4月15日、16日に、映像制作者や動画に興味がある人を対象としたカンファレンスやワークショップ、展示会を実施する「VIDEOGRAPHERS TOKYO」が開催。BTOパソコンを販売するマウスコンピューターは、同社のクリエイター向けパソコン「DAIV」シリーズを紹介するブースを出展したほか、16日にはカンファレンスセッション「PCメーカー×ビデオグラファーがオススメする 映像制作者のためのPC、選び方講座」を実施した。
プロが解説する、動画に必要なPCスペックとは
CPUを「働くおじさん」に例えてわかりやすく説明
このカンファレンスセッションでは、映像制作をガッツリ始めるためのパソコンにはどのような性能が必要かを、映像ディレクターの伊納 達也氏、アドビのAdobe Community Evangelistとして活動するフリーランス映像講師の山下 大輔氏、マウスコンピューターの野原 拓也氏が解説した。伊納氏がわかりやすく解説したのを、映像面は山下氏が、パーツについて野原氏が補足を入れつつセッションが進められたので、パソコンについて詳しくない人もある程度知識がある人にも有意義なセッションだと感じた。
伊納氏はまず、パソコンの各パーツについて「働くおじさん」に例えて説明。CPUは、働くおじさんの賢さ、メモリーは会社の机の大きさ、HDD/SSDは引き出しのサイズと表現した。
例えばCore i7-8750Hは、クロック周波数が2.2GHzで6コア/12スレッドのCPUとなる。これを働くおじさんで例えると、2.2GHzは、おじさんの仕事のスピード、6コアはおじさん6人、12スレッドは計12本のペンで仕事をしているということになる。つまり、クロックが高ければ1人のおじさんの仕事のスピードが速く、コア/スレッド数も多ければ多いほどおじさんの数が増えるため、仕事のスピードがあがるというわけだ。
また、山下氏の補足によると、動画編集ソフトでは「Adobe Premiere Pro」を使う際にはCPUの性能で快適さが結構変わるほか、「Adobe After Effects」はシングルコアの性能で快適さが大きく左右されるため、ターボブーストが高いCPUのほうがいいとのことだ。なお、動画編集のみの作業であれば、あまりコア数には依存しないが、Cinema 4Dなど3DCGの作業も実施したい場合は、コア数の高いCPUを選択したほうがいいのだという。
映像制作では、CPUに続いてGPUも重要。伊納氏によると、最近ではエフェクトの処理や動画の処理をCPUではなくGPUに担当させる動画編集ソフトも増えてきたためだという。とくに、4Kの映像をリサイズしながら再生するプロキシ編集などでは、GPUの性能が大切になってくるとのことだ。また動画編集ソフトでいうと、山下氏いわくAdobe Premiere Proと比べると、DaVinci Resolveは結構GPUの性能が大切になってくるという。
そのほか動画編集だと、メモリーは動画を再生してチェックする際に、少ないとコマ落ちが起こる可能性があるため、できれば容量をふやしたほうがいい。とくに、再生をスタートした直後にコマ落ちが起きやすいのだという。そのほか、動画編集と同時に写真編集を実施する際、「Adobe Photoshop」はメモリー容量が重要になってくるため、そういう場合はメモリーの容量もしっかりと確保したほうがいいそうだ。ただし、H.264の場合は、15コマが1つの塊となり、最初のコマと次のコマで何が変わったかの計算が必要になってくるため、よりCPUのパワーが必要になってくる。
最後に、動画を保存する際に重要になってくるのがストレージ。野原氏によると、いくらCPUやGPUが高性能でも、保存する先が遅かったらいつまでも映像が入っていかないため、なるべく高速なSSDにしたほうがいいとのこと。予算があれば、NVMe対応のM.2 SSDを選択すれば、より快適に作業が可能だという。
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