週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「Surface 2はiPad Airより生産性で勝る」米MS担当者にインタビュー

2013年10月29日 09時30分更新

文● 山口健太 編集●KONOSU 撮影●岡田清孝

 10月24日に発表され、翌25日に日本でも発売された『Surface 2』。一部では“艦これ”タブレットとして人気急上昇ですが、米国では“真に生産性の高いタブレット”として売り出されています。

 果たしてSurface 2はiPad Airに対抗できるのか、発表会に合わせて来日した米マイクロソフトのブライアン・ホール氏に、インタビューで直撃してきました。(聞き手は筆者)

ブライアン・ホール氏インタビュー
↑米マイクロソフトでSurfaceのセールス&マーケティングを担当するゼネラルマネージャー、ブライアン・ホール氏。Surfaceロゴの入ったピンクのネクタイがとても似合っている。

■Surface Pro 2の発売日や価格面について

――第1世代では、Surface RTが8ヵ国、Surface Proは2ヵ国での発売でした。しかし今回の第2世代では、10月22日に21ヵ国で同時に発売し、その後わずか3日という短期間で、日本でも発売されました。

ホール氏:第1世代のSurfaceを発売した後、マイクロソフトは多くのことを学習しました。その結果、第2世代ではより多くの国や地域での、同時発売が可能になったというわけです。また、日本は速いペースでSurfaceの導入が進んでいますし、Surfaceにとって、日本市場は非常に重要な存在となっています。

――9月23日に米国で発表会を行ったとき、11月発売予定の中国について言及したにも関わらず、(それよりも早い)10月25日に発売する日本については言及しませんでしたね。これはなぜでしょうか?

ホール氏:日本からそういう依頼を受けたんですよ。

日本MS 藤本恭史氏:ほかの国と一緒ではなく、日本独自のタイミングで発表したい、と考えたからです。

ブライアン・ホール氏インタビュー
↑米国から3日遅れとなる、10月25日に日本でも発売となった。

――日本のOEMメーカーによるWindows 8.1対応PCの中には、11月や12月に出荷が予定されているモデルも少なくありません。Surface Pro 2を10月25日に発売できた背景には、OSを開発しているマイクロソフトならではの優位性があったということでしょうか?

藤本氏:通常、OEMメーカーは年3回の製品リリースを予定していますが、私たちはそのタイミングに合わせてWindows 8.1のRTMをリリースしました。同じタイミングで、我々もSurface 2を開発していましたし、ほかのOEMメーカーに特別な対応をしてもらったわけではありません。その点で、優劣はないと考えています。

ブライアン・ホール氏インタビュー
↑9月23日のSurface 2の発表時には、10月22日に発売する21ヵ国と、11月に発売予定の中国についてのみ言及された。

――Surface Pro 2の米国での価格は、Officeなしで999ドルでした。日本ではそこにOffice Home and Business 2013のバンドル版として妥当な2万円程度を上乗せした価格になるものと私は予想(関連記事)していたのですが、実際にはOffice込みで9万9800円と安いですね。まるでOfficeを無料でバンドルしたかような印象を受けるのですが、その点についてはいかがでしょう。

ホール氏:マイクロソフトはSurfaceの原価を公表していないため、消費者がその内訳を知ることはできないでしょう。

藤本氏:日本版では、Officeを搭載する個人向けのSurface Pro 2と、Officeを搭載しない法人向けのSurface Pro 2の間に、2万円の価格差があります。これは他のOEMメーカーにおけるOfficeのライセンス価格と同じ水準です。このことから、個人向けのSurface Pro 2にも、Officeのライセンス価格が上乗せされていることが分かるはずです。

日本MS 広報 石井氏:歴史的にマイクロソフトは規制当局の介入を受けてきた経緯があるため、ライセンス価格について自社だけが有利になるような施策を採ることはできませんから。

ブライアン・ホール氏インタビュー
↑日本版Surface 2の価格。

■“ブロードバンド対応Surface”は限定的な展開に

――9月23日の発表会の後、RedditでAMA形式(「Surfaceの中の人だけど質問ある?」)のディスカッション(関連記事)を行ないましたよね。

ホール氏:テクノロジーに関心の高い人たちと直接対話するという楽しい試みでしたね。我々は12人でテーブルを囲み、実際にSurfaceを使いながら、ユーザーの質問に直接答えました。その場にはSurfaceのエンジニアリングチームを統括するパノス・パナイや、その上司でデバイス部門を掌握するジュリー・ラーソン=グリーンも参加していました。

ブライアン・ホール氏インタビュー
↑9月23日の発表会でSurface 2を披露した、パノス・パナイ氏。Surfaceの“生みの親”的な存在。
ブライアン・ホール氏インタビュー
↑同発表会でXboxのデモに参加するためパッドを握った、ジュリー・ラーソン=グリーン氏。SurfaceやXboxなど、デバイスを扱う部門のトップ。

――このRedditでのディスカッションで、パノス・パナイ氏はSurface 2のLTE版を2014年に計画していると発言(関連記事)しています。米国ではAT&T、ヨーロッパではVodafoneへのリリースを検討していると別のイベントで発言したそうですが、日本でのLTE版Surface 2を発売する計画はありますか?

ホール氏:来年にはブロードバンドに対応したSurface 2を用意していますが、比較的限定的な展開となるでしょう。いずれも、正式には発表していません。

――パナイ氏は同様に、複数の異なるアスペクト比や画面サイズのSurfaceについて、開発を進めていると発言しています。これは本当ですか?

ホール氏:パノスの発言は、今後Surfaceがどのように進化していくか、様々な可能性を検討しているという意味だと思います。

ブライアン・ホール氏インタビュー

■Surface Pro 2はバッテリー駆動で“一日中使える”

――ところで、なぜSurface 2では名前から“RT”の文字がなくなったのでしょうか?

ホール氏:ノートPCやタブレットを購入する一般ユーザーの多くは、Windowsのバージョン番号を気にしていません。Surface Pro 2はプロフェッショナル用と位置付けているので、“Pro”と名付けています。しかしSurface 2を購入する人はタブレットを求めているので、それがSurfaceであること以外を知る必要はないのです。

――では質問のしかたを変えます。Surface“Pro”2はWindows 8.1“Pro”を搭載していますね。そのため、“RT”の文字がなくなったSurface 2は、あたかもWindows 8.1を搭載しているかのような誤解を消費者に与えていませんか。

ホール氏:それはあなたが技術的な背景を熟知しているからです。より正確を期すためには、『Surface with Windows RT 8.1 Tegra4 2GBメモリーUSB 3.0付き』のような製品名にすべきと考える人もいるでしょう(笑)

 しかしそれでは長すぎるので、シンプルにSurface 2という名前にしました。多くのユーザーは、第1世代よりも第2世代のネーミングのほうが分かりやすいと感じています。この事実はマイクロソフトが実施してきた数多くの調査によって立証されたことです。

――Surface Pro 2のバッテリー駆動時間は、75%向上したとされていますが、Microsoft Storeのスペック表には具体的なバッテリー駆動時間は記載されていません。これはなぜですか?

ホール氏:バッテリー駆動時間を測定する方法は複数存在しており、多くのメーカーが異なった方法で測定を行なっています。マイクロソフトとして、その中のひとつの方法が、ほかの方法よりも優れていると主張することはしていません。また、技術的なレビューを行なうメディアは各自が最適と思う方法で測定しますしね。

ブライアン・ホール氏インタビュー
↑Microsoft Storeに掲載されているSurface Pro 2のスペック表。Surface 2で最大10時間というバッテリ駆動時間は、Surface Pro 2では公表されていない

――それではSurface Pro 2を購入しようとしている消費者が「バッテリーで何時間使えるのか?」と質問したとき、どのように説明するのでしょうか?(筆者注: 一部の量販店のWebサイトでは“約7時間”と表記している)

ホール氏:「1日中、仕事に使えます」と説明します。さらにオプションとして発売予定の『パワーカバー』を使えば、バッテリー駆動時間を50%伸ばすことが可能です。国際線の飛行機で移動しながら仕事をするような、非常に長時間の利用にも対応できます。

ブライアン・ホール氏インタビュー
↑発売予定のオプション『パワーカバー』。Surface 2やSurface Pro 2のバッテリ駆動時間を50%伸ばすことができる。
ブライアン・ホール氏インタビュー

■「生産性ではiPadよりSurfaceが優れている」

――先日、ノキアが発表した『Lumia 2520』(関連記事)に対するSurfaceの優位性を教えていただけますか?

ホール氏:私はノキアのタブレットの専門家ではないので、お答えできません。

――では、アップルの『iPad Air』に対する優位性は?

ホール氏:iPadは私の専門ですから、お答えできます(笑)

 本格的にタブレットで仕事をこなしたい場合、最も優れたソリューションはSurfaceです。SurfaceのみがOfficeを搭載していますし、ドッキングして使えるキーボードはSurfaceだけの特徴です。ファイルの共有やカメラの接続、プリンターでの印刷をUSBポートから行なえるのはSurfaceだけです。

ブライアン・ホール氏インタビュー

ホール氏:もし、リビングでゲームを楽しむために軽いタブレットが欲しいのであれば、iPadが適しています。しかし生産性を求めるなら、Surfaceをおすすめします。価格の面でもSurfaceのほうが優れていますしね。

――『iPad mini』はどうでしょうか。小型版Surfaceで対抗する必要はありませんか?

ホール氏:iPad miniも生産性のためのデバイスではないので、Surfaceのほうが優れています。だからといって、Surfaceの小型版が不要と考えているわけではありません。

――なるほど。ありがとうございました。

■関連サイト
Surface

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります