5ヵ月の長きにわたった全国ツアーがフィナーレを迎えた──。
11月10日、大阪府大阪市にて動画コミュニティーサービス“niconico”のライブイベント“ニコニコ町会議 in 大阪なんば”が実施された。ニコ動の有名ユーザーだけでなく、吉本興業から坂田利夫さんや今いくよさん・くるよさん、西川のりおさん、ぼんちおさむさん、村上ショージさんといったビッグネームも参戦。来場者は約2万人で、ニコニコ生放送では3番組でのべ21万6000人の視聴者を集めた。最初から最後まで熱狂しっぱなしだった現地の様子を、余すことなくレポートしていこう!
■これは“町”規模じゃない! “都市”会議だ
ドワンゴは今年4月、千葉県の幕張メッセにて、“ニコ動のほぼすべてを地上に再現”をコンセプトに大規模イベントの“ニコニコ超会議2”を開催した。その超会議に来られなかった地方ユーザーのために全国各地を訪れて、雰囲気を味わってもらおうというのがこのニコニコ町会議になる。
今年は7月からスタートし、岩手、香川、鹿児島、島根、山形、長崎、北海道という7会場で開催。9月22日には、“ラスボス”こと小林幸子さんも“降臨”した愛知を追加で実施し、一応のラストを迎えたはずだった。しかし10月10日、突如として大阪での“追加の追加”が明らかになる。
しかもその出演者が豪華過ぎる! 歌ってみたからは“√5”(ルートファイブ)とGeroさん、踊ってみたからは“ギルティ✝ハーツ”、ゲーム実況からは“M.S.S. Project”といったように、女子人気がめちゃめちゃ高いメンバーがずらり。そこに冒頭でも触れたように、吉本興業の有名芸人らも登場。メイン会場が大阪ミナミの繁華街にあって、JRでも地下鉄でも行きやすい湊町リバープレイスとくれば、もうそれだけで混雑しないわけがない。
↑湊町リバープレイスは、道頓堀川ぞいにあるイベントスペース(写真でいうと右岸)。ライブハウスの“なんばHatch”を有するが、今回は屋外での開催となった。
↑川ぞいのウッドデッキ(写真左)から階段を上がっていった広場(写真右)まで、すべてが超会議の会場だ。かなり広かったので混雑も緩和されるかと思いきや、人で埋め尽くされて通行しにくい場所もありました。
湊町リバープレイス以外にも、吉本の本拠地である“なんばグランド花月”、その向かいにある“NMB48劇場”、千日前商店街まで巻き込んで企画を用意していた。
もともと町会議は、全国ツアーで行くような都市部ではなく、“町”がつくようなのどかな土地で開催してきたが、愛知と大阪はアクセス性が別格。会場の規模も大きく、出演者の数も多い。来場者数を合わせると約4万人と、2日間で9万2384人だった超会議2の半分に迫る勢いだ。「町とは何だったのか……」と思わなくもないが、だからこそ追加開催として扱われたのかもしれない。
↑開場前、メインステージの様子。階段の手すりにまでびっしりお客さんが待機して、まるで2階席、3階席のようになっている。出演者、運営、ボランティアの全員による恒例の円陣で気合いを入れます。
■伝説の“中曽根OFF”で、道頓堀をジャック!
もうひとつ町会議大阪で特別だったのが、オープニング前に敢行した“中曽根OFF”だった。
中曽根OFFは、『少し楽しくなる動画』という動画を真似してみんなで街中を練り歩くという、ニコ動の創世記である2007、2008年ごろに流行した遊びのこと。今回は、グリコの看板で有名な戎橋の手前から湊町リバープレイスまで道頓堀川の両岸を行進した。その人々を出演者が乗った遊覧船が先導した。あまりの規模に「何かの優勝パレード!?」と見かけた人を引きつけていた。もう笑うしかないカオスな興奮は、大阪でしか実現できないでしょう!
↑中曽根OFFのために集まった勇士たち。ざっと100人以上はカウントできます。よく見ると有名な古参ユーザーがいらっしゃったりして、昔からのファンとしてはこれだけで少し楽しくなります。
↑12時10分過ぎ、BGMの『RODEO MACHNE』を大音量で流した遊覧船が動き出してスタート!
↑船では有名ユーザーだけでなく、坂田利夫さんや今いくよさん・くるよさんらもダンスしていた。中曽根OFFは、先頭が水色シャツというのがお約束。今回のために、6年前、大阪日本橋で実施した中曽根OFFで水色役をつとめていた踊り手の“ヨシ”さんをわざわざニコ動内の時報で呼び出して、立ってもらったそうです。
↑中曽根OFFは行進する人だけでなく、沿道で手を上げて応援する方も重要な演出なのです。なんと川沿いにあるホテルの窓からも、コスプレイヤーさんが顔を出してました。この瞬間のためだけに部屋を借りるとか……。ニコ動、怖ろしい子。
↑徒歩組とは途中でお別れ。出演者は船を降りて、そのままオープニング会場に向かいます。
↑オープニングの様子。上までびっしり詰めかけているのがおわかりいただけただろうか。杉本社長が「町会議は8会場の累計来場者が18万5000人。ネット来場者は152万人。昨年の倍以上集まってます」と告げると、大歓声が上がる。
↑いくよ師匠が持ちネタの「どやさ〜」と呼びかけると、会場からは声援が返ってくる。コメント用ディスプレーを見て「どやさが映ってる」と師匠。この「どやさ」のかけ声で、オープニングのテープカットも行ないました。
↑水色役のヨシさん。「中曽根動画は、タグもなかったβ時代に起こったムーブメント。そこから運営の方々、ここにいる歌ってみたや踊ってみたの方々の努力のおかげで、ニコ動が一大ムーブメントになったんだなと感慨深く見ていました」とうれしそうに語っていた。
↑町会議は、地元ユーザーからの「うちで開催して」という要望があって初めて運営が検討に入る。今回は女性の“きりら”さんがきっかけだった。
■新喜劇までやっちゃった! 吉本の本気を見よ
町会議大阪のウェブページをよく見ると、“Powerd by 吉本興業”と書かれている。実は今までの町会議も、吉本の“ご当地住みます芸人”がニコニコカー神社の案内役を務めていたが、今回はさらにパワーアップして、21人ものタレントが参加。なんばグランド花月劇場を飛び出してやってきた吉本新喜劇など、随所で盛り上げまくっていた。
↑交際を許してもらうために、強盗から助けるというひと芝居を打とうとしたら、本当の強盗が現われて……というストーリー。この日のために新しい台本を用意したそうだ。内場勝則さん、未知やすえさんら新喜劇のスターに並んで、なんとニコ動から生主の百花 繚乱さん、カミィさんが新人警官役で出演。これは快挙だ!
↑百花 繚乱さんは女装芸(?)、カミィさんは旧ドラえもんの声マネで観客を沸かせていました。
↑この日は天候が悪く、新喜劇の間は特に土砂降りで舞台も濡れていましたが、そんな環境をものともせず全力でコケるのがスゴい。未知やすえさんが巻き舌のキレ芸を見せると、「きたあああああ」とコメントも大歓喜。
↑町のど自慢にも乱入! ベジータことR藤本さんは『セロリ』、レイザーラモンRGさんは、フェンスに登ってお客さんに支えられながら持ちネタの“あるある”を熱唱していた。
↑筆やマジックなどを見せて、大阪の人は本当に何でもボケれるのかという実態を調査するコーナー“なにわのアドリブリアクション調査”には、フルーツポンチ、西川のりおさん、ぼんちおさむさんが出演。
↑今までニコニコカー弐号機の後部にあった“ニコニコ神社”だったが、今回は独立してなんばグランド花月に建立。鉄道好き芸人のF2鈴川絢子さんが、巫女の衣装でナビゲートしていた。
■突然の豪雨でも大盛況! 歌や踊りのステージ
町会議の会場は、ステージとブースに大きく分けられる。メインステージでは、先ほど触れた新喜劇のほか、有名ユーザーの歌や踊り、お客さんによるのど自慢やなどを実施していた。ステージ前の客席には、10〜20代の女の子ばかり! オールスタンディングで、途中、雨粒が見えるほどの土砂降りに2度ほどあったにも関わらず、ずっと居続けてステージに声援を送っていた方もいて、その根性が素晴らしいです。
↑“町のど自慢”の様子。大阪は歌のうまいガチ勢に多く当たったようで、コスプレの方はやや少なめだった。有名な女性歌い手の“ジギル”さんも当選して歌ってました。
↑蛇足さん、ぽこたさん、みーちゃんさん、けったろさん、koma'nさんの5人による歌い手ユニット“√5”は、11月20日発売のシングル『Love Treasure』を披露。待ってましたとばかりに、「キャー」という声援が飛びまくります。
↑兵庫県出身の歌い手、Geroさんは、メジャーデビューアルバム『one』から、この10月にニコ動でミュージックビデオを公開した“うどん”を熱唱。最前列では数人ヘッドバンギングしていて、咲き乱れる長髪に目を奪われました。
↑そのまま6人が合流してトークに。ステージの立ち位置が、たまたまGeroさんと蛇足さんが隣という“蛇下呂”状態なことに話が行くと、Geroさんが√5側に移動して「Wow、Wow、Wow〜」と『ボク時々、勇者』の冒頭を口ずさんで笑いを取る。さらに蛇足さんも「どんどんうどんうどん……」と『うどん』を歌ってみせて「www」と大量の笑いコメントを流させてました。
↑エンディング直前にも出演。Geroさんは、ハスキーな“ええ声”で『BELOVED×SURVIVAL』を歌い上げる。
↑一方、√5は『MERRY GO ROUND』。バックダンサーとして、めろちんさん、みうめさん、K'suke先生、仮面ライアー217さん、Ry☆さんによる踊り手ユニット“ギルティ†ハーツ”が入る豪華さ!
↑歌い手も踊り手も、みなさん最初はひとりで投稿を始めたはず。その中で「アイツすごいよ」と注目された方々がユニットを組んで、さらに魅力的なパフォーマンスを見せてくれるというのが、ここ数年の流れです。
↑ステージングもぐいぐいうまくなっていって、余裕の表情も見せてくれました。
↑最後は他の出演者やお客さんを舞台に挙げての『千本桜』大合唱。正直、渾然一体となりすぎて、どこを見たらいいのかわからない(笑)
↑踊ってみたは、踊り手に直接振り付けをレッスンしてもらい、その成果をメインステージでみんなで披露するという企画だ。このギルティ†ハーツ人気を見よ! 一応、なんとかレッスンしていたようです。
↑1曲目は、れるりりさんのボカロ曲『Mr.Music』ステージのスペースが広かったこともあって、おそらく過去最大人数の発表となった。
↑2曲目はemon(Tes.)さんのボカロ曲『Shake it!』。豪雨でレッスンは中止になって、ギルティ†ハーツだけの発表だったが、寛平師匠、めだか師匠の着ぐるみが一緒に踊ってくれました。息ぴったりの5人にため息が出ます。
↑名古屋でも大いに盛り上がったDJパートのボカニコ。ボカロPの鬱Pが、アゴアニキの『ダブルラリアット』や自身のボカロ曲『馬鹿はアノマリーに憧れる』、石風呂さんの『ゆるふわ樹海ガール』などを流してました。ときおりDJブースを離れて前に出て、お客を煽ってる姿がカッコいい!
↑歌や踊りの合間には、会場中継が入ります。ブースを回って紹介したり、お客さんを捕まえてインタビューしたり。ステージののど自慢とは対照的に、会場ではわりとコスプレイヤーを見かけました。
■立ち見も行列も臨界点突破!なブース企画
メインステージに負けず、ブース展示もアツい。何がアツいかといえば、お客さんの数。特にゲーム実況ブースは、ニコ動でも屈指の屈指の人気を誇る“M.S.S Project”が出るとあって、開場前からウッドデッキに多くの人が場所を取っていた。
↑M.S.S Projectのメンバー。左手前からeoheoh(えおえお)さん、KIKKUN-MK-II(きっくんまーくつー)さん、FB777(えふびーすりーせぶん)さん、あろまほっとさん。FB777さんの「ガハハハ!」という笑い声が空耳で聞こえます。
↑『みんなでスペランカー』や『HALO4』などで対戦したほか、箱庭ゲーム『MINECRAFT』で町会議恒例となるご当地ネタも制作。グリコの看板や道頓堀などをエンディングで披露して、笑いを取ってました。
↑この人の群れで、ヤバさがおわかりいただけただろうか。「どう考えてもブース内が見えないだろう……」という場所でも、彼らが楽しそうにゲームしている声が聞きたいという方も多かったみたいです。
↑踊ってみたのレッスンをやっていたサブステージでは、NaGiさんとカミィさんによるポージング講座も開催。もう聞き飽きたと思いますが、言わせてください! お客さん大杉!
↑“町集合似顔絵”ブースでは、せらみかるさんと五月病マリオさんの仲良し(?)絵師コンビが、ひたすら来場者の顔を描いてました。今まで9会場で描いてきた巨大似顔絵は、来年の超会議3で飾られる予定とのこと。
↑町ワークショップは、北海道の町会議でも人気だったたいたにあさんによる書道! お客さんにお願いされた言葉をアートに綴ってくれます。衣装のソデが墨で汚れまくるぐらいに描きまくってました。
↑ゲーム実況のとなりにあった、ユーザーマーケットと輪投げのブース。殺伐とした(?)会場の中、お祭り感を出してくれていました。
↑入口看板のあたりは、ニコニコカーの初号機と弐号機が鎮座。初号機は例のごとく落書きの“台紙”になってましたが、もはや何重にも書かれていて何が何だか。
↑物販と、自分のアカウント情報をカードにできる“ニコニコ住民票”のブースも長〜い行列が……。途中、お話を聞いた方は2時間も待ってやっと購入できたそうです。
↑そんなお客さんをもてなす中野運営長とせんとすさん。ヨッ、働く男!
■来年はもしかして海外開催もあるかも!
12時過ぎから始まった町会議大阪は、一気に6時間が過ぎてエンディングを迎える。一時は豪雨で継続も危ぶまれた感じだったが、セレモニー前には雨脚が弱まってくれました。
そのトークで気になったのは、来年の開催地だ。MCの百花 繚乱さんが「ニコニコ動画は世界につながってますから」と話を振ると、ニワンゴの杉本社長が「外国ですか?」と返す。百花 繚乱さんが「全世界にこのニコニコ町会議もつながっていくんじゃないですかね?」と畳み掛けると、会場から「おおおおおお!」と歓声が上がった。
杉本社長の答えは「まぁ、呼ばれればいっちゃいますよ」とのこと。ニコ動の公式イベントとしては、2011年に台湾にて“ニコニコ大会議”を開いた実績があるうえ、今年の町会議も海外からの応募があった。世界のお祭りと共催して、どんなカオスを見せてくれるのか。これはぜひ見てみたい!
↑まずは町会議大阪を支えたボランティアの方々から挨拶。本当にお疲れさまでした。
↑出演者の挨拶では、爆笑コメディアンズの秀作さんが乱入。「町会議に出れると聞いて来たけど、1度もステージに立ってないまま帰れと言われて……」と思わずステージに上がってしまったそうです。
↑坂田師匠は、「今日は本当に皆さん方に大阪に元気をいただいて、本当に心からありがとさん!」と感謝してました。さらに生放送のカメラに向かって「全世界にアホをばらまきます」と、お客さんと一緒に「アッホ!」コール。なんぞこれ!
↑実はもうひとり、町会議の出演者リストに「Mr.D」という名前が載っていて出演してない方がいるとのこと。百花 繚乱さんが呼び込んで現れたのは……。なんと村上ショージさん! 「滑り芸開発者、村上ショージでございます」と挨拶すると大歓声が上がる。
↑Dは、伝説のギャグ「ドゥーン」だった! 最後の最後は、お客さんも後ろを向いて、客席中央のカメラに向かって「3、2、1、ドゥーン!」で締め。最後、全部村上さんに持っていかれました。
↑大歓声の中、出演者もステージを降りて、祭りの終焉を迎えます。
↑町会議大阪は、ステージに立てれる有名ユーザーが普通にその辺で出会えたのが衝撃的だった。北海道や愛知で出演していた湯毛さんはリンクのコスプレでユーザー生放送。
↑踊ってみたの始祖であるニコ麻呂さんは、中曽根OFFに参加。「やっぱりニコ動は参加してナンボ」という古参の方々も楽しめる内容だったと思います。
↑ステージ脇では、りりりちゃん、ちゅいさんの“RT”(りちゅいーと)が声援を送ってました。
↑カービィの組曲で有名なhapi⇒さんは、今年4月、夜の超会議こと“ニコニコ超パーティーII”に出演した際のきぐるみで来場。この着ぐるみ、なんと自腹でつくったそうです。スゲェ!
↑映画泥棒を逮捕するNEETたちと阿部さん。一般のレイヤーさんもレベルが高かったです。
↑それでは来年、また超会議と町会議でお会いしましょう!
■関連サイト
ニコニコ町会議 全国ツアー2013
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