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『ポケモンカードゲーム』オフレコだらけのビッグネーム会談

◆迫力の第一稿はさまざまな“ライン”を踏み越える!

――樋口監督はポケモンカードゲーム自体を遊んだことは?
樋口 一番最初のポケモンカードゲームはやったんですけど…。
石原 ルールが難しかったですか?
樋口 いや、対戦相手がいなかった(笑)。実はカードゲームで一番大事なのって、対戦相手がいるかどうかじゃないですか。当時いた事務所には対戦相手がいなくって、だからといって、近所の子どもたちの輪の中に、カードファイルを持って混じるのも…ねぇ。
石原 危ない人ですね(笑)。
樋口 「あのおじちゃん変だ」って言われちゃうし。輪の中に入ったらたぶん、すごく大人げないデッキを使ったりしちゃうだろうし。だから、集めるぐらいだったんですよね。発売当初の頃は。週刊アスキーのコラムにも書きましたけど、ポケモンを「何だこのすごい世界は!?」という目で見ていましたし。元々、ポケモンのおかげでカードゲームというものを知ったんですけど、うちは男子がいない家庭だったんですよ。だから、集めるという行程で止まってしまい、広がることはなかった。カードゲームは女子はあまりやらないですよね?
石原 まぁ、比率的には少ないですよね。
樋口 隣の家の子どもがポケモンカードゲームを遊んでるのを見て、「オレも仲間に入れてくれないかな?」って思ったりもしたけど、踏み込んじゃいけないラインが、そこにはあるし(笑)。そんなフラストレーションのせいかな。デザインする上で、デッキの中の破壊力を表現したくて。「おっきく描いてもいいですか?」という話をして。でっかく描いた方が掟破りな感じがするし、「このポケモン、強すぎる!」って感じられるかなって。そのほうが、場に出したときの気持ちよさを感じられるかな…とも思うし。

――とうことは、カードを2枚使うというシステムは樋口監督の発想?
石原 今回『LEGEND』シリーズを作るにあたって、カードを2枚使うシステムを作ってみようということになったんですよ。そうすれば絵が大きく描けるし、表現もおもしろくできるんじゃないか、ってね。そんな仕様を加えることが決まってから、樋口さんにシンボリックなポケモンを描いてもらいたい、ということが決まったんですよね。

――その仕様のおかげで、樋口監督は大きく勢い良く描けた、と。
樋口 おかげさまで。ただ…まぁ、最初に出したラフ画はデカすぎたってことがあるんですけど。比率とかまったく考えずに『こうですよね!?』って感じで出したら、みんなこう、サァ…と引いてしまった(笑)。
石原 一応、2枚のカードを組み合わせて1枚の絵にするといっても、イラストはこれだけのスペースで描いて欲しいというものがあるじゃないですか。ワザとかを説明するテキストも入るわけですから。でも樋口さんは、カード2枚分全部のサイズを使って描いちゃった。それを見たスタッフが「これ…どうしよう…?」って(笑)。
樋口 そのおかげで、テキストが全部、へし折れるような感じになっちゃった(笑)。
石原 カードの仕様のラインも、完全に踏み越えちゃった(笑)。
 

ポケモンインタビュー

◆“怪獣としてのポケモン”の表現はまだまだ続く!

――ホウオウLEGEND、ルギアLEGENDはどちらも手に入りづらいものだとか…?
樋口 そうなんですよね。でも、最近は公式HP上で、全部のイラストをデータとして公表してるじゃないですか。だから、絵柄はすぐにチェックできますよ。自分が子どもの頃は「○○○○のカードを集める!」っていっても、どんなカードがあるのか判らないなかで、ひたすら集めなきゃならないってあったわけですけど、最近は「このカードを手に入れよう」とかの目標を、すぐに自分で設定できるようになっているんですね。だから、ボクが描いたカードも集めやすいんじゃないかな。

――ナイショのポイントは?
樋口 実は全部、最終的に自分で絵にはしてるんだけど、部品としては…自分は本職は絵描きではないので、映像素材とかを組み合わせて作ってるんですよ。自分が昔撮った映画の素材とかを引っ張り出してきたりして。素材の蓄積が生きているのかな。色とかは加工してあって、ポケモンの世界に近づけるようにはしてますけどね。元の素材が何なのか、類推するのは楽しいかもしれませんね。

――今後もポケモンカードゲームと樋口監督のコラボレーションは続く?
石原 『LEGEND』シリーズの最新作になるんですけど……『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』の伝説のポケモンといえば、ライコウ、エンテイ、スイクンなんですね。その3匹のポケモンも、カードを2枚使うシリーズとして描いてもらっています。
樋口 ナイショですけど…より怪獣映画らしい描き方にオーケーが出たんで、やっててすごい楽しかったです(笑)。
石原 『LEGEND』シリーズはこれからもいくつか、このような2枚使い仕様のカードが入ります。さらに、樋口さんにポケモンに演技指導してもらって描く! という試みがあるんですよ。要するに、“演出”をやってもらったカードも、次の商品にはいくつか入っていますね。基本の絵は監督に描いてもらって、それに近づくようにCGを作っていくというカードなんですけど。
樋口 こちらとしては絵コンテを切るような感じですね。
石原 なかには絵コンテというより、ほとんど完成系のイラストになっていて、「そこまで描かれてもCGではできないよ」というものもありましたけど。こんなに描いちゃったけど、もうこれで良いんじゃないか? と、スタッフが思うという(笑)。

――(設定イラストを見て)怪獣映画のテイストが出てますね……。
石原 そうですね。これまでのポケモンカードゲームのイラストの描き方とは、全然違うから見ていておもしろいですよね。
樋口 こうやってズラリとカードを並べると…勝ち負けじゃないとは思うんですけどね。ほかのクリエーターさんが描かれたものを見て「うわっ! この手があったか!」という、毎回くやしさがあるんですよね。すごいアップの構図とか、やっぱりかっこいいよなって。「ポケモンカードゲームの絵の世界は、奥が深いぞ!」って思いますよ。
石原 先ほども言ったように、ポケモンカードゲームは、描いた方の名前がクレジットで入ります。そのため、ポケモンの絵を描く仕事のなかでは、一番自由度の高いフィールドなんですよね。みなさんに「好きに描いてください!」と言える。だからこそ、みなさんが技巧・技法を凝らして、自由に描くことができる。そのためか、これはおもしろい! と思えるものや、新しい視点で描いているものとかが、けっこう多くなるんでしょうね。

ポケモンカードゲーム用に樋口監督が描いたイラスト
次回の作品に収録されるカードには、樋口氏が構図などを監修したCGイラストが登場する。
ポケモンカードゲームのカード
樋口氏が描いたイラストの構図を基にカードがつくられている。※画像は開発中のものです。

 

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お詫びと訂正
本誌124ページの『ポケモンカードゲーム特別対談』におきまして、プレゼントの応募方法のページが間違っておりました。正しくは217ページの『WAM INFO』をご覧ください。関係者並びに読者の皆様へご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

©2009 Pokémon.©1995-2009 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
ポケモンは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

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