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中世のボヘミア王国忠実に再現した『キングダムカム・デリバランス』開発者インタビュー

2019年08月07日 11時00分更新

中世ヨーロッパを史実通りに再現したリアリティのある世界

――『キングダムカム・デリバランス』は史実を元にしているというお話ですが、歴史上で実際に起きた出来事を扱っているということでしょうか?

トビー 私たちが語ろうとしている物語は、世界史的には重要な話ではありません。最初のプロジェクトだったので、私たちは歴史上の小さな出来事を選びました。比較的よく史料が残っていたのですが、失われていた部分もあったので、自分たちで補った部分もあります。

――題材にしたお話があって、肉付けしたということでしょうか?

トビー 私たちは新しい物語を追加してはいません。実際に歴史上であった要素はゲームでもそのまま登場します。その時代に互いに戦っていた人々は、ゲーム内でもやはりお互いに戦っています。しかし、プレイヤーが操る主人公のヘンリーだけは創作されたキャラクターです。プレイヤーの選ぶ行動次第で、ヘンリーは歴史上の登場人物に影響を与えることは出来ます。

 しかし、歴史上で実際に起きた出来事の結末を変えることは出来ません。日本で言えば、将軍など実在した人々の生涯を変えることはできませんが、小作人や農民とした特に記録が残っていない人物の生涯なら自由に扱うことができます。それがヘンリーです。

 加えて、このゲームでは歴史上の事件は主眼ではなく、建物や装備、戦闘といった部分を史実を元に忠実に設定してあります。これは中世の世界への没入感を大事にしているためで、一人称視点にしたのも同じ理由ですが、歴史上実際にあったものを元に作られたリアルな中世の世界に浸ってもらいたいと考えています。

歴史上に実在した人物はもちろん、建物や小道具の数々まで、実際に中世にあったものを忠実に再現していて、本当にその時代に降り立ったかのような没入感のある体験をもたらしている

――歴史は背景の設定として使っている感じで、メインは中世を体験するゲームということでしょうか?

トビー そうですね。たとえば、矢を頭に受ければ即死ですし、同じように接近戦でも頭を砕かれればお終いです。そういったリアルな空気感を大事に開発しています。ですから、城は実在の城のように、村は実在の村のように感じられるはずです。

まったく戦わずにストーリーを進めることすらできる自由度

――戦闘までかなりリアルなようですが、ゲームとしては結構手応えのある難易度になっていたりするんでしょうか?

トビー 難しいとは言いたくありませんが、昨今のRPGではUIが充実していて、さまざまな情報が画面に散りばめられているのが主流なのに対して、KCDは先ほども申し上げたように没入感をとても大事にしているので、UIは必要最低限しか表示されていません。それは、相対する敵や環境、城や村といったゲーム世界に注目してもらいたいので、必要以上のことは画面に表示しないようにしています。

 また、鎧ひとつにしても、鎧というスロットが1つあるわけではなく、装備するものも鎧の下に着るアンダーウェアから、その上に着る鎧本体、さらに上に重ね着するオーバーオールといったものが分かれています。ファンタジーではないので、そうったリアリティを追求した部分では複雑な面はありますが、それがゲームとして難しいとは考えていません。

――なるほど。戦闘などもリアルではあるものの、難しいわけではないと。

トビー 必ずしも戦闘がメインのゲームではないというのもあります。ストーリーも重要なゲームなのでカットシーンだけで4時間ほどあるのですが、このストーリーを進めるのに必ずしも戦う必要はありません。戦いたければ戦うことも出来ますが、まったく戦わなくてもストーリーを進めることが出来ます。

 今作では、町の人だったり敵対NPCと会話をするときに、発言を選択することが出来るのですが、その選んだ選択肢によって成功や失敗などさまざまな結果に分岐します。失敗になったとしても、普通のゲームなら同じ選択肢を何度も繰り返すものがほとんどですが、KCDでは失敗なら失敗した場合のストーリーがあります。自分がヘンリーとして実際にゲームの中で生きているような感覚を味わってほしいです。

――ストーリーの進め方も自由度が高いんですね。ちなみに、戦わない場合はどんな風に戦闘を回避するんでしょうか?

トビー ゲームを通して殺さなくてはならない人物が一人だけいます。しかし、そこに辿り着くまでの過程は自由なので、たとえば後ろから忍び寄って昏倒させるなど、人を殺さずに解決する方法は見つかるでしょう。また、攻城戦のイベントなどもあるのですが、戦場にはヘンリー以外にも戦っている人々たちがいるので、終わるまで後ろで眺めていることも可能です(笑) ちなみに、誰も殺さずにクリアすれば専用のトロフィーももらえますよ。

攻城戦のシーンでは主人公ヘンリー以外にも戦うAIがいて、その気になればNPCに任せて全力でサボることも可能。とはいえ、AI同士の戦いなので結果の信頼性までは必ずしも期待できないのだとか

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