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文藝春秋、ハフポスト日本版、電通デジタルもSlackで変わった

2019年08月20日 09時00分更新

周到な準備と多彩な施策で1400名へのSlack導入を成功させた電通デジタル

 3人目の電通デジタル 情報システムグループ マネージャーの橋本訓氏は「よりよいコミュニケーションの実現に向けた電通デジタルの全社プロジェクト ~振返りと今後の展望~」というテーマでプレゼンしてくれた。

 電通デジタルの設立は2016年で、従業員数は1400名以上。デジタルマーケティングを中心に事業を行なっている。それまでは、電通本体とグループ2社にデジタル領域の事業部門があったが、その3つが統合された企業となる。同社は、国内ネットワークのデジタル領域を担っており、デジタル変革のコンサルティング、マーケティングプラットフォームの設計・開発、マーケティング施策の企画・実行という3つの領域でサービスを展開している。

電通デジタル 情報システムグループ マネージャー 橋本訓氏

「なぜSlackが必要なのか、というところを社内で議論しました。コミュニケーションツール導入の目的/狙いをひとことで言うと、「質の向上」です。それまではコミュニケーションの環境が不十分でした」(橋本氏)

 メールと並行してチャットツールも使っていたのだが、複数のサービスが存在し、正規化されていなかった。その状況で1000人以上の規模になってくると、部門間のコミュニケーションのスピードが落ちてくるという課題が出てきたのだ。メールだと、コミュニケーションの工数がかかってしまううえ、一定の確率で誤配信が発生してしまう。その点、チャットツールだと登録している相手にしか連絡できないので、事故を予防できる。

 もちろん、目指すのは全社員が毎日Slackを使うこと。さらに、社外パートナーとも協働し、PDCAも回して行くことを考えたそう。

なぜSlackを導入する必要があるのかを徹底的に社内で議論した

 導入は2ヶ月という短期間で行なった。2018年のゴールデンウィークが終わったころにキックオフし、7月23日に全社展開したのだ。導入までは、3つのステップを設定したという。

「最初は、現状の理解『アンダースタンド』ということで、個人的には一番を力を入れました。コミュ ニケーションをよくしていこうという活動自体がコミュニケーションがよくなければならないので、ま ずは広報や経理、人事、総務、事業部門でコラボレーションして、課題を出し合って進めました。ステップ2は『デザイン』です。一部の事業部では、すでにSlackを使っていたので、その人達にはアドバイザーという位置づけで知見を共有してもらいました。最後は『ローンチ』ということで、トレーニング を行なったりしました」(橋本氏)

 さらに、このプロジェクトのキモは、社内に100人のSlackチャンピオンを育成したこと。テクニカルエキスパートではなく、部門ごとのユーザーを代表するスーパーユーザーという位置づけで、ポジティブな変化を推進するのが目的。さらには、トップから全社プロジェクトだというメッセージを発信してもらい、意識を共有した。

社内にSlackチャンピオンと呼ばれるユーザーを100人育成した

 チャンネルの設計も、あらゆる部門の人を呼んで徹底的にディスカッションした。部署が異なっても同じ課題があるじゃないか、といった気づきも得られたそう。社内プロモーションにも力を入れ、ポスターを作ったり、デジタルサイネージも設置した。先行リリースのタイミングでは、ランチのフォトコンテストを行ない、投稿してバズる場所も用意した。変わった施策としては、トイレにセンサーを設置し、Slackでトイレの空き状況がわかるようにした。指定のチャンネルでつぶやくと空いている場所を教えてくれるのだ。

 現在、実際のユーザーは2661アカウントで、ウィークリーアクティブユーザーは1978人。2018年9月にアンケートを取ったところ、8割の人がチームにおけるレスポインスが速くなったと回答。コミュニケーションが改善されたという人も7割いたという。19年3月には全社アンケートを取り、打ち合わせの質の向上と意思決定のスピードアップが達成でき、コミュニケーションや関係性の質も向上したことがわかった。めざましい成果と言ってよいだろう。

「今後はアプリ連携やAI、botの活用を考えています。毎日数百件の問い合わせが来るのですが、ZendeskとSlackと統合させ、Slack内で対応できるようになりました。今、みんなでがんばって仕込んでいるのが、チャットボットを活かして、FAQで自然言語処理技術を使うことです。Slackにたくさん情報が溜まってきたので、精査して使えるようにしていこうというプロジェクトです」(橋本氏)

Slackの全社導入を成功させ、アンケートの結果も好意的

 3社とも導入や活用のネタ満載のセッションで、参加者も様々なアイディアや知見を得られたことだろう。やはり、なんとなく導入するのではなく、きちんとした旗振り役を立て、みんなを巻き込んで盛り上げていくことが重要なのだと感じた。

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