スパイシーさ、コク、香り、すべてが490円とは思えない
口に運ぶと、牛バラによるしっかりとした旨味と甘味が感じられます。そして後味にスパイシーな香りと辛味の両方が、きちんと主張する。具材も煮込まれているとはいえ食感をとどめていますし、びしゃびしゃした水っぽいカレーではない。どっしりとしたコクがあり、味に奥行きがあります。ビーフとスパイスの香りもよく、弱点がありません。
松屋フーズの創業者、瓦葺利夫氏(代表取締役会長)が牛めし・焼肉定食店として東京は江古田に「松屋」をオープンしたのが1968年。1986年生まれの自分にとっては、創業当時のカレーをどれだけ忠実に再現しているのかは知るよしもないのですが、とにかく、きちんとしたカレーとして成立していることはたしかです。
それにしてもよくできたカレーです。スキがない。あえて注文をつけるとすれば、具材がもっとごろごろ入っていれば、なおよかったのに……というところか。なんだか「ごろごろ煮込みチキンカレー」の残像を追いかけているようでアレな意見ですが、逆に言うと「490円のカレーでこれだけしっかりしているのに、まだなにか言うつもりなのか」と思わなくはありません。
トッピングにチーズを入れた「創業チーズカレー」(並590円、大盛690円)があったので、それも食べてみます。大ざっぱなチーズの盛りつけにビビりましたが、チーズのまろやかさが加わることで、かなりちゃんとした“欧風カレー”になります。
ややチーズの塩気が強い気がしますが、文句があるとすればそれぐらい。それにしても、590円でこのレベルのカレーを食べるのは、なかなか困難でしょう。少なくとも、松屋の店舗を探すよりはむずかしいはず。
チェーン店で、490円で食べられるメニューとして、最高峰のものではないでしょうか。圧倒的に“完成”しています。カレー自体の味でいえば、松屋の畢生の大作「ごろごろ煮込みチキンカレー」より上かもしれない。あちらはチキンのボリュームで他を凌駕するバリューを生み出していましたが、こちらは純粋にカレーとしてすばらしい。
よい意味で、納得の490円。これ以上の味かボリュームを求めるとなったら、ワンコインではまず無理でしょう。もっと高い価格になるか、専門店に行かないと……と納得させてくれるような、アンダー500円で「よくぞここまで」の完成度に持ってきた松屋フーズに、すなおに脱帽です。ブラヴィッシモ!
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。
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