9月1日に日本版がサービスインした動画配信サービス『Hulu』。北米ではNetflixなどと並ぶ、超有名動画配信サービスのひとつだが、日本ではYouTubeやニコニコ動画ほどの知名度は、率直に言ってない。というわけで、北米のネット配信事情をある程度知っている人にとっても、“鳴り物入り”というよりは「え、始まったの?」という不意打ち的な驚きの中でのスタートだったんじゃないだろうか。
それから10日間、ほぼ毎晩のようにコンテンツを見てきたわけだけど、率直な感想としてこれはなかなかイイ。
特に、僕のようなスマホ偏愛者かつ海外ドラマ好きにとっては、ベストに近い満足度を持つ動画配信サービスですらある。ホントに。
Hulu日本版の要点をざっと整理しておくと、このような感じになる。
・月額1480円だが、登録から1ヶ月はフル機能を無料トライアルできる
(9/12 14時追記:Xiタブレットなどドコモの対象端末で登録すれば、2012年2月29日まで3ヶ月無料)
・動画は720pまでの対応。待ち時間なしのフルストリーミング
・PC、iPad、iPhone、Androidに対応。要するにスマホでもタブレットでもPCでも見放題
・ローンチ時でハリウッド映画100本以上、海外ドラマ32シリーズ(大作も複数アリ)
個人的な印象で言えば、映画は確かに大作もあるが、映画メインで見るには、本数は少なくともこの2倍はほしい(といってもパイレーツ・オブ・カリビアンのような比較的新しい大作もあるので、見所はそれなりにある)。
一方で、海外ドラマは、良作・秀作が集まったなかなかの充実ぶり。
大ヒット作の『ヒーローズ』や『LOST』シリーズといった看板タイトルをちゃんと持ってきてるかと思えば、ややマイナーどころの『THE MENTALIST』(犯罪推理ミステリー)が入ってたり、チョイ古だけど個人的にかなり好きな作品の『アリー my Love』(弁護士モノ)、今ならあえて見返してみたくなる『X-ファイル』(これはさすがに知ってますよね)シリーズもあったりと、まぁなんというか、限られた中でちゃんとドラマ好きな担当者が選んでるっぽさが伝わってくるラインナップになっている。
現在配信中の32シリーズというのは、バリエーションとしては決して多くはないけれど、海外ドラマはなにせ話数が多い。1シリーズで100話を超えるものも少なくないのだ。だから、良作が5つもあれば、かなりの時間楽しめることになる。
全シリーズが並んでいない作品が多いのは気がかりだが、カミングスーンのリストを見ていると、その点のケアもちゃんとしていくようだ。
●PCでもスマホでも、いつでもどこでも視聴が快適すぎる
サービスローンチ時にラインナップをそろえるのはある意味当然。そもそもHuluを高く評価しているのは、ブラウザ版(PC向け)とアプリ版(スマホなど向け)の完成度がいずれも高いところだ。
いずれの場合も、作品を選んでから再生が始まるまでの待ち時間は、YouTubeで動画を見るときと同程度。要するに非常に快適。それでいて720pサポートなので画質も良い。
そこでまずPC版だが、3つの点で優れている。
1.動画プレイヤー部分だけをブラウザーから切り離して画面の隅に置ける
作業中の“ながら視聴”ができるし、画面端に好きな大きさにして置いておける
2.どこまで再生したかを“視聴履歴”で記憶してくれる
途中まで見た作品の頭出しが必要ない(とても重要)。
3.シリーズ作品の場合、“次の話を自動再生”が可能
週末にシリーズを一気見!といった場合に重宝。
……といった具合。結構細かな部分ではあるけれど、特に3.は映画1本を観る時間で、2話分視聴できてしまう海外ドラマだからこそ、有り難みがよくわかる。
●アプリはiPad版の視聴満足度が異常に高い
アプリ版は、特にiPad版を推したい。iPhone(Android)とiPadで、できること自体は取り立てて変わらない。
ただ、iPadでの操作感や一覧性、それに画質面を含めた視聴満足度がとにかく高い。はじめてiPadでYouTubeアプリを使ったときの驚きと同じ感覚がある。
PC版との比較で若干惜しいのは、どうやらiPad版では動画の頭出しが機能しないということ。PCやiPadで途中まで見た作品であっても、いきなり頭から再生される。もっとも、レスポンスはYouTube並みにいいから、タイムラインバーを指でなぞってサッと手動で頭出ししてしまえば済む話だ。
※初出時、“スマートフォン版”と表記していましたが“アプリ版”に修正しました
iPad版アプリのシリーズ画面 |
↑全シリーズをサムネイルでチェックできるほか、各回の要約なども表示できる。動画再生はこの状態でもできるほか、全画面再生もできる。 |
字幕や日本語音声も選択できる |
↑字幕作品の場合は、こんなふうに表示する字幕の選択が可能。ブラウザ版で見る際は、字幕の文字の色や背景色を変えて、視認性を高めることもできる。 |
●もう、録画もエアチェックも必要ない
この手の動画配信サービスでは、「その価格設定でモトが取れるのか」ということを気にしがちだが、少なくとも、既に50話近く見ているイトー的には十分モトがとれる。
そこまで寝る暇を惜しんで観るという人でなくても、週末の余暇に心ゆくまで良作の海外ドラマを観る、という趣味のコストとしての1480円というのは、そこまで高くない金額じゃないだろうか。
業界にとって、Hulu日本版の登場がどの程度の衝撃なのかは測れないが、CS放送やケーブルTVなどのチャンネルには、Hulu日本版が先んじて実現した映像体験の良質さについてもっと学んでもらいたい。
比較的趣味性の高い映像コンテンツだからこそ、ファンに向けた“おもてなし”は必要だと思うし、少なくともHuluにはそれがある。面倒なエアチェックや、新シリーズの録り漏らしは、オンデマンド配信には起こり得ない。Huluの料金はCS放送の料金2チャンネルぶん程度の料金だから、作品数さえ同等になれば利便性で大きく上回る。
Hulu日本版がちょっと気になってるという人は、まずは1ヵ月の無料期間だけでも試してみてほしい。
これだけでも、なかなか凄いサービスだということがわかるはずだから。
●関連サイト
hulu日本版
hulu×docomoキャンペーン
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