6月末にアメリカで開催されたGoogle I/Oで発表された、Android OS最新バージョンの“Jelly Bean”ことAndroid 4.1。従来の“IceCream Sandwich”ことAndroid 4.0からバージョンが0.1しか上がっていないことからもわかるように、いわゆるメジャーバージョンアップと呼べるような劇的な変化はありません。実際にAndroid 4.1のデスクトップ画面を見ただけでは、どこが変わったのかわからないほどです。しかし、Android 4.1では、利用時の快適度を高める様々な改良が実現されています。
まず、実際にAndroid 4.1がインストールされた『Galaxy Nexus』を操作してみると、動作が軽快になったと実感できます。Galaxy NexusはAndroid 4.0でも十分軽快に動作していましたが、Android 4.1ではまさにヌルヌル、サクサクといった表現がピッタリ当てはまる感じで、ホーム画面はもちろん、ギャラリーの表示、ブラウザーのスクロールや拡大縮小などもまったくストレスを感じることなく動作します。Android 4.1では、画面のリフレッシュレートを60fpsに調整するとともに、画面のスクロールや描画の切り替えなどがスムーズに行なえるように、グラフィックスパイプラインのバッファーを増やした(トリプルバッファリング)。また、画面描画のタイミングに合わせて指の位置を予測することで、タッチ操作時の遅延を低下させてスムーズな操作が行なえるような仕組みも盛り込まれました。こういった改良によって、動作が快適になっています。
■周辺情報を表示するアシスタント機能
機能面では、“Google Now”という機能が新たに追加されました。これは、現在地やスケジュール情報などから、必要と思われる情報を自動的に表示する、いわゆるアシスタント機能です。例えば、現在地の情報から、周辺のお店や駅の時刻表、現在地の天気予報などが自動的に表示されます。また、自宅を登録しておけば、現在地から自宅までの移動経路も表示されますし、海外に行けば、翻訳メニューや通貨の換算メニューも表示されます。今知りたい情報を、先回りして表示してくれるので、非常に便利です。
↑Google Nowは、画面下のホームボタン付近から上にスワイプすると起動します。
↑GPSの情報やスケジュール情報などから、現在地付近の天気や自宅までの経路、周辺のお店情報など、様々な情報を自動で表示します。
■通知メニューが機能強化
通知メニューも強化されました。これまでは、新着メールや不在着信などの存在を示すだけでしたが、Android 4.1では通知領域で新着メールの差出人や内容の一部が確認できたり、不在着信通知から直接電話をかけるといったことが可能になりました。また、着信メールや画像関連の通知では、2本指で上下にスワイプすることで、内容を開いたり閉じたりできます。地味ですが、便利になったと実感できる機能強化です。
↑通知メニューでは新着メールの見出しや内容の一部を表示したり、画像も表示されるようになりました。また、2本指で上下にスワイプすることで、詳しい内容を表示したり、表示を閉じることもできます。
■ウィジェット移動が自動で最適化
ホーム画面では、ウィジェットやアイコンの自動再配置や、空きスペースに合わせたウィジェットの自動サイズ変更などが実現されました。従来は、あらかじめスペースを空けたうえでアイコンやウィジェットの再配置を行なう必要がありましたが、Android 4.1では、邪魔になるアイコンやウィジェットが自動的に空いている場所に移動したり、空きスペースに合わせてウィジェットのサイズが自動的に変更されますので、再配置もやりやすくなっています。
↑ホーム画面でウィジェットやアイコンの再配置を行なう場合には、移動先で邪魔になるアイコンやウィジェットが自動的に別の場所に移動します。
↑移動先にすき間がない場合でも、ウィジェットのサイズが自動的に調整されます。
■音声検索機能が強化
検索関連では、音声検索機能が強化されました。iPhoneの“Siri”のように、音声検索時に画面への検索結果の表示だけでなく、音声で答えてくれる機能が追加されました。この機能は、当面は英語での提供のみになりますが、将来的には多言語対応される予定です。また、オフラインでの音声入力にも対応しました。もちろんオフラインなので検索は行なわれませんが、入力だけならまったく問題なく行なえますし、すでに日本語への対応も実現されています。
↑音声検索機能が強化されて、問いに対して音声で答えてくれる機能が追加されました。結果が画面に表示される裏で、音声でも答えてくれます。現時点では英語のみの提供となっています。
↑あらかじめ追加の音声認識辞書をダウンロードしておけば、日本語でのオフライン音声入力が可能です。
■まばたきが必要なフェイスアンロック
Android 4.0で実現された、顔認識機能“フェイスアンロック”は、アンロック時に目のまばたきを必須にする“生体検知”オプションが追加されました。従来のフェイスアンロックでは、写真を利用してアンロックできるという欠点がありましたが、まばたきを必要にすることでその欠点を解消しています。
↑フェイスアンロック時にまばたき動作を必須にするオプションが追加され、写真でのアンロックを防止できます。
他にも、カメラアプリで撮影状態からスワイプ操作で撮影した写真の表示が行なえるようになったり、標準ブラウザーのHTML5レンダリング速度やスクロール速度の向上など、標準搭載アプリも様々な機能強化が実現されています。日本では、Android 4.0搭載機種が続々登場し、旧機種のAndroid 4.0へのバージョンアップも順次行なわれていくことになっています。ただ、Android 4.1の軽快な動作や、便利な機能などを体験すると、搭載機種を1日でも早く使いたいと感じます。日本でも、Android 4.1搭載機種が早く登場して欲しいですね。
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