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割高?割安? 定額通話のドコモ新料金プランの狙い

2014年04月10日 19時45分更新

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■加藤社長が語る新料金プランの狙い

 記者発表会では代表取締役社長の加藤薫氏が新料金プラン導入の背景や、その仕組みについて詳細を語った。加藤氏は冒頭、現在同社に寄せられているユーザーの要望は、大きく分けて3つあると話す。

 ひとつは、番号ポータビリティー(MNP)とキャッシュバックによる、短期的な顧客獲得競争が過熱するなか、長期契約者を優遇してほしいという声。2つ目は、FOMAの料金プランにあった“無料通話ぶん”がほしいという声。そして3つ目は、複数の端末を効率的に利用したいという声だ。

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↑新料金プランについて説明するドコモの加藤社長。


 新たな料金プランはそうした声を踏まえた上で、家族のライフステージに合わせて柔軟に変更ができ、かつ長く契約することでお得に利用できる料金を目指したとのこと。その上で加藤氏は、新料金プラン『カケホーダイ』と『パケあえる』について紹介した。

『カケホーダイ』は、国内のどの事業者にかけても、時間を問わず定額で電話がかけ放題となる基本料金プラン(0180、0570など他社が料金を設定している電話番号は除く)。

 従来の料金プランでは基本料と通話料を支払う必要があったが、カケホーダイではそうした心配もなく、時間を気にせず通話ができるという。なお、カケホーダイの料金はスマートフォンとフィーチャーフォンとで異なっており、前者が2700円、後者が2200円となる。

 IP電話サービスなどと比べると、「キャリアの音声通話の品質で定額通話ができ、緊急通話もできる」(加藤氏)ことが大きなメリットとなるようだ。

 データ通信専用デバイスに関しても、『データプラン』という新たな料金プランを用意。スマートフォンやタブレット向けは1700円、ルーター向けは1200円となる。加藤氏は「フィーチャーフォンと、タブレットやスマートフォンを併用している人は現在でも多いし、今後も増えていくのでは」と語る。フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行については柔軟な考えももっているようだ。

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↑新たな基本料金プラン『カケホーダイ』。相手や時間を気にすることなく、定額での通話が可能になる。


 一方の『パケあえる』は、パケットデータ量を家族、もしくはスマートフォン、フィーチャーフォン、タブレットなど複数のデバイスで分け合える新しいパケット定額サービス。

 大きく分けると、パケットをひとりで複数のデバイスで分け合う『データSパック』(上限2GB)、『データMパック』(上限5GB)と、10~30GBのデータを家族で分け合う『シェアパック』、そしてらくらくスマートフォン向けの『らくらくパック』の3種類が用意される。

 特に『シェアパック』は、家族最大10人でシェアしあうことが可能なことから、従来と比べて家族で無駄なく毎月のパケット量を活用できるようになるという。ただし、データシェアをする場合は親回線に追加料金は不要だが、子回線には1回線あたり月額500円のシェアオプション料が必要となる点には注意が必要だ。

 カーナビやウェアラブルデバイスなどのM2M機器に向けても、300~500円(機器によって異なる)の『デバイスプラス』という新料金プランが発表されており、こちらも『パケあえる』の対象になるとのことだ。

 なお、その月のパケット転送量を使い切った場合は、自動的に1GBぶんの転送量が追加される“スピードモード”と、いったん上限速度が128kbpsに低下し、必要に応じて1GBずつ追加する“リミットモード”のいずれかに切り替わるよう選択できるとのこと。加藤氏は、1GB当たりの追加料金も1000円とリーズナブルな価格設定にした話る。

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↑新しいパケット定額サービス『パケあえる』は、家族、もしくは複数のデバイスで分け合うことが可能になった。
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↑通信量を超過した場合は2つのモードのうちいずれかに切り替わる。設定変更は無料で行なえるとのこと。


 『カケホーダイ』と『パケあえる』に加えて、新たな割引施策も公表された。ひとつは、25歳以下のユーザーに向けて料金を500円割引し、さらにパケット量を1GB増量する『U25応援割』だ。従来の『応援学割』とは異なり、学生以外にも適用されるのがポイントで、加藤氏は「学生以外の若者も応援したい」と語る。

 そしてもうひとつは、長期契約者に向けて、契約年数に応じてパケット定額サービスの料金が5段階で割引される『ずっとドコモ割』。代表回線の契約年数が子回線のパケット料金割引にも反映される仕組みのため、家族契約であれば購入したばかりの契約者であっても、長期契約のメリットが得られる。

 従来のXiの料金プランは非常にシンプルであったことから、新料金プランの仕組みは複雑になったように見える。これについて加藤氏は、「複雑と言われたFOMAの料金プランと、選択の余地がないと言われたXiの料金プランの間をとった。複雑に見えるが、基本的にはカケホーダイとパケット量の組み合わせなので、比較的わかりやすいのではないか」と答えている。

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↑長期契約者に適用される『ずっとドコモ割』と、25歳以下のユーザーが受けられる『U25応援割』の、2つの割引サービスも提供される。


■あまりスマホで通話しない人は割高に?

 続いて、同社取締役常務執行役員 経営企画部長の吉澤和弘氏から、料金プランの補足説明がなされ、個人向けだけでなく法人向けにも新しいパケットパックが用意され、データをシェアできることなどが説明された。

 さらに吉澤氏からは、主回線がずっとドコモ割の割引額が最大となる16年契約であり、子ども2人が『U25応援割』の対象となる4人家族のケースで、従来と比べ料金やパケット通信量がどの程度お得になるかの事例が紹介された。

 家族全員がフィーチャーフォンの場合、従来の料金プランと比べて7040円安くなるほか、フィーチャーフォン2台、スマートフォン2台の場合は5426円安くなり、かつ通信量が3GB増量するという。また、全員がスマートフォンの場合も5306円安くなるのに加え、通信量も2GB増量するなど、お得になることが示されている。

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↑料金の仕組みについて具体的な説明をする、ドコモ取締役常務執行役員の吉澤氏。
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↑家族が4人がスマートフォンの場合も、ずっと『ドコモ割』や『U25応援割』などの適用により、従来よりお得に利用できるという。


 この事例で示された『ずっとドコモ割』の恩恵を最大限に受けられる、16年以上利用しているユーザーが、全契約者のうちどの程度いるのかは気になるところだ。これについて加藤氏は、「ファミリー割引に入っている人で15%、全体では3割強が16年以上になる」と答えており、一定数のユーザーが対象になっていることを示した。

 最近のMNP施策によって他社に流出した長期契約者に対しても、何らかのキャンペーンを検討したいと加藤氏は語る。

 今回の料金プランは、家族が多いライトユーザーにはメリットが大きい一方で、自分から通話発信をあまりせず、パケット通信を上限ぎりぎりまで利用する人には、値上がり要素が多く不利になる。この点について加藤氏は、「カケホーダイとパケット通信で、リッチなコミュニケーションを楽しんでほしいというのが基本にあったので、あえてそういう設計にした」と答えている。NTTドコモが目指すスマートライフの実現を目指す上でも、家族のコミュニケーションを重視したいという狙いがあったようだ。

 なお、これら新しい料金プランは6月1日より提供開始予定で、5月15日から予約受け付けを開始。音声通話に関しては、夏にVoLTE(Voice over LTE)を用いた通話サービスを提供予定と発表された。

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↑新料金プランに加え、夏にはVoLTEによる通話サービスの提供も予定されている。

●関連サイト
NTTドコモ(新料金プランページ)

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