今年に入って、ますます広がっている初音ミクの世界。2月のさっぽろ雪まつりでは、雪像だけではなく、札幌市のいたるところで初音ミクの姿を見かけた。3月に東京・水道橋で行われた“初音ミクライブパーティー(ミクパ♪)”と“ミクの日大感謝祭”という全4回公演のライブも、多くのファンが駆けつけて大盛況で終わった。
そんなミクのイベントで気になったのは、ファミリーマートがコラボしていたということ。札幌では雪まつり会場近くの4店舗が、水道橋でもライブ会場付近の4店舗が、ともにミクで豪華にラッピング。オリジナルグッズの配布や販売にファンが行列を作った場面もあった。
今後、ミク×ファミマはどういった展開を見せるのだろうか? 本社を直撃してお話をうかがった!
↑左より商品企画・業務部 販売促進グループのマネージャー 飯田氏、同グループの上石氏。 |
■水道橋のミク×ファミマ
── 水道橋の店舗を取材したんですが、390円以上買うともらえるクリアファイル目当てのファンで、とにかく行列がスゴかったです。
飯田 私たちもあれほど来店いただけるとは予想外でした。その前の札幌でのコラボも盛況だったので、それを上回るのかなという漠然とした期待はあったんです。でも、あそこまで伸びるとは。
── 13時からの配布と聞いてましたが、夕方に行ったら4店舗とも配布終了だったという。
上石 初日がグッズ販売とクリアファイルの配布だったんです。300人ぐらい並んでいただいて、グッズは売り切れになってしまいました。2日目はクリアファイルのみになってしまったにもかかわらず200人ぐらい。2日間4店舗を合わせると、2000人ほど並んでいただきました。
■三崎町三丁目店
↑三崎町三丁目店 |
Illustration by イクシマ (C)Crypton Future Media, Inc.www.crypton.net |
↑三崎町三丁目店 |
Designed by HARDLOVE (C)SEGA (C)Crypton Future Media, Inc.www.crypton.net 記載の商品名および社名は各社の登録商標です。 『初音ミク』は歌うソフトウェアです。 |
↑13時からのクリアファイル配布に合わせて、12時過ぎの時点で50人弱が並んでいた |
■水道橋西口店
↑水道橋西口店 こちらの待機列は12時の時点で100名くらい。 |
■三崎神社通り店
↑三崎神社通り店は、“ぷちでびる”さんのイラストの雪ミクと桜ミク。12時の時点で待機列130名で、一番先頭は7時から並んでいるそうで……。 |
Illustration by ぷちでびる (C)Crypton Future Media, Inc.www.crypton.net |
■水道橋東口店
■配布アイテム
■ルーツは『ファミマ入店音』ブーム
── 一番気になるのは、ミクとのコラボを始めたきっかけです。
飯田 ネットとファミマという話ですと、2009年頃から、弊社の入店音をモチーフにした動画が話題になったというのがきっかけのひとつです。その後もファンの方が、弊社の『ファミチキ』の歌を投稿されてたりして、弊社と初音ミクさんの親和性が高いと感じてました。
── ファミマ入店音! 懐かしい!
飯田 最初は普通のメロディとして受け入れられたと思うんですが、それが徐々にミクさんとくっついていきました。とはいえ、入店音自体は弊社オリジナルではなくて、ある家電メーカーさんのメロディーサインなんですよね。それが「ファミリーマートの入店音」として受けいれられるのは、すごく嬉しかったんですけれども。
── 当時は社内でも話題になったんでしょうか?
飯田 ネットで盛り上がってるという話は出ていました。
私は当時も販売促進の業務をやっていたので、何かできないかなと思って確認したら、弊社のオリジナルじゃないことが分かったんです。実は私も最初は自社のオリジナルメロディだと勘違いしていたんです(笑)。そこで勝手には使えないな、といったんペンディングとしていました。
── ミクさんとのコラボは今年に入ってからですか?
飯田 昨年秋のことですが、店頭でやってるキャラクターくじのひとつの候補として、初音ミクさんがありました。そういった中で、今年は初音ミクさんが生誕5周年を迎えるにあたり、もっといろいろなことができないか、クリプトンさんからもご提案いただいて、現在のコラボに至っています。今年のさっぽろ雪まつりでは、クリプトンさんが札幌本社ということで、ミクさんで札幌の町を盛り上げようとされていました。
そこで私たちがお手伝いできることは何かと考えて、店舗のラッピングやキャンペーンなど、雪像を見る以外の楽しみを提案していました。ぎりぎりのタイミングだったんですが、オリジナルのお弁当やおむすびも販売しました。ワインもすごく評判がよかったです。
クリプトンさんにいろいろご指導いただきながら、企画を練る中で、「どうしたらファンの方に楽しんでいただけるのか」並行して勉強していったところもあります。お話を聞いていると、初音ミクさんというキャラクターを大事に育てていきたいという愛を感じますよね。ファンの方もそういう気持ちをお持ちなんでしょうけれども、私たちもその心を大切にしていきたい。
── 札幌の店舗は視察されました?
飯田 行きました。店舗の物理的な制約もあって、それぞれの店舗が若干離れているんです。実はタクシーを使って店舗間を移動していたんですが、次の店に着くと、前の店で写真を撮っていた女の子2人組が先回りしていてびっくりしました(笑)。
── 速い! 一部では、ミクに関連した場所を巡礼することを“雪ミクエスト”と言われてましたね。
飯田 彼女たちもタクシーを使ったのかもしれません。正直ネットの中では、性別や年代など、ファン層が分かりにくいというところがあったんですけど、雪まつりの企画を通じて男性だけではなく、10代や20代の女性の方もたいへん多いというのを実感できました。
── そうした話は商品展開にも反映されているんですか?
飯田 それはあります。札幌の体験がなければ、初音ミクさんのグッズはどちらかといえば男性をターゲットにというイメージが強かったんですが、女性が日常的に使えるものなども視野に入れていかないと、と感じています。ちなみに雪ミクのぬいぐるみは、うちの部署でも活躍していて、毎日の朝礼当番の席に置かれています(笑)。
↑ラッピングされた札幌のファミリーマート |
↑焼きねぎと鶏そぼろ丼』や『味付海苔ねぎ味噌』などの食品も販売した。 |
(C)おんたま/Crypton Future Media, Inc.www.crypton.net |
商品本部の朝礼当番の目印として活躍している雪ミクさん |
── スゴい(笑)。ちなみに社内には“ミク廃”の方はいらっしゃるんですか? 取材してるとどの企業にも必ずいらっしゃるという……。
飯田 いますよ(笑)。札幌や水道橋でキャンペーンをやった際、ほかの地域から「なぜでうちでやってくれないのか」という要望があがりました。ミクさんがいかにすごいかという理由が書かれた文章も添えられていて(笑)。全体企画を行っていく上では、社内の関連部署との調整が重要になるので、今ではうちの部署が“伝道師”となってミクさんを社内に普及させています。
── ファミマさんといえば、ほかのキャラクターともいろいろコラボされてますよね。昨年11月の『ス●イム肉まん』も話題になりました。そういう商品も担当されてきたという?
飯田 多くのコラボはそうです。ただ『ス●イム肉まん』の商品化は、1種類だけということもあって商品を開発する部署で完結しました。そういえば『ス●イム肉まん』も私たちの固定観念が吹き飛ばされた商品でした。
── 普通、青い肉まんは作ろうと思わないですよね。
飯田 青は食欲減退の色なので、食品の世界ではタブー視されがちなんです。開発の途中でも「売れるのか?」っていう声が出ていました。でも、いざ発売という情報がネットに出回ると前評判が一気に広がったので、急遽、製造予定を倍にしたんです。それでもあっという間に売れてしまった。単純に色とかではなくて、キャラクターの再現性なんだなぁ、と。
ミクさんも基本的な色使いがブルーやグリーンで寒色系なんですが、ちゃんと世界観を表現すればファンの皆さんにも受け入れられると思いますので、いろいろ挑戦していければと思っています。
■ユーザー参加型の企画を長期間やっていきたい
── 今後はどのような展開を予定されているのでしょうか?
飯田 3月から専用のウェブページを立ち上げました。ここからいろいろ情報発信していきます。今夏に発売するくじには、ピアプロさんと募集をし、みなさんから応募していただいたイラストを、くじの景品に活かしたい思っています。力作ばかりで、数点に絞るのがもったいない。第二弾、第三弾と出したいぐらいの気持ちです。
今までお客様からのご意見を反映したメニュー開発などの例はたくさんありますが、ここまで踏み込んだ、イラストまで反映したというものはないですね。こういった参加型の企画をもっとやっていきたいです。
もともと弊社は「あなたとコンビに」を目指しております。そんな私たちが目指すところと、クリプトンさんが著作権まわりを整備され、みんなで育てていこうとしている初音ミクさんの世界は、とても親和性が高いところがあります。お客様がどのように参加して楽しめるかというのは、今後もずっと大事にしていきたいところなんです。
── 単なるキャラ受けではなく、お客様と一緒に、という。
飯田 はい。キャラクターとのコラボは、キャンペーン期間が過ぎたら終了という形は過去になんども行ないましたが、それだとお客様参加型の企画はやりにくいんです。ですから、じっくりと長期的にお手伝いできればと思ってます。ただいま、今夏のイベントにあわせて全国の店頭でキャンペーンも計画中です。その後、秋からクリスマス時期に向けての企画も練っているところですので、せひ期待してください!
── そして、ファミリーマートから近々、みっくみくなお知らせがあるそうですよ! 詳しくはハッピーくじ公式サイト(本日24日開設予定)、または明日25日20時からのニコニコ生放送『ワンホビニュースウォッチ』(グッドスマイルカンパニー)をチェック!!
【関連サイト】
ファミリーマート×初音ミク プロジェクトサイト
ファミリーマート
クリプトン・フューチャー・メディア
ワンホビニュースウォッチ
週アス×初音ミク
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