VAIOは11月13日、経営方針説明会と新製品発表会を開催した。
対前年比で2桁増の増収増益を果たしたことで、ソニーからの独立における復活シナリオの「第1フェーズは完遂した」(吉田秀俊代表取締役)。PC事業が好調なほか、EMS事業が順調に推移したことが奏功した。さらに、「構想3年、開発2年」という2in1 PCの新製品「VAIO A12」(個人向け)と「VAIO Pro PA」(法人向け)を発表し、さらなるビジネスの拡大を図っていく考えだ。
VAIOは、ソニーのPC事業を分離する形で独立し、国内市場に注力する形でPC事業を展開してきた。国内PCの事業では、2017年からモバイルノートのラインアップを充実させることで、事業を拡大できた。特に法人需要は同30%増と好調で、収益の押し上げに貢献した。
2017年は「VAIO S11」「VAIO S13」「VAIO S15」の各シリーズの投入でラインアップを拡充。2018年はこのラインアップの進化に加え、「VAIO True Performance」(4コアCPUの性能をより発揮できる、VAIO独自チューニング)や「VAIO Premium Edition」(標準モデルとは異なるカラバリの提供)と、付加価値を高める方向での製品を投入しており、いずれも好評だった。
キッティングなどの導入支援などの法人サービスなど、付加価値の拡大も順調に推移。さらに、海外でも強い「VAIOブランド」の展開を再開した、2015年には2ヵ所だった展開国が、2018年には12ヵ国まで増えたことも収益に寄与した。
EMS事業はロボティクス事業を中心に出荷台数が2.5倍へと急拡大し、ビジネスが軌道に乗った。新たにスタートしたソリューション事業は、まずはVR事業がスタートし、東映らと協業したVRCCなどを展開。当初の想定通りの稼働率・来場者数を確保したとしており、来春をめどに第2弾を検討したい考えで、今後のさらなる拡大で安定した収益へと育てたい考えだ。
そうした結果、売上高は前年比10.8%増となる214億8800万円。営業利益は前年比13.9%増となる6億4800万円となり、過去最高益を実現した。一方、説明会後にIPO(株式上場)の可能性について聞かれた吉田氏は、「いまは上場より先にやることがある。事業構造をきちっとすることだ。当面は短期、中期の仕込みに注力したい」とカブトの緒を締めた。
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