Windows情報局ななふぉ出張所
ノキアのWindows Phone『Lumia 920/820』をななふぉ的詳細レビュー
9月5日、ノキアがWindows Phone 8端末『Lumia 920』と『Lumia 820』を発表しました。
↑ノキアのステファン・エロップCEO(右)。マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(左)と肩を組んで発表。 |
各端末のスペック分析は山根博士の記事に詳しいので、ここではちょっと違う視点からノキアの新端末を見ていきたいと思います。
■Lumia 920/820ともに大型・薄型化した
ディスプレーのサイズは、Lumia 920が4.5インチ、Lumia 820が4.3インチとなり、既存のLumia 900(4.3インチ)や800(3.7インチ)から大型化しています。それにともなって、端末サイズも大きくなっています。
どれくらい違うのか、既存端末と同じ縮尺で比べてみましょう。
Lumia 920の端末サイズは130.3×70.8ミリで、Lumia 900から縦に2.5ミリ、横に2.3ミリとわずかに大きくなっています。しかし厚さは逆に0.8ミリほど薄くなり、10.7ミリです。
↑Lumia 900(左)とLumia 920(右)の比較。わずかに大きくなった。 |
Lumia 820は123.8×68.5ミリで、Lumia 800から縦横ともに7.3ミリずつ大きくなっています。ディスプレーの大型化の影響により、一回り大きくなった印象を受けます。しかし厚さは2.2ミリも薄くなっています。
↑Lumia 800(左)とLumia 820(右)の比較。一回り大きくなった。 |
Lumia 820の4.3インチという画面サイズは、Lumia 900と同じです。このことから、Lumia 900を薄くしたのがLumia 820というイメージで考えておくとよいでしょう。
今回発表されたLumia 920とLumia 820は、Lumia 920のほうが大型です。Lumia 820のデザインが丸みを帯びているため、数字より小さく感じるかもしれません。
↑Lumia 820(左)とLumia 920(右)の比較。 |
■PureViewが870万画素だったのは期待外れ?
Lumia 920の発表で物議を醸したのは、PureView技術を採用したカメラセンサーが870万画素だったという点です。
↑Lumia 920のカメラ。 |
元祖PureViewであるNokia 808 PureViewが41メガピクセル(4100万画素)という圧倒的なセンサーを搭載していたのに比べると、たしかに控えめな数字です。ノキアはPureView技術がセンサーサイズではなく、内部的な画像処理技術にあると説明しています。しかし41メガピクセルという数字がひとり歩きしていたのも事実でしょう。
さらにそのあと、光学式手ぶれ補正をアピールするイメージビデオが、実際にはLumia 920で撮影していない点が指摘され、ネットで話題となりました。CM製作ではよくある話ですが、説明不足だった点は否めないところです。
ただ、本当に41メガピクセルのカメラが必要だったかと言えば疑問が残ります。Nokia 808 PureViewはたしかに41メガピクセルのセンサーを搭載しますが、“PureView”技術はその大きな画像から5メガピクセル相当の高品質な画像を生成する機能だったはずです。実際、オンラインへの写真投稿を主眼に置いたスマートフォンでは、41メガピクセルの画像をそのまま扱う機会は少ないでしょう。
本体サイズも重要な視点です。Nokia 808 PureViewは、カメラのレンズ部分が大きく盛り上がっています。41メガピクセルのデジタルカメラとしては十分にコンパクトと言えますが、スマートフォンとしては収納に不便な形状でした。
↑参考までに808 PureViewのカメラ部分。大きく盛り上がっている。 |
このような点から、メインストリームモデルのLumia 920が870万画素のカメラを搭載したことは、特に問題になる点ではないと筆者は考えています。そもそもスマートフォンのカメラは、センサーの画素数より、レンズや画像処理エンジンの影響が大きいと感じます。実際、『Samsung OMNIA 7』は500万画素のカメラですが、Windows Phone端末のなかでも屈指の高画質を誇っています。
■Lumia 820は想像以上に控えめなスペック
Lumia 920と820を比較して気づくことは、Lumia 820が意外なほど控えめなスペックになっているという点でないでしょうか。
↑大きいけどスペックは控えめなLumia 820。 |
Lumia 900と800では、プロセッサーやストレージに違いはなく、ディスプレーの大きさやフロントカメラ、一部キャリア向けのLTE対応といった点で差別化されました。
Lumia 820はLumia 800と比べて大型化したものの、画面解像度は従来機種と同じ480×800ドットに据え置かれ、ストレージも8GBにとどまり、それ以上はSkyDriveやマイクロSDカードによる拡張に対応しています。
このスペックを見るかぎり、Lumia 820は意外なほど手頃な価格で手に入る可能性もあると言えます。その場合、気になるのが700番台や600番台の存在です。
9月5日にノキアが発表したのは、900番台と800番台の2機種です。しかし現在のWindows Phone 7.5ラインナップには、710と610という型番も存在しています。
ひとつの可能性として、700番台の後継機種はより小型の画面や小容量のストレージ、あるいはシングルコアプロセッサーにするという差別化が考えられます。画面解像度はLumia 820と同じくWVGAになるでしょう。
600番台の後継機種については、Windows Phone 7.5、あるいはその後継バージョンに据え置かれる可能性もあります。すでに発表されているように、Windows Phone 7.5にはWindows Phone 7.8というアップデートが提供され、Windows Phone 8と同じスタート画面が提供されます。これを利用すれば、7.8をプリインストールした低価格端末をWindows Phoneのラインナップとして販売できるようになるでしょう。
さらに900より上位の機種や600より下位の機種のうわさもあります。ノキアが今後もWindows Phoneのラインナップを積極的に充実させていくことは間違いないでしょう。
■日本での発売はある?
以前にレポートしたCome Back Nokia to Japanイベントでも感じましたが、日本でも多くのノキアファンが新しいLumiaを待っています。
↑日本でも十分に競争力のあるデザインに思える。 |
現在、ノキアは日本市場から撤退しているものの、日本のキャリアからの引き合いがあれば再上陸を検討するはず。ぜひ国内キャリアにはノキア端末の再評価をお願いしたいところです。
山口健太さんのオフィシャルサイト
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