2月25日よりバルセロナで開催中の『Mobile World Congress 2013』。直前にWindows Phoneを“大予測”しましたが、はたしてその結果はどうだったのか、検証するときがやってきました。
↑MWC2013からWindows Phoneが反撃開始? |
そこでMWC2013の会場で見つけたWindows Phoneについて、まとめてお届けします。
■Windows Phoneが“プラチナスポンサー”に
MWC2013では、Windows Phone 8がいきなり大きな存在感を示しています。というのも、MWCの会場である“Fira Barcelona Gran Via”の入り口に巨大なトラックが横付けされており、そこにWindows Phone 8の看板が掲げられているためです。
↑MWC会場と最寄り駅の間に位置する巨大スクリーンとトラック |
立地としては、会場と最寄り駅の中間地点に位置しています。つまりMWC会場に電車で通う来場者は全員、少なくとも朝夕2回はWindows Phoneトラックの前を通ることになります。
なぜこんなことになっているかというと、Windows PhoneがMWCのスポンサーとして最高位の“プラチナスポンサー”になっているためです。通路やレストランなど、会場のいたるところで“Mobile World Live”という動画が放送されていますが、ここでもCMをヘビーローテーションしているほか、画面上部にはつねにロゴが出続けるという厚待遇ぶりです。
↑つねにWindows Phoneのロゴが左上に。スポンサーは偉大です。 |
ラスベガスでのCESにおける露出は少なかったものの、携帯業界の関係者が集まるMWCにおいて、マイクロソフトは本気を出してきたといってよいでしょう。
■ノキアは2機種のWindows Phone 8端末を発表
MWC2013でWindows Phone 8の新機種を発表したのがノキアです。プレスカンファレンスでLumia 720とLumia 520を発表しています。その詳細は山根博士のレポートも合わせてご参照ください。
↑『Lumia 720』。これまでのLumiaのイメージそのままの端末だ。 |
↑『Lumia 520』。最もお手頃価格のLumia。とはいえ安っぽさはない。 |
すでに発表済みのLumia 920/820/620と比べると、新端末の位置付けもおのずと明らかになります。720は820と620の中間、520は620よりも下位に位置する端末です。これにより、Windows Phone 8のLumiaシリーズは実に5機種がラインナップされたことになります。ノキアが「あらゆる価格帯にWindows Phone 8端末を提供する」と表現するように、かなり分厚いラインナップといってよいでしょう。
正直なところ、第一印象としては各端末に機能的な差が少なく、消費者の混乱を招くようにも感じました。しかしノキアは、キャリアや地域ごとの需要に合わせて、最適なLumiaを提供しています。ノキアファンなら店頭に5種類のLumiaが並ぶシーンを期待するかもしれませんが、実際には多くても2~3台のポートフォリオとなるはずです。
また、Lumia 720とLumia 520は正面からの見た目がよく似ています。しかし手に持ったときの感触は明らかに違います。一体成形の薄型ボディーと曲面ガラスが特徴のLumia 720は、いかにも“Lumiaらしい”デザインです。一方のLumia 520は非常に安価な端末とはいえ、安っぽさを感じさせないラインぎりぎりまで追い込んだ、という印象を受けます。
残念ながら事前にうわさのあった超ハイエンドのLumiaは発表されませんでしたが、Windows Phoneファンにとってもノキアファンにとっても満足度の高い2台と言えます。
■ファーウェイ、HTCは既存機種を展示
CESで『Ascend W1』を発表したファーウェイですが、MWCでの新機種はなし。ブースには、印象的なホワイトモデルを含む、Ascend W1の全カラーが並んでいました。
↑CESで発表された『Ascend W1』。ホワイトが印象的。 |
↑ファーウェイブースの一角を占めるAscend W1コーナー。 |
HTCブースでは、2月19日に発表されたばかりのAndroid機『HTC one』が中心となりましたが、Windows Phone 8Xや8Sの展示もありました。
↑HTCブースでのHTC 8X。 |
↑こちらはHTC 8S。 |
■クアルコムブースにもWindows Phoneを発見
Windows Phoneの展示はこれだけ……と思いきや、クアルコムブースにもいくつかのWindows Phone端末が展示されていました。
↑クアルコムブース。これまでに発売されたWindows Phoneのプロセッサはすべてクアルコム製だ。 |
まずはサムスンの『ATIV S』です。サムスン製のハイエンドWindows Phone 8にも関わらず、いまひとつ知名度が低い端末という印象です。
↑サムスンの『ATIV S』。押し込み式のスタートボタンが特徴。 |
そしてTCLの『S606』もありました。これはロシア向けには『ALCATEL ONE TOUCH VIEW』として知られているWindows Phone 7.x端末で、中国向けモデルとなります。Windows Phoneとして初めて、物理的なカメラボタンが省略されています。
↑TCLの『S606』。展示機のOSはWindows Phone 7.5。ロシア語ではなく中国語に対応する。 |
■Windows Phoneに新たなライバル出現か?
それでは、結局のところMWC2013におけるWindows Phoneの存在感はどうなのか、と問われれば、「プラチナスポンサー効果で存在感はあった」と答えざるを得ません。しかし会場で注目を集めていたのは、よくも悪くもFirefox OSやTizenといった新OSという印象が強いのも事実です。
↑MWC2013の大きな話題のひとつ、Firefox OS搭載機。 |
もちろん、そういった新OSとの競合はWindows Phone 7.8がカバーするローエンド市場でのみ発生するもので、ミドルレンジ以上のWindows Phone 8には関係がないという見方もできます。しかしMWC2013におけるキーワードのひとつでもある“Next Billions”……地球上でまだネットに接続できていない数十億人がユーザーとなる市場では、ローエンドが無視できない存在になる可能性もあります。
こういった“第3のOS”争いにおいて、Windows Phoneはどのように戦っていくのか、なにがWindows Phoneの強みなのか、改めて考え直す時期が訪れたという印象です。
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