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ソニー平井社長「スマホとタブレットに集中すべき」 決算発表会質疑応答

2014年02月06日 21時28分更新

 既報通り(関連ページ)ソニーは『2013年度 第3四半期 業績説明会』にて、PC事業を日本産業パートナーズ株式会社(JIP)に譲渡することを公表した。また、もうひとつの大きな変化として、テレビ事業も高付加価値戦略の推進とコスト削減、自立経営のために分社化し、完全子会社として運営することとなった。

 新会社は独立した事業会社としてVAIOブランドのPCを企画、開発から設計、製造、販売まで全体に、赤羽良介氏を中心に構成されるとのこと。当初は日本国内を中心にコンシューマー、法人顧客向けを最適な販路で販売する。
 

20140208_sony

 平井CEOは「タブレットやスマホといったモバイル製品の急速な成長によるPC市場の大きな変化、厳しい競争環境、ユーザーの嗜好の変化を受け、エレクトロニクス事業を“転換”しなければならない、モバイルの領域ではスマホ、タブレットに集中すべきと判断した」と語った。Windows8による市場拡大を見込んでいたが、思うような結果は得られず、止む無しとの判断も要因として大きかったのかもしれない。
 

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 まず、この第3四半期の業績全体をみると、デバイス分野を除くエレクトロニクス4分野における業績が改善し、金融分野が好調なことで、前年同期比では大幅な増収増益を達成したとのこと。また、海外で発売済みの『プレイステーション 4』は売後1ヵ月半でハードウェア本体420万台、ソフトウェア970万本の売り上げを記録した。注目のPC事業を含む“モバイル・プロダクツ&コミュニケーション”も、前年同期比でみても大幅に増収し、損益を改善している。

 平井CEOが就任後、集中と選択によりコアと位置づけた事業、モバイルやゲーム、デジタルイメージは成果が着々と出ている。一方、モバイル部門はほとんどがXperiaなどのアンドロイド機が牽引した、VAIOを含むPC事業は足を引っ張っていたという結果だ。

(単位:億円) 2012年度
第3四半期
2012年度
第4四半期
2013年度
第1四半期
2013年度
第2四半期
2013年度
第3四半期
連結業績
売上高および営業収入
19480 17330 17127 17755 24128
連結業績
営業利益
464 1471 364 148 903
モバイル・プロダクツ&コミュニケーション
売上高
3188 3528 3890 4186 4615
モバイル・プロダクツ&コミュニケーション
営業利益
△213 △246 59 △9 △126

                                      

主要エレクトロニクス製品売上台数または売上高

ソニー2013年度 第3四半期 業績説明会

 長年“VAIO”というブランドで確固たる地位を築いてきたソニーのPCだけに、この発表を受けて説明会では質疑応答に注目が集まった。

●質疑応答

Q PC事業について、タブレットなどとの境目が切り分けづらいが、残すところとやめるところは?

平井氏(代表執行役社長兼CEO) PCビジネスは収束するが、スマートフォンとタブレットはソニーモバイルで継続する。新しい会社はPCビジネスでスタートする。協議した上で、どういった製品に“VAIO”をつけてマーケティングするか、ケースバイケースで議論する。

Q マイクロソフトとの関係を維持するのか?

平井氏 まずWindowsの製品は新会社に移行する。その後、MSのOS、モバイルのOSなど色々あるが、そこでどういう商品展開をするのかはソニーとして考えていく。

Q テレビの重要性は変わらないが、分社化する意図は?

平井氏 分社化すると黒字になるというものではないが、4Kを中心に高付加価値路線が功を奏している。トリルミナスディスプレイやX-realityエンジンが評価されている。来年以降も4K市場が伸びていく。ソニーモバイルでスマホとタブレット、SCEでプレイステーションというように、この2社はスピーディーにいろいろな判断をして経営している。これをテレビビジネスにも持ち込みたい。会社は分かれているが、マネージメントは一体となって取り組んでおり、“ワンソニー”スピリットのなかでビジネスすることにかわりはない。

Q 新会社の人員転換について

平井氏 日本のVAIOビジネスに携わっていたのが、販売を除いて1100人ぐらい。最終的な人数は議論して決めるが、250人から300人ぐらいが新会社に移ることになる。残りの社員はソニーモバイルも含めて、ソニーの様々な事業本部に配置転換する。

Q スマートフォンの販売台数について

加藤氏(代表執行役員EVP CFO) 4200万台から4000万台に下方修正した。昨年は3300万台なので、成長としてはかなり伸ばしている。下方修正の背景は、年初のXperia Z、Z1などは技術を結集した商品なのでユーザーから好評を得ているものの、地域展開で考えたとき、一部地域で想定した台数が上がらないと見込める。具体的には日本は想定通り、アップルの製品が出て競争が激しくなるのも想定通り、中国を含めたアジア、欧州の一部で想定より下回った。ただし、来年以降を見ると、成長スピードとしてはスローダウンという見方があるが、絶対量としては伸びると考えている。

Q 平井さんにとって“VAIO”とは?

平井氏 VAIOは常にソニーらしい、ちょっと市場にある普通のPCとは違うデザイン、機能、場合によってはフォームファクターが違う。PC市場に対して一石を投じてきたブランドという商品軸。いかにお客様に効率的にお届けするか、オペレーション面でもかなりVAIOビジネスがあったおかげでサプライチェーンの見方や製造台数を、どうニーズに合わせるかの先頭を走ってくれたビジネスだった。

Q 平井CEO自身の進退については?

平井氏 与えられた使命をまっとうする。特にエンタメと金融部門は大きくする。

Q 海外でのVAIO製品の展開は?

平井氏 海外については否定はしないが、まずは日本のビジネスを継続していく。

Q 減損処理について

加藤氏 減損について、いちばん大きなのがバッテリーの321億円だった。幅広く扱っていたが得意分野のポリマーに集中する。コアとなっているモバイル系の機器をサポートするところにフォーカスしていく。筒型の電池などは先々の収益は見込まないため、それに伴い減損した。PC事業を収束するため、持っている設備がキャッシュフローを生まないため、その結果82億円の減損。PCゲームは、開発費などが資産として乗っているが、想定通りに見込めない。先々を見たとき、事業としては戦略外と見切りをしたものを今回減損している。ある種の整理整頓をこの段階できちんとやると考えていただければと思います。

Q ソニーはどういう方向に向かうのか?

平井氏 エレクロニクス部門に関して言えば、この2年弱、CEOに就任してから“集中と選択”をすることで、モバイル、ゲーム、デジタルイメージングをコアにしていくというお話をしてきた。バッテリーがいい例だが、これらコアビジネスをサポートする事業はこれからも大きくしていかなければならない。より集中と選択ができているエレキビジネスを目指す。グループとして言えば、エレキも金融もエンタメもそう。“感動”していただける商品をつくることはビジョンでもあるし、キーワードとしてそういった方向に進んでいかなければならない。

Q 市場の評価はどう考えていくのか

平井氏 株価自体にコメントする立場ではないが、やはりソニーに対するターンアラウンド(転換、テコ入れ)の期待値がかなり高いと感じている。それにお答えしなければならないのが私の責任。

Q 格付け機関のレーティングが下がった点について

加藤氏 格付け機関のレーティングについてはコメントしないが、背景を考えると、痛んできているというのは事実としてあるが、客観的に見てもそんなに脆弱とは考えていない。どこに問題を指摘されているかというと、先行きの収益性にある。有利子負債が1兆円以上あるなかで、稼ぐ力、キャッシュフローを生む力がよいと判断されたと考えられる。

Q テレビ事業についても売却の可能性があるのか?

平井氏 現時点でテレビビジネスは正しい軌道、進むべき方向に向かっている。将来的にはテレビに限らず、どの分野でも様々な可能性がある。

 ソニーとして今後“ウィンドウズPC”を出すかどうかについてははっきりとした回答は得られなかったが、基本的にはいわゆるPCは新会社から登場するようだ。決算発表会でのPC事業譲渡の発表を受けて、ソニーの株価がゆるやかに上昇している。市場は“止血”という効果に期待して、好意的に受けいれているようだ。

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●関連サイト
ソニー
ソニーIRイベントページ
 

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