今週末の11月3日〜4日、東京・お台場で「Maker Faire Tokyo 2013」が開催されます。ロボットや3Dプリンター、電子工作、クラフト、人工衛星まで! 最新技術を駆使した展示やワークショップを実施する注目のイベントです。出展者数や約300組ということで、全部見て回るのには1日以上はかかりそう。そこで、週アスPLUSでは、会場でぜひチェックしておきたい出展者を紹介します。
■PC・周辺機器+プラモでジオラマを作成
実際に動いているPCとプラモを融合させて、ジオラマを作成している池内啓人さん。東京のICCでの展示を始め、今年9月にはオーストリア・リンツのアルスエレクトロニカで作品を展示。国内外で注目されている作家です。Maker Faire Tokyoには初めて出展するとのこと。
「昔からプラモデルを作るのが好きで。マウスが戦車に見えたので、マウスにプラモデルをくっつけて戦車に見えるようにしたのが最初につくったものです」(池内さん)。周囲から面白いと評価されたことで、さまざまな周辺機器を改造。最終的には、PC本体とディスプレーを組み込んだジオラマに発展。「PC本体の中が秘密基地のように見えたので、プラモデルを使って本当の秘密基地にしようと。最初につくったPCのジオラマは半年くらいかかった」そうだ。そのジオラマをMaker Faire Tokyo 2013で展示するとのこと。
アルスエレクトロニカで展示したジオラマPCは、なぜか“艦これ専用パソコン”ということで話題にもなったそうで。
「完成したときにテンションが上がって、ついツイートしてしまったんです。本当はそういう目的でつくってはいなかったのですが……。展示作品を見た日本人のかたがこれ艦これ専用パソコンだよねと話しかけてきてくれました」
「これまでは陸軍のイメージでつくってますので、次は海とか宇宙に行きたいなとは思ってます。たとえば、モバイルプロジェクターを組み込んで、ジオラマに海の映像を写したり。面白いガジェットは多いので、次につくりたいものも沢山あります」
↑よく見るとマウスだったりします。 |
PC本体の内部まで精巧につくられています。ぜひとも会場で実物を見ておきたい作品です!
●関連サイト
IKEUCHI PRODUCTS
■手軽に作れる「電子手芸」キット
いわゆる“電子手芸(テクノ手芸)”というカテゴリーで活用する電子パーツが“アニオマジック”だ。手芸用の素材と簡単な電子パーツキットを組み合わせてオーナメントやブレスレットなどをつくっている。Maker Faire Tokyoではアニオマジックスパークルキットというライトアートツールキットを使ったワークショップを開催する予定だ。
「アメリカでEテキスタイルツールキットとして出ていたのをサンプルで購入したところ、とてもシンプルでつくりやすい。電子工作の知識がほとんどなくても、接続さえ間違えなければLEDライトが光ります」(アニオマジックジャパン 岩崎修さん)。手芸ということで女性が購入していくことが多いらしい。「LEDライトの点滅方法もプログラミングで制御できるのですが、それもウェブサイトで設定し、画面の点滅をセンサーで読み込ませるだけなんです」。特別なデバイスは必要ないので、iPhoneのSafariを使って点滅のプログラミングを読み込ませることもできるのだ。
アニオマジックジャパン 岩崎修さん。 |
「また、手ごろな価格で購入できるというのも重要な要素としてあります。ワンセット5000円以下になるので、手芸のビーズキットを買うような感覚で、アニオマジックを使っていただきたい」。手芸と電子工作、ものづくりの楽しみをぜひ体験してみたい!
●関連サイト
アニオマジックジャパン
■iPodTouch12台で3D写真を生成
自分自身の3Dデータが作成できる“3D Photo ブース”を出展するオートデスク。同社はプロ向けの3Dツールを提供しているが、最近はiPad向けお絵かきアプリ“SketchBook Pro”や3Dデータ作成アプリ“123D Catch”といったコンシューマー向けのものもリリースしている。“3Dフォトブース”はiPod Touch12台を使ったDIYな3D撮影システムだ。
↑iPodTouch12台を使用した手作りの3Dフォトブース。 |
「iPodTouch12台が無線LANでつながっています。そこに、同時にシャッターが切れるアプリを入れています。撮影した写真をFlickerにアップし、その写真データを弊社の専用サーバーに送り3Dデータを生成するしくみです。できあがった3Dデータは、事前に入力したメールアドレスに通知されダウンロードできます」(オートデスク技術営業本部 加藤氏)。撮影してから3Dデータとして届くまで、早くて1分くらいだという(遅くても3分)。3Dデータは同社の“123D Catch”でぐりぐりと動かせます。
↑できあがった3Dデータは、同社の3Dデータアプリ「123D Catch」で閲覧できる。 |
ぜひ、会場で3D写真を撮ってもらいましょう!
●関連サイト
オートデスク「123D」(英語)
■来年1月打ち上げ予定の芸術衛星
これぞ究極のDIYともいえる人工衛星をつくって打ち上げる“ARTSATプロジェクト”。世界初の芸術衛星を、来年1月に打ち上げ予定とのこと。Maker Faire Tokyo 2013の会場では、プロジェクトの概要や衛星システムについての展示とプレゼンを予定しています。ARTSATプロジェクトについて、多摩美術大学メディア芸術コースの久保田晃弘教授に話を伺った。
多摩美術大学 久保田晃弘教授 |
「人工衛星というとNASAやJAXAがつくる大型複雑で高価なもの、というイメージがありますが、2003年に東大と東工大が10センチ角のキューブサットという超小型衛星の打ち上げに成功し、僕らもぜひ衛星制作に挑戦してみよう、とこのプロジェクトが発足しました」(久保田教授)。その人工衛星とは、そのものずばり“芸術衛星”。「僕らはメディアアートに取り組んでいて、電子デバイスやプログラミングを使った新たな芸術の可能性を切り開こうとしています。ならば次は、新たなメディアとしての衛星を自分たちでつくることによって、その可能性に挑戦しようと思ったんです」打ち上げのためには当然他の衛星同様、数々のJAXAの審査はあるわけで、それらはすべて通過しなければならない。「JAXAにも確認したのですが、これまで芸術利用を主目的とした“芸術衛星”は、打ち上げられたことはありません」。
「打ち上がった衛星から、温度や姿勢情報などが電波として届きます。そのデータはARTSAT APIを通じて公開しますので、誰もがそのデータを使って、衛星と連動した映像作品や音楽作品、ガジェットや日用品を制作することができます」。取材当日はその一例として、衛星の位置情報と温度情報を活用した映像作品を展示していました。
↑ARTSATからのデータを使った映像作品のデモンストレーション。取材当日は衛星のシミュレーションデータを使っていました。 |
芸術衛星に続き、来年には第2弾として“深宇宙彫刻”の打ち上げも予定しているそうだ。「来年12月に“はやぶさ2”の打ち上げが予定されていますが、その相乗り衛星として採用されたものです。ARTSATは地球周回ですが、深宇宙彫刻は地球脱出軌道に投入されて太陽の回りを周る人工惑星になります。搭載しているArduino互換のコンピュータ(開発コードMorikawa)を使って、センサーデータから詩を生成して地球に送信する、いわば宇宙の吟遊詩人です。その電波をアマチュア無線家のみなさんの協力を得て、地球で共同受信して皆で復元しよう、というプロジェクトです」
来年の打ち上げが楽しみです!
↑来年12月打ち上げ予定の「深宇宙彫刻」の3Dプリント模型。渦巻き型です。 |
●関連サイト
ARTSAT.jp
ARTSAT project(Facebook)
PCジオラマ、電子手芸、3Dフォト、そして芸術衛星。それぞれ趣向は違うけれどもどれもDIY、いちからつくっているというのは共通しています。
Maker Faire Tokyo 2013では、そのほかさまざまな展示やワークショップ、そして新製品発表など盛りだくさん。そして、ロボットロックバンド『Z-MACHINES』も登場! 人間業を越えたギター速弾きや、22のドラムから繰り出す複雑なリズムは必聴&必見です。
↑「Z-MACHINES」は未来のパーティーの実現を目指して開発された、ソーシャル・パーティー・ロボットバンド。監修は東京大学 河口洋一郎教授とアーティスト 宇川直宏氏。(デモンストレーションは、機材の都合により実施されない場合があります) |
Maker Faire Tokyo 2013(MFT2013)
●日時:2013年 11月 3日(日)12:00〜17:00、4日(月祝)10:00〜17:00
●会場:日本科学未来館、タイム24ビル
●前売:大人 1000円、18歳以下 500円/当日:大人 1500円、18歳以下 700円
※ 小学校未就学者は無料 ※期間中1日限り有効 ※チケットは e+にて好評発売中!
●関連サイト
Maker Faire Tokyo 2013
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