいいのか情報が表に出てこない。工場はわかっても品質管理、成分材質がまったくわからない。そのあたりがググったらパッと出てくるようになると変わる」という。そのうえで、ハッカソンに行って、ウェブの人とはハードの人が出会えるようになれればという。小笠原氏も「完成して恥ずかしくないものを出す、プロダクトをつくるのは日本の教育と、文化にあっている。シリコンバレーと勝負できるポイント」という。ハードウェアは説明が要らないので世界で勝負できる。田中氏も「IoTにはビジネスチャンスがある。知り合いをつくろう」とセッションを締めていた。

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