スティーブ・ジョブズCEOによるWWDCキーノートスピーチのあと、マスコミ向けに公開されたハンズオンにて、iPhone 4をいちはやく触ることができた。写真をまじえつつ、その速さや注目のRetinaディスプレーの印象などをレビューする。
ハンズオンのステージはWWDCキーノート会場の裏に設置されており、1テーブルにおよそ6台程度、合計で20台程度が自由に触れる状態で設置されていた。発表当日からデベロッパー向けにiPhone OS改めiOS 4のGM版(製品候補版)がダウンロード開始ということもあって、開発版のような不安定な挙動や、レスポンスの悪さなどは感じられない。
まず誰が触っても気付くのは、iPhone 3GSに比べての速さだ。ブラウザーのスクロール、画面回転、拡大縮小といった全てのレスポンスが、iPadと少なくとも同等、ひょっとするとそれ以上という速さで動く。これにはアップル謹製のA4プロセッサーによる恩恵も大きいと思われる。
キーノート前日に、あるゲーム系の開発者に話を聞いたところ、「iPhoneの縦横2倍以上の解像度をもつiPadでも、iPhoneと同等以上の速度がある。実感としてA4プロセッサー自体のポテンシャルはiPhoneのCPUより高いと思う」と語っていた。
外観面の特徴では、最近のアップル製品のデザイン言語とは異なる、直線基調のデザインが気になるところ。手に持つと、まず背面の丸みがなくなったことで、まったく新しい何かだという感触がある。目に触れる液晶側の見た目は、iPhone 3G/3GSに近いが、白モデルは液晶のフェイスプレートまで白いので、個人的に黒モデルより“変わった感”が強かった。
キーノートでも語られたが、ボディ側面の金属部分は、三分割される形でWiFiやGPS、GSMなどのアンテナパーツも兼ねている。デザイン面のアクセントもさることながら、アンテナが外部に露出することによる受信感度の向上に注目したいところ。従来は、電波感度の悪さがネックだった。
スペック上の重量は3G/3GSに比べてわずかに2g重くなっているが、その差は(当然ながら)体感できるほどではない。
Ustreamによる現地中継で、日本側のスタジオでさかんに気にしていたボディ保護パーツ、通称バンパーは、プラスチックのような質感。装着すると側面が丸みを帯びるため、3G/3GSに少々にた雰囲気になる。カラバリ展開があるので、iPod nanoのようにカラフルなiPhoneを街中で見かけることになるのだろう。
厚みは3G/3GSに比べ3ミリ薄くなっている。双方を並べて比べると、この差はしっかりとわかる。また、丸みを帯びていないためか、見た目にもちょっと小さく感じる。なお、iPadで実装された画面回転ロックボタンは、iPhone 4にはない。アプリごとに、ソフトウェア的にロックすることになるようだ(どのアプリだったか失念したが、画面ロック機構がある純正アプリはあった)。
網膜水準のドットピッチをうたうRetinaディスプレーは、解像度960×640ドット。国産のケータイ端末でも同レベルの解像度はあるが、正直なところ、この解像度はまったく生かせてなかった。iPhoneの場合は、自由自在にピンチインで拡大縮小を繰り返しつつ、画面を見る使い方なのが大きく異なる。液晶が高解像度化することで、全画面表示時の情報量は増えるが、レスポンスは3GS以上だ。つまり、単純に精細になって情報量が増える、というメリットだけをユーザーは味わうことができる。
使ってみるとあまりに普通に拍子抜けしてしまうが、この解像度のウェブページをこのレスポンスで拡大縮小、スクロール、回転できてしまうことは驚くに値する水準だ。
新たにテレビ電話用のフロントカメラが装備された。フロントカメラ動作時に撮影すると、こんな感じで自分が写ってしまう(当たり前)。左の画像は写真アプリの画面。iPadと同じように、Map上の撮影地をマッピングして表示できる。
テレビ電話機能『FaceTime』は、現状WiFiのみでの使用となる。動画の動きはスムーズで高解像度液晶のおかげで、小さく表示された自分の顔までくっきりと見える。
また、日本向けのローカライズも力が入れられているようだ。驚いたのは文字入力まわりで、フリック入力に“顔文字”ボタンが追加されていた。このボタンを押すと、日本方式のアスキーアート顔文字が表示される。また、特殊な語彙に対応できる、ユーザー辞書機能も標準搭載されていた。この点の最適化は、3GSユーザーがiOS 4にアップグレードしても恩恵が受けられる点だ。
【番外編】
ハンズオンで必死に触っていたところ、「スティーブが来ます!」と誰か言ったかと思うと、突然ひとだかりが。ジョブズCEO自らが、ハンズオンを見にやってきた。人ごみを掻き分けて、上から片手でカメラを構えてなんとか撮れたのが左と中央の写真。
ちなみに、右の写真はキーノート終了後にVIP席付近に歩いてきたジョブズCEOを同行者がiPhoneで撮影したもの。わずか3mという距離だったとのことで、これ以上の至近距離での撮影はなかなかない。
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