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キャッシュレスの次は「リアルエステートテック」と「ソーシャルファイナンス」が来る!

生体認証、不動産、ソーシャル……FinTech識者が語る次の波

2019年04月04日 09時00分更新

これからは「ペイ」がサービスの中心になってくる

 最初の話題は、キャッシュレスの現状について。

 「みずほは先日『J-Coin Pay』というサービスを出しまして、金融機関、地銀さんを含めて拡大しているところです。また、内閣官房が『未来投資会議の産官協議会』を立ち上げたのですが、FinTech/キャッシュレス化のアジェンダに、“銀行を経由しない安価な送金手段”という話題が盛り込まれていたのは衝撃的でした。我々は、いち金融機関と言うよりも、全経済圏を把握しながら、お客さまによってどういう決済手段が必要なのかというのを考えていかないといけない時期に来ていると思っています」(大久保氏)

 「J-Coin Pay」は金融機関が手を組んで顧客のための新しい決済手段を作るというというコンセプトで立ち上がった。ビジネスとしてはtoCでの収益化というより、法人の支払いや請求のところを電子化することで、新たにトランザクション連携ができるようになったり、新たな収益源になると期待がもたれている。

 「昨日までシンガポールの『Money 20/20 Asia 2019』(※世界最大のフィンテック・カンファレンスイベント)に参加してきました。向こうでは配車サービスの『Grab』が流行っていますが、アプリのUIがまるでペイメントアプリのようなんです。ペイメントを核にして、トランスポートやフード、Eコマースが並んでいるのです。シェアカーのアプリというより、ペイメントが真っ先に来ています。私が現地でGrabで乗ったとき、ペイメントを設定していなかったので支払時にエラーが出ました。でも、Grabはカードだけでなく現金でも支払えます。きちんと移行的措置があって、いろんなところに配慮しながらアプリを作っていると感じました。このように、ペイが中心になっていろいろなライフサービスが使えるようになっているのがトレンドかと思います」(藤井氏)

 続いて落合氏から、仮想通貨の現状について藤井氏に話題が振られた。

KDDI株式会社ライフデザイン事業本部 金融・コマース本部 金融ビジネス部金融革新担当部長 藤井達人氏(現 auフィナンシャルホールディングス株式会社 執行役員 最高デジタル責任者 兼 Fintech企画部長)

 「あまり日本だと(価格変動が安定している)ステーブルコインはピンときておらず、法定通貨と何が違うの? というイメージだと思います。金融の世界では、STO(セキュリティー・トークン・オファリング)で、有価証券をブロックチェーンでやりとりするという動きがあります。このようなブロックチェーンと金融商品が、新しいジャンルとして新しいマーケットを開拓するのか、分散金融の世界へ時間をかけて移行するのかは読めないところがあります。しかし、技術的な要素の進化により、そちらの方向に進んでいくのは間違いありません。

 『Money 20/20』でもブロックチェーンの話はホットでした。仮想通貨でしか決済できないハンディターミナルを展示している企業や、シンガポールドルのステーブルコインを決済できるベンチャーも出てきています。彼らが見ているマーケットは東南アジアです。既存の金融インフラが整っていないところに、決済に便利な仕組みというマーケットを一気に取りたいと、明確なビジョンを持っていました。そういうところから、仮想通貨が普及していくのかもしれません」(藤井氏)

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