●販売 アスク
●実売価格 19万5000円前後
OCZの拡張ボード型SSDの『RevoDrive3 X2』。480GBモデルの順次読み込み速度はで最大毎秒1.5GB、書き込み速度は最大毎秒1.25GBと、公称値は圧倒的な速度だ。
一般的なSSDと異なり、SATAポートではなく、マザーボードのPCIエクスプレス×4スロットに取り付ける点が特徴。ボードは、メイン基板とサブ基板の2階建て構造になっており、メイン基板とサブ基板に2個ずつ、合計4個のSandForce製SSDコントローラー『SF-2281』と、Micron製のMLC NANDフラッシュメモリーチップを搭載する。今回試用したのは480GBモデルだったので、64Gbit(=8GB)チップ『29F64G08CBAAA』を合計64チップ実装していた。
さらに、メイン基板にはOCZ製『ICT-0183』というチップを採用し、このチップに4個のSSDコントローラーが接続され、内部でRAID 0構成を実現。つまり、4台のSSDをRAID 0で接続している状態を、1枚のボードで実現しているというわけだ。
メイン基板とサブ基板を外すとこんな感じ |
↑メイン基板に亀の子状態で接続しているサブ基板。 |
SSDコントローラーは合計4個 |
↑メイン基板とサブ基板に2個ずつSSDコントローラーを備え、8GBのMLCフラッシュメモリーチップが基板表裏に合計64個搭載する。 |
OCZ製チップでRAID 0構成を実現 |
↑このチップで、SSDコントローラ4個をRAID 0で接続している。 |
●早速『CrystalDiskMark』を回してみた!
■テスト環境
CPU:Core i5-2405S(2.5GHz)
マザーボード:ASRock『Z68 Extreme4』(Z68)
メモリー:PC10600 DDR3 2GB×2
OS:Windows7 Home Premium(64ビット)
まず、ストレージの速度を計測するベンチソフト『CrystalDiskMark 3.0.1a』でチェックしてみたところ、なんと速度は公称値の半分程度の速度しか計測されなかった。
読み込み速度は公称値の半分程度 |
↑読み込み速度毎秒693MB、書き込み速度毎秒561MBと、公称値の半分程度の速度しか記録されなかった。 |
ただ、SandForce製コントローラーを採用しているので、もしかしてと思い、『CrystalDiskMark 3.0.1a』のテストデータを“0 Fill”に設定して再検証したところ、公称値には届かなかったものの、毎秒1GBを超える結果が得られた。やはり、SandForce製コントローラーを採用する2.5インチSSDと同様で、0 Fillに設定しないと公称値に近い速度が発揮されないようだ。0 Fillのテストは、実利用時とはまったく異なる状況でのテストなので、この結果はかなり残念だ。
0 Fillテストで毎秒1GB超え |
↑テストデータを“0 Fill”に設定すると、読み込み書き込みともに毎秒1GBを超えた。ただし、実利用時とかけはなれた検証のため、あまり意味のない数字だ。 |
人気爆発中の『m4 SSD』(128GB)の速度 |
↑こちらは、Crucial『m4 SSD』(128GB)の結果。さすがに『RevoDrive3 X2』のほうが読み込み速度で1.5倍以上速い。 |
『m4 SSD』(128GB)でも0 Fillテスト |
↑一応測ったm4 SSDの“0 Fill”テスト結果。こちらは、標準設定時と結果がほとんど変わっていない。 |
次に、同一ドライブ内でのファイルコピー速度をチェックした。デジカメのJPEGファイル758枚、合計約3.5GBぶんを一括セルフコピーした時間をストップウォッチで3度計測し平均を出した。
●3.5GBぶんのファイルをセルフコピーした時間
セルフコピー時間 | |
RevoDrive3 X2(480GB) | 22秒 |
Crucial m4 SSD(128GB) | 32秒 |
『m4 SSD』(128GB)と比べれば高速なのは間違いない。ただし、公称値を考えると『m4 SSD』の倍以上の速さになってもおかしくないので、やっぱり物足りないという感じだ。
最後に、旧世代PCのPCIエクスプレス1.0対応のPCIエクスプレス×4スロットに取り付けて、CrystalDiskMark 3.0.1aを実行してみた。
●PCIエクスプレス1.0の×4接続でテスト!
■テスト環境
CPU:Core i5-750(2.66GHz)
マザーボード:インテル『DP55KG』(P55)
メモリー:PC10600 DDR3 2GB×2
グラフィックボード:RADEON HD5770
OS:Windows7 Home Premium(64ビット)
PCIエクスプレス1.0では、速度がPCIエクスプレス2.0の半分となってしまうため、速度が低下。『RevoDrive3 X2』を利用する場合には、必ずPCIエクスプレス2.0対応のPCIエクスプレス×4スロットを使おう。
PCIエクスプレス1.0では速度が低下 |
↑PCIエクスプレス1.0対応のPCIエクスプレス×4スロットに取り付けて計測した結果。PCIエクスプレス2.0スロットに取り付けた場合と比べ、読み込みも書き込みも全体的に速度が低下している。 |
PCIエクスプレス1.0で0 Fillテスト |
↑0 Fill設定の結果。標準設定より速度は向上しているが、順次読み込み速度はPCIエクスプレス2.0時よりも毎秒100MB以上遅い。 |
『RevoDrive3 X2』は480GBモデルで20万円前後と、非常に高い。しかも、速度的には公称値を大きく下回っている。そのため、一般のユーザーが通常のSSDと同様の感覚で利用するものではないだろう。
はっきり言って、最近の高速SSDを複数枚買って、RAID 0で運用したほうがはるかに高速だし、コストも安く済む。ただし、『RevoDrive3 X2』はPCIエクスプレス×4接続のため、SATAポートを節約でき、サーバーやワークステーションなどでは大きなメリットとなり得る。基本的には、一般ユーザーには価格的にも仕様的にも縁遠い製品と言っていいかもしれない。
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