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【後編】魂の入ったマウスパッド、グロウアップ・ジャパンの『紫電』開発秘話を直撃!

週刊アスキー5月3日号(4月19日発売)の特集記事『素材で極める最高級マウスパッド』(92~95ページ)に掲載したものを再構成したものです。詳しくは本誌をご覧ください。

 日本製に徹底的にこだわり、日本のプロゲーマーに支持を受けるグロウアップジャパンに、最新マウスパッド『KAI.g3 紫電』を制作したきっかけや作成時の苦労、マウスパッドにかける情熱を聞いた。
【前編はコチラ】【中編はコチラ
 

紫電

「布製マウスパッドに2年くらい耐久性が欲しいというのは
 ストッキングを2年間毎日履きたいと言われるようなものです(笑)」

 うちではゲーム用マウスパッドは布製が最高だと考えてますけど、もちろん欠点もあるんです。完璧な製品なんて世の中そうそうないですから。布は摩擦によるピリング(毛羽立ち)が宿命なんです。摩擦、磨耗による形状変化もあるんです。平らなものは減ってきても平らだけど、凹凸のあるものは凸部が減ってくるとより気になりますからね。ただ、試合で勝つための道具として、耐久性よりも性能を重視した結果です。

 いわゆるゲーミング・マウスパッドと一般のマウスパッドは、F1のタイヤと一般のタイヤのようなもので、F1のタイヤはその1レースだけの耐久性をもたせてるわけじゃないですか。その代わり、性能をものすごく高めてる。エコタイヤは長く走ることこそが大切だから、長く使えるけどそれなりの性能。用途が違うので、それはなかなか難しいところですよね。

 布のマウスパッドに2年ぐらい耐久性が欲しいとか言うというのは、ストッキングを2年間毎日履き続けたいと言うようなものですから、無茶言わないでください、と(笑)。3000円のマウスパッドが2ヵ月で摩耗したとして月1500円。自分がゲームを本気で楽しむために、月1500円の投資は高いか安いか。それを考えれば答えは出てくるでしょう。

  ただ、そうはいっても長く使えたほうが良いという人もいますので、そういう布もつくりはじめています。

「人は手の大きさも、腕力も、関節の角度も違う。可動領域も違う。
 とにかく自分にあったものを選んでほしい」

  よく、「どのマウスパッドがいちばんいいですか?」って質問が来るんですが、これこそ愚問です。手の大きさも、腕力も、関節の角度も違う。可動領域も違うんです。みんな違う。あなたにはこれがいちばんベストです、なんて簡単に言うことはできません。

紫電

 うちが目指してるのは卓球のラケットなんですよね。あれはラバーが100種類ぐらいあって、中学生からプロに近い人まで、自分に合ったラバーと自分に合ったラケットのベースを貼り合わせて、自分だけのラケットをつくるんです。速攻タイプとか、曲げるタイプとか、それぞれラバーの性格が違うんです。自分に合ったラバーをつける。自分に合ったものを選ぶんです。これを私は"マイゲーミングマウスパッド"って言っております。

 滑走面と真ん中を組み合わせていけばものすごい種類になるわけですから。そのぶん、私どももさまざまな種類の製品をつくるので、その中から自分たちに合ったものを選んでほしい。最終的にはオーダーメイドに行き着くでしょう。今は過渡期だからそこまで行きませんが、プロモデルとしてはそうなっていくでしょう。

 カタチも四角とは限らない。特殊な織りの滑走面を使えば、マウスの部分ごとに滑りを変えることもできる。それができるのはその織りだけなんです。でも、これまた織る効率が悪いから高い。織るのにものすごく時間がかかる。時間=単価ですから。だけどそんなことができる織物ってこれしかないんです。だからそれを目指して試織を繰り返して、もう1年半ぐらいかかっているんですが、まだ製品化にたどり着かない。何度も何度もつくって試さないと、思ったものができないですよね。

 もう、本当に、考え続けてるんです。マウスパッドのことばっかり。最終的にはマウスもつくりたいと思ってる。そこに行くにはまだ2年3年かかるんでしょうけども。

紫電

「世界一のゲーム用マウスパッドをつくりたい」

 将来的に弊社は、ユーザーに自由に触っていただけるようなスペースをつくれる場所に、引っ越そうと考えています。クランが対戦できるようなサーバーとPCと設備を常設して、いつでも存分にプレーできる環境をつくりたい。半分宣伝、半分は育成というか、そんな場所になればいいかなと。家賃も高くてなかなか場所選びが難しいんですけどね。でも、すぐには実現できなくても、必ずいつかはそういう場所を設けたいと思っています。日本から世界に通用するプレーヤーを育成して、日本だって強いんだぞコラァ!! って言えたらね、うれしいと思ってるんだけど。まあそのためには、少なくとも日本国内でトップシェアにならないとね。

だから、そうですね……買ってください!(笑)
 

紫電

KAI.g3 紫電
グロウアップ・ジャパン
価格 2880円(S)、3380円(M)、4380円(L)
サイズ:250x210mm(S)、320x250mm(M)、420x330mm(L)

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