PCゲームのダウンロード販売サイト『Steam』のゲームレビュー連載、第9回目は2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震で発生した津波をもとにつくられたゲーム『9.03m』を紹介したい。あの日からもうすぐ3年ということでこのゲームを紹介させて貰うことにした。
『9.03m』
●Space Budgie
●Steam販売ページ(関連サイト)
9.03mは、津波で亡くなった方や行方不明になった方の思い出をめぐっていくアドベンチャーゲームだ。プレイヤーができることは移動とアイテムを調べることぐらいで、謎解きやアクションといった要素は一切ない。
■蝶を探そう
ゲームを始めると、目の前のディスプレーに美しい海岸の風景が映し出される。ここが、あの津波が起きた海岸なのだろうか?
プレイヤーはまずはここで蝶を探さなければならない。光の蝶が消えていった先へ向かうと、シルエットが見えてきた。あれは……子供?
シルエットに近づいて話しかけようとすると、シルエットは天へと消えていき、そこには何かが残されていた。
サッカーボールだ。
■残されたアイテムを調べよう
9.03mではこのようにシルエットが消え、アイテムが残されるということが繰り返される。残されるアイテムはさながら“思い出の品”と言って良いものばかり。
Eキーを押して思い出の品を拾い上げると、アイテムに隠された蝶を探すことになる。
蝶を見つけてクリックすると、蝶がメッセージへと変化する。
このサッカーボールは“佐藤達也”という男の子のものだったらしい。ということは、あの消えていったシルエットが達也君なのだろうか。
■物語はひとつの家族の人生を追いかける
その後、次々と蝶を探していくことになるが、現われるシルエットが女の子になったり、大人の男女になったり、赤ちゃんになったりする。その流れは、まるでひとつの家族の人生をなぞっているかのようだった。
見つかる品々も津波に流されてしまったものなのだろうか。サッカーボールに続き、オルゴールや小さな子用のおもちゃなど、胸に響くものばかりが出てくる。
そうして人生を追いかけていくと、ラストでハッとさせられることが起きる。それは自分の目でたしかめてほしい。1プレイ15分ぐらいと短めだ。
■売上げの半分はチャリティー団体へ寄付される
なお、このゲームの売上げの半分は津波で親を亡くした孤児を支援するチャリティー団体『Aid for Japan』(関連サイト)に寄付されることになっている。
ゲームを買って支援した気になるなど偽善と言われそうだが、それでも何もしないよりはマシだし、ゲーマーとしてこういった支援の選択もアリだろう。ボクらはあの震災を忘れてはならない。9.03mはそのことを思い出させてくれるゲームだ。
『9.03m』
●Space Budgie
●1.99ドル(2013年9月12日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows
ジャンル 独立系開発会社
●著者
篠原 修司
Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: KiDD
個人ブログ:デジタルマガジン
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