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キャッシュレスの次は「リアルエステートテック」と「ソーシャルファイナンス」が来る!

生体認証、不動産、ソーシャル……FinTech識者が語る次の波

2019年04月04日 09時00分更新

ソーシャルファイナンス、不動産×FinTechは注目領域

 KDDIは、KDDI ∞ LaboやKDDI Open Innovation Fundといった取り組みをはじめ、積極的にオープンイノベーションの世界に関わっている。では、オープンAPIやさまざまな事業者が協業するときに大事なことは何か? という話題が藤井氏に振られた。

 「私自身前職も含め、何年も前からどうやって銀行がオープン化してイノベーションを進めていくのか、という議論をしてきました。KDDIも金融を本丸としてやっていく中で、『じぶん銀行』もAPIを提供しています。しかし、データ所有権がお客さまにあるとはいえ、金融機関として個人の情報をほかの事業者に渡すのには、非常に気をつかわなければいけません。

 そのため、当初思っていたように、APIを作ってポータルを公開して使っていただき、いろんなサービスが増えていくという世界にはなりづらくなっているかなと思っています。提供するだけではだめで、エンジニアチームと実際にコワークして、時にはデザインシンキングのセッションを挟んだりして、APIを通じて何ができるのかを一緒に考えいかないと、広がっていかない気がします」(藤井氏)

 また注目のスタートアップは? という振りに、特定の企業を挙げるのは難しいとしながらも、自社の取り組みに絡めて回答した。

 「KDDI Open Innovation FundというCVCがあって、そこでフィンテック投資枠を作り、その第1号案件として『CAMPFIRE』に出資をしました。ソーシャルファイナンスやクラウドファンディング、ソーシャルレンディングなど、いろんな人が参加して作っていくファイナンスの形がこれからのトレンドになっていくと思います。日本ではこれから大きくなっていく市場ってそんなにないと思うんですが、ソーシャルファイナンスはその中の1つだと思い、注目しています」(藤井氏)

 「ジャンル的にはリアルエステートテックやプロップテックと言われる不動産関連です。すでにカオスマップが充実しているエリアというのは、フィンテックと掛け合わせると新しいビジネスモデルが生まれるようなブルーオーシャンだと思っています」(大久保氏)

 最後に、来場者に向けたメッセージが語られた。

 「ファイナンスでいうと、新しい市場が生まれる余地は限られていて、パイの奪い合いになるのではと個人的に危惧しています。私のライフワークになりますが、アイディアと情熱を持っている人たちを、KDDIの企業リソースで支援させていただいて市場を一緒に作っていきたいなと思っています」(藤井氏)

 「省庁横断型のサンドボックス制度に取り組んでいます。たとえば、法に抵触しそうな人や場所を限定して、リスクを洗い出した上で法改正に向けて取り組んでいく制度です。これまではアイディアを企業の中で出しても、何かに抵触するからできません、となっていました。サンドボックス制度は枠組みを超えて進める仕組みなので、登録しておけば資金調達もしやすくなりますし、世間的にも後押しをしてもらえるのでぜひ活用してください」(大久保氏)

 実際に金融系のサービスを手がける大企業が、最前線のフィンテックと連携し、取り込んでいく内容は刺激的。相変わらず注目度の高いブロックチェーンや、これから来ると予測されたPWAやCIBAなどの生体認証、現在のトレンドだというソーシャルファイナンスとリアルエステートテックなど、注目したい話題が目白押しだった。

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