世界各国で普及が進むLTE。多くの国で利用されているのはFDD方式のLTEですが、TD方式のLTEも一部の国でサービスが始まっています。ソフトバンクのAXGPも実はTD-LTE互換の方式。つまりソフトバンクはFDD、TDの両LTE方式を採用しているわけです。
いよいよ始まる中国のLTE |
そして中国でもいよいよLTEサービスが始まります。現在は一部の消費者向けにテストを行なっていますが、この秋にはスマートフォンも複数投入して本格的な商用テストが開始予定。中国移動はTD-LTE方式を採用しますが、端末はグローバル利用に対応したものが出てくるそうです。
ずらりと並ぶ発売前のLTEスマホ |
中国移動のTD-LTEのこれからのスケジュールはまだ未定ですが、最初に投入予定のスマートフォン数機種はすでに発表されています。6月に上海で開催されたMobile Asia Congress 2013でも中国移動ブースでもっとも人気があったのがそれらLTEスマートフォンコーナー。いずれも会場内に飛んでいるTD-LTEの試験電波を掴んだ状態で展示されており、高速なLTE回線を存分に体験することも可能でした。
TDとFDDのデュアルLTE対応でグローバル利用もOK |
TD-LTEに対応する中国移動のスマートフォンですが、中国以外で利用できないのならばあまり興味がわかないものかもしれません。ところが中国移動はLTEスマートフォンの基本スペックとして“5モード”、すなわちTD-LTE、FDD-LTE、W-CDMA、TD-SCDMA、GSMの5方式に対応させると公言しています。つまり中国国内の利用だけではなく、海外でメジャーなFDD-LTE回線でも利用できるわけです。
デュアルSIMスマホも出てくる |
たとえばサムスンのGALAXY Note II GT-N7108DはTD-LTEのバンド38、39、40、41とFDD-LTEのバンド3、7に対応。すなわちFDD-LTEは1800MHz帯と2600MHz帯にも対応しているのです。さらには中国で一般的なデュアルSIMに対応しており、LTEと3Gのデュアルスタンバイにも対応するとのこと。これは楽しみです。
中国でも韓国勢の戦いに |
LGエレクトロニクスもTD/FDD-LTE対応のOptimus G Proを中国市場で販売します。ソニー・モバイルもXperia SP m35を投入しますが4.5インチ、デュアルコアとスペックはミッドレンジクラス。5インチ超えの大画面とクアッドコアCPU搭載のハイエンド機は、サムスンとLGエレクトロニクスの韓国勢の戦いとなりそうです。
あのCoolpadもLTEスマホを出してくる |
このほかにはファーウェイ、ZTEといったおなじみのメーカーがLTEスマートフォンを発表していますが、中国のスマートフォン専業メーカーであるCoolpadもデュアルLTE対応の8920を発表。CoolpadはアメリカでもLTEスマートフォンを販売していますが、今後ほかの国への参入も十分ありそうです。
Xperia SPはソフトバンクのデュアルLTEに対応できる? |
中国移動向けのこれらデュアルLTEスマートフォンは対応周波数もグローバル仕様。そのため日本ではかろうじてFDD-LTEのバンド3が同一仕様となるため、日本でのローミング利用もできないことはないかもしれません。
ですが周波数の対応はチップセット側で設定可能ですから、たとえばソフトバンクのFDD-LTEとAXGPの両LTEに対応したスマートフォンもこれらのメーカーがやる気になれば出すこともできるわけです。となればソニーがXperia SPのソフトバンク向けデュアルモードLTE端末、なんてものも作れるわけですよ。これはぜひとも製品化してもらいたいもの。
忘れちゃいけない、イエデンワLTE版も! |
さて広大な中国、都市部では高速なモバイルデータ通信回線として利用されるLTEですが、農村部では固定ブロードバンドの代替としての利用も考えられています。そうなるとこのようなイエデンワ型のLTE端末も発売されるわけです。通話は3G回線を使いますがWiFi内蔵で家庭内ではLTEルーターとしても使える便利モノ。これも日本に欲しいなあー。
TDと呼んではいけないらしい |
ところで中国には中国移動が展開するTD-SCDMA方式の3Gサービスがありますが、国策として大々的に開始したものの中国以外には普及しなかったという暗い過去を持ちます。TD-LTEを改めて開始する中国移動ですが、TD-LTEという名称よりも4Gという名前を好んで使っているのは、過去の暗い話とは決別したいからでしょうか?
この秋は11機種のスマホを出す! |
中国移動のチェアマン、シ・グォフア氏によるとこの秋登場予定のLTEスマートフォンは11機種。今回紹介したメジャーメーカー5社以外からも製品が登場する予定です。考えられるのは中国大手メーカーとHTCあたりでしょうか。iPhone 5SがFDD/TDデュアルLTEに対応して中国移動から発売になる、なんてこともありうるかもしれません。
おまわりさんの腰につけてるLTEスマホも気になる |
中国移動ではほかに業務用のLTEスマートフォンの開発なども進めています。LTEサービスが始まれば日本向けに周波数変更して輸出される、なんて製品が出てくるかもしれません。意外なところで日本との接点が出てくるかもしれない中国移動のLTEサービス、本格展開が始まったら要チェックですよ。
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