ペヤングが問いかける「金」の価値
錬金術の思想においては、錬金術師は、実験とともに世界の仕組みを解き明かすほどの知恵を身につけることを目指していました。多くの伝説や迷信を生んだ錬金術は、貴金属を見つけること以上に、神にも匹敵する存在へとたどり着かんとする、無謀で、しかし崇高な行為だったのかもしれません。
金粉入りのペヤングは、「金」というものを見つけることのむずかしさ、「金」にはどういう価値があるのかを、我々に問いかけてきます。これを食べる人は、金粉のあまりの少なさに戸惑い、それをペヤングと合わせて食べることの意味を考え続ける。
まるか食品は、ソースを入れる「ニグレド(黒化)」、ふりかけとスパイスを入れる「アルベド(白化)」、金粉を入れる「ルベド(赤化)」の大いなる業(Magnum opus)をもって、有限と無限の合一をカップの中に作り出そうとしているのではないでしょうか。賢者の石とは金粉入りペヤングのことだった……?
などと考えないと、なんというか、いつものペヤングと変わらなさすぎて、困ってしまう味です。「生きているうちに、ペヤングに金粉を入れたい!」と強く願っている人でもないかぎり、無理して入手する必要はないかと思います。
というよりも、これはペヤングに金粉を入れることで、自分のような新しもの好きを飛びつかせる価値をもたせた商品なのでは? 無から有を生み出す、まさしく現代の錬金術。そう考えると、「金粉入りペヤング」を商品化したまるか食品こそが、21世紀の錬金術師なのかもしれません……。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。
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